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聞いた言葉・第9回目、『地球には国境がありません』

地球には国境がありません。

 この言葉は、日本人初の(スペースシャトルの)宇宙飛行士として大活躍中の毛利衛さんの言葉です。1992年9月12日にアメリカのエンデバー号が、打ち上げられました。毛利さんは、この時搭乗され、数多くの宇宙実験をされました。 

 その後、地球に帰還され、宇宙から見た感想の中で、先の言葉を述べられました。この前後には、もっと多くの話がありましたが、テレビニュースの中で、この言葉のみが、当時私に強く残りました。

 元々、地球誕生以来、近世になるまで、地球には国境線などありませんでした。でも、(私だけかもしれませんが)あらためてこのことを述べられた毛利さんの言葉が、なんと、新鮮で、いつまでも忘れられないのでしょうか。

 狩などの他の動物との関係を除けば、原始以来長い間、人間同士の営みは、そのほとんどが、平和な期間だったろうと思われます。

 ただし、世界4大文明前後からか、人間同士、富や資源、あるいは民族、宗教の違い、その他の理由で、人間同士は争ってきました。

 当然その中には、国家間の国境線を巡る争いも起こり、時として戦争にも発展し、不幸な歴史の繰り返しをしてきました。特に、近代の第一次、第二次大戦は、何百、何千万と言う人的犠牲(もちろん、動物や資源、その他の損失もはかりしれません)まで出しました。

 その後、戦争による犠牲や不幸の教訓から、二度と戦争は起さないと世界各国で不戦の誓いをおこなったはずです。しかし、その後も、規模の大小は別としても、何度もなんども国家間、民族間の争いは続いています。

 このような状況下で、国境線のない地球に思い巡らすのは、夢物語のようにも思えます。確かに、私が生きている時代は、無理なようです。ただ、人類にとってあと何百、何千年かかっても、「明日の天気を変えることは不可能」かもしれません。でも、元々地球になく、人間がその後勝手に引いた国境線は、遠い将来、なくすことは可能かもしれません。

 その一つの展望として、EU(ヨーロッパ共同体)各国の動きがあります。私自身も始めてヨーロッパに行った時(1986年に3カ国)に実感しましたが、ビザ(査証)は必要ありませんでした。また、今年(2002年)1月1日からは、通貨統合(ユーロ)まで、実現しました。

 いずれ、EUは(時間かかってでも、各国国家は存在したとしても)通貨だけではなく、経済全体、政治、その他含めて、できるところから順次統合していくと思われます。真の国家間の統合が果たせるなら、名目上はあっても実質上は、もう国境線の意味もなくなるでしょう。

 国境線がないということは、各国間で平和でなければできないと言うことでもあります。何十万年とか言う人間の歴史からすれば、(有史以来の)人同士の争いの期間は、まばたきにもならない、ほんの一瞬と思われます。

 国境線があるのが普通ではなく、丁度アフリカ象などの動物が草地を求めて移動するように、渡り鳥が季節に合わせて飛ぶように、本来地球にも人間にも国境線は無用なのかもしれません。そんなことになれば、なんと素晴らしいことでしょうか。(記:2002年2月13日)

注:上記の文章を掲載した後、フランス留学中(2002年2月現在)の姪から、「EUでは、事実上国境がなくなった分、多くの問題点もある」との指摘を受けました。指摘の詳細は、下記をクリックして、ご覧下さい。物事は、何でもプラスもあれば、マイナスもあるものだとの認識を改め致しました。

『フランスあれこれ』『何でも情報その3』に「EUの問題点について」

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