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ロレックスの時計

 17時に駅からモンブラン通りの一つ横のアルプス通りを歩いた。モンブラン橋の前で写真を撮った。ロレックスとピアジェ専門店の「ブッへラー」に行った。ここはジュネーブでは老舗の店だった。

 中に入ると日本人女性店員が相手をしてくれ「時計ですか? どんな種類を?」「ダイバーズ・ウォッチを見たい」と言うと5種類の時計を見せてくれた。

 会社の同僚が、5人同じ形式番号16610のダイバーズ・ウォッチを持っているので同じ物にしようかと思ったり、ジュネーブまで来たのだから別のにしようか迷った。しかも、大勢で「上野君が大金を払うところを見ておこう」とか皆が冷やかす。

 小林さんの忠告もあり、一旦頭冷やしに外に出た。店を出る前に店員が「今度は一人で来て下さい。まだ、開いてますから」と言われた。外に出ると皆さんは隣のシャネル店の前にいた。

 申し訳ないと思いつつ、訳を話した。「ヨーシ、あれにしよう」と決断もつき、10分後再度「ブッへラー」に入った。日本ではまだあまり出回っていないと思われる色違いの『形式番号:16613、OYSTER SABUMARINAR BULUE&GOLDE』を手にした。

 スイスフランで5900を5546フランにしてくれた。ANA(VISA)カード支払いの関係上パスポートを見せながら日本の住所を書くと「上野さんは池田市ですか。私は以前川西にいまして隣の町ですね」と言われた。

 入社以来21年間さらには沖縄の離島に毎年のように通い続けて約10年間ダイバーの仲間が持っていてうらやましく思っていたダイバーズウィッチ。長年憧れていた時計を手にしたので嬉しさが隠せなかった。これ以降皆さんから相当日数の間「上野さん、今何時?」とわざと尋ねられ冷やかしを受けた。

 私も「小学校の時、親父から新品の自転車を買ってもらった心境のようです」と応えた。ただ、この買い物だけで時間が30分程かかり、その分旧市街見学が遅れ、皆さんにすまない気もしていた。(1994年1月1日記す)


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