TOP INDEX BACK NEXT

真心こもった中小業者さんの仕事ぶり

 私は今回のログハウス建設に当たって、ログハウスメーカーや大工さんだけでなく、全てに渡って本当に各業者の方には恵まれ、さらには助けて頂いたと思いました。それはプロだから当然と言う人もいるかもしれませんが、仕事プラスアルファがあったと言いたいのです。私は大阪空港で25年間全日空グループの会社で働き、また、関西圏での(よくテレビでも出るような)大企業も近くにあり、長所も短所も情報としていくつか常に入って来ていました。

 それが、宅地造成工事から上物建設に至る全ての業者さんと接し、空港で味わった以外のことを実体験いたしました。人数だけで言えば一番大きいのは日田群森林組合ログ・ハウジングで、他は一人もしくは数名多くても数十名規模の業者さんたちでした。また、宅地造成の尾上さん、大工の里さん、電気の木村さん達は親子で他の方一緒に仕事しておられました。親が子に教えながら作業される姿は何かしら心暖まるものを感じました。

 大手はバブル全盛時代に我が世の春を謳歌した時もありましたが、その時だって中小は不況よりはましと言う程度だったろうと思います。ましてや、今はいずれも苦労されていると聞きました。完成祝いの日に「いい施工をして頂き、ありがとうございました」と言いながら、お酒をついでまわると「採算を度外視してやったよ。あんたの人柄そうさせたんよ」「昔風に接してくれた」「毎日おやつ持って来てくれ、楽しか話しもできたばい」などとお聞きすると「私なんか、たいしたことなかです。飛んでもない」と言ってました。また、「若い大工さんの中には『ログハウス作りのため毎日来るのが楽しみだった』と言ってたよ」とも、後日教えてもらいました。

 亡くなった父は生前、二度に渡って大きな改築をしました。その当時、私は学生でしたが、子供心にも父が大工さんたちに対し、尊敬心をもって接していたのを少しは覚えていました。また、私は手が不器用で技術のある方はうらやましく思っていました。自然石で石垣を積んで最後は水平の高さにする、ジグソーで丸く板を切る、鏡と同じくらい平らな基礎塗り、寸分の狂いもない木の張り方や建具の高さ調整など、本当に感心して見ていました。だから、私は自然に各業者の方に「作って頂いている」と言う気持ちで一杯でした。

 このような立派な技術は専門学校だけでなく、親子代々も含め古来から技と巧みの伝承があったればこそです。また、この技術は自然素材の加工に最も適しているし、逆に、自然素材の扱いの難しさが大工さんや職人さんの腕を上げることにつながっているとも思いました。

 私は新建材で出来た家でなく、体にも地球にも優しい自然素材で出来た家が見直されることを本気で望んでいます。この木造住宅はまた今回お世話になった中小業者さんの領域と作業発注量の拡大にもなると思うからです。同じ仕事なら誠実で丁寧な中小業者さんをお薦めします。(記:1998年3月)

TOP INDEX BACK NEXT