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あとがき
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マルチェロ劇場
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アポロソシアノ神殿
古きを訪ねて新しきを知る
 この(1996年)『ローマ・パリ旅行記』も、あとがきを書くことになりました。冒頭の「はじめに」のページにも書いていましたが、私の甥・姪の(当時)大学入学祝いを兼ねた旅行でした。義兄含めて合計4人によるローマ4箔5日、パリ3泊4日の行程で、移動は地下鉄と歩き中心ながら、気ままに名所旧跡を訪ねた感じでした。

 海外旅行は、色々なことも起こりますが、今回は予期せぬこととは言え甥の捻挫や義兄のスリ被害などありましたが、それい以外はほぼ普通の旅行だったと思います。とりわけ、両都市をゆっくり歩き回ったと言う印象が残りました。また、私はこの旅行時点で3回目のヨーロッパで、しかも行った場所も同じ所が多かったですが、新たな発見や再認識の連続だったなあと思いました。

 改めてローマ、パリを考えると世界中に知れ渡っているような大都市なのに、日本の東京にない”あの感じ”は、どこから来るのでしょうか。もちろん両都市とも至る所に世界遺産や名所旧跡があり、ローマなどは千年、二千年の遺跡が街中にゴロゴロしているようなものだと思います。

 石造りの建物=長持ちする、だから古いのだと言う説明は、その通りだと思います。確かにヨーロッパに行けば百年、二百年の家や建物は、”新しい”と言えます。家具調度品類に関しても、古い物を何世代にわたって大切に使われています。

 日本は、鉄筋コンクリートの建物でも50年位経ったら、もう耐用年数が来ているとか、そろそろ立替かの話が出るのは、そんなに珍しいことではありません。私は建築費用の詳細は知りませんが、石造りの建物と対比しても鉄筋コンクリート製は例えば3分の1以下の極端に安い費用で建てられるなどと聞いたことはなく、かなりの費用がかかるものだと思います。

 建物の古さと言えば何もヨーロッパ対比だけでなく、国内でも日本最古の木造建築と言われている奈良・法隆寺の五重塔などは1300年以上前に建てられたと言われています。その年数までもと言いませんが、建物を(とりわけ公共施設など)50年位で解体、立て替えなどは、なんともったいない話のような気がします

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凱旋門
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写真中央:モンマルトルの丘
 もったいないと言う側面だけでなく、例えば小樽市内にある明治、大正時代建築の歴史的建造物や小樽運河などは、それだけでも観光客を引きつける魅力ともなっています。50年間隔くらいで立て替えを繰り返すような建物ばかりの街で、色々な観光誘致策を実施しても、果たして観光客の心までとらえることができるのでしょうか。このようなことを書けば、「いや、うちの街にも古い建物はあるぞ」と言う声が聞こえてきそうですが、それは面ではなく点だと思います。

 ローマやパリに数回行ったからといっても、そこに住んでいる人々の暮らしぶりや街についての詳しい感情まで分かりません。でも、一歩足を踏み入れた時に思う”あの感じ”は、街全体の歴史の重みと、水や空気みたいに極自然にそこを大切にして生きておられる人たちの生活感からくるのかなあとも思いました。

 日本で、いつも解体、建てかえを繰り返すようなやり方ではなく、何か生かす手立てはないのでしょうか。古きを訪ねて行った旅行なのに、何か今現在のあり方を考えさせられたことでもありました。

 最後に、私の海外旅行は、今まで(2006年現在)4回です。その4回の旅行とも「見て、聞いて、食べたまま風」の内容ではありますが、1986年の『ヨーロッパ3空港調査旅行記』、1993年の『スイス・パリ旅行記』、1996年の『ローマ・パリ旅行記』、2004年の『ストラスブール旅行記』を、これで総て書き終えました。内容は別としても完成できたそのものついて自己満足しています。また、いずれ機会あれば行ってみたいし、新たな旅行記も書いてみたいとも思っています。

 私の旅行記を読んで下さった皆様、心からお礼申し上げます。ありがとうございました。

(掲載日:2006年10月7日)

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