フランスでは、大学生などが職場に行って研修することをSTAGIER(スタジエ、研修生)と言います。また、 数は多くないものの、APPRENTI(アプランティ、見習い生)もいます。これは 中世の職人などの制度で徒弟制度というものの名残です。
通常のホワイトカラーにももちろんあり、見習生の方は期間の定めのある労働契約です。研修生は労働契約を交さないです。学校、受け入れ機関・企業、学生の三者間で合意書を交します。
この二つのタイプでは必ず、後見の上司が一人つきます。 その人の指導下ということで仕事をします。見習制度、研修制度ともに将来の雇入れの可能性はないわけではありません。多くの企業がこの研修期間での実績をもとに、また学生の希望するミッション、部署がマッチした時点では雇い入れもありえます。
日本のように新卒で直ぐ、入社して、最初の一年は学生時代と 大きく違う生活に切り替わりますが、このフランス(欧州に多い。 イタリアも発達しているそうです)の研修、見習い制度は学業とある程度並行して(研修を必修にしている学校もある)できるし、 本格的職業生活デビューへの予行期間としてよいと思います。
それでも、付け加えないといけないのは、この研修、見習いが 決して楽なものではない(コピー取りとか雑用ではない)という ことです。多くの研修生、見習い生はミッションを与えられて、 それをし、最後に結果プレゼンテーションをして終わります。
そしてそのミッションの遂行、専門性、本人の希望をあわせて、 雇い入れがされるのです。 フランスで日本のような妙な就職活動をする若者を見ないのは、この制度によるところが大きいと思います。
そういうわけでフランスの企業は若者をとる時、 常にその人物はもちろん、即戦力としてどれくらいのことができるかを見ます。圧迫されるような面接などではなく候補者には「自由に自己紹介してください」という形で面接はされます。
研修を通して、雇う側も雇われる側も、事前にお互いを知り、本番の就職段階になる前から、また、お互いに対策を立てて望めるので合理的と言えます。(2002年9月1日、パリにて)