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聞いた言葉・第125回目、水中カメラロボット

水中カメラロボット

 今回のこの言葉は、国立・佐世保工業高等専門学校(以降、佐世保高専)の先生や学生さん達が開発されている試作機の水中カメラロボット(ROV;Remote Operating Vehicle)の名称のことです。私は、2010年7月28日、大村市(大村湾岸沿い)にある盗人島(ぬすっとじま、通称:ドロボー島)で、水中探査模擬訓練されているところを拝見いたしました。まずは、この機材について、私がお聞きした範囲内で、その概要を下記に書きます。

水中カメラロボットの概要
(1) ロボット搭載カメラは、動画撮影用。 (4) モニタ−画面を見ながらロボットを操作。
(2) 耐圧水深(海水)は、約30m。 (5)バッテリー1個の駆動時間は約40分間、予備バッテリー数個準備。
(3) ロボットと(陸地側に置く)コントローラー間のケーブルの長さは、約50m。 (6) 設計も学生さんが行い、本体(実証実験機)も手作りで製作。

  また、先の7月28日に盗人島での実際に水中カメラロボットにて水中探査模擬訓練された模様は、一部ながら下記の写真の流れで少しはお分り頂けるかと思います。
  ただし、この日は、早朝の雨と波浪続きのため、海が濁っていたため、最初から「今日は、水中撮影できても写りが良くないだろうなあ」と言いながらの訓練となりました。当日、水中カメラロボット、液晶モニター、ケーブル、バッテリーや洗浄用の水など、かなりの重量で、駐車場から島の前まで、さらに陸地側から約30m、約30個の飛び石を渡りながらの運搬となりました。

  佐世保高専の学生さん達は、盗人島に機材一式を運び終え、その後、手際良い水中カメラロボット装置の組み立てとなりました。次に、ロボットを水中に入れて試しに前進、後退などの入念な作動点検含めて、陸地側にあるコントローラー操作盤にて、沖合へ水中ロボットを動かされていました。私が見た範囲内、このロボットは、けっこうスムースな作動で前進、後退などができていました。

  また、水中カメラロボットが岩場に近づいた時には、モニター画面にくっきりとゴツゴツとした大きな石などが表示されていました。しかし、この日は海が濁っていたため、例えば魚とかは見えにくい状況でした。次に機会あれば、天気の良い、海が濁っていない(波浪の少ない)日での探査模擬訓練をされれば、再度見てみたいと思いました。  私は、テレビや映画の世界で水中の映像(動画)は、何回か見たことはあります。しかし、実際に、このように目の前で海中の状況を液晶モニターで見たのは初めてでした。

 あと、私のほんのささやかな経験談で申し訳ありませんが、20年ほど前に沖縄・座間味島で水深数メートル程度では浸水しないカメラ(当時はもちろんフィルム式)でサンゴ礁などを写した経験があります。しかし、透明度50メートル位の澄んだ海でも、人が見ているよりも海中では光線が屈折している関係上か、意外に暗く写っていて強力なライトの必要性とか、色々と感じていました。

  そのような透明度の良い沖縄の海と違って、大村湾岸の水中探索は、ただでさえ様々な難しさがあるとは思います。さらには、人が手で動かすのではなく、名称通りロボット操作での水中探索ですから、佐世保高専の皆様は多方面から色々と工夫されていると思いました。 あと、今回この盗人島の探索の目的の一つは、「(島周辺にあると言う)水中石組みは、実際はどうなっているのか? どう写るのか?」です。

 この石組み自体は一説によれば「(1952年)大村競艇開設時の、近代土木事業では?」との話しもあります。しかし、現代では誰も見た人はいないので水中カメラロボットに写しだすかもしれない石組みは、その年代が「新しい、古い」は別としても郷土史の視点からも興味ひくものです。また、水中石組みの周辺に、もしも古い年代の碇(いかり)用の石や陶器片・磁器片が見つかった場合は、「新しさ」が再考されるかもしれませんので、実際、海の中を見てみないことには始まりません。

  あと、口では一般に「日本は海洋国家」とか「日本一長い海岸線の長崎県、長崎県は海洋県」などと良く言われています。しかし、その海岸線の水中部分は、実際どこまで調査が進んでいるのでしょうか。今回一つの例だけでなく今後において海洋研究、観光、歴史、産業など様々な分野でも、まだまだ未知の領域が、海中(水中)には多くあるように思われます。私は、そのような調査の役割を担うのが、このような水中カメラロボットかなあとも思いました。

 ただ、物事なんでも最初から「全て大成功」とか「100%完成」と簡単にはいかないでしょう。でも、何か扉を開けようとしない限りは「成功でも、失敗でも」見えてこないことも事実です。 私は、このようなことから、この佐世保高専の学生さんが試作されている水中カメラロボットは、今後様々な可能性を秘めた若いエネルギーのようにも見えました。

 関係リンク先 佐世保工業高等専門学校のホームページは、ここからご覧ください。
福重郷土史同好会・第32回例会報告(盗人島関係も報告)は、ここからご覧下さい。
・元々、盗人島関係は西日本新聞(2010年5月13日、19日の2回)の報道によって有名になったが、日時経過のためサイトの記事内容は削除されている。
 
(記:2010年8月7日)
  

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