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車大国のアメリカから見えるもの

 私の住んでいます大村市は公共交通機関として路線も本数も少ないですが、JR大村線、バス路線、長崎空港などはあります。しかし、日常多くの場合、車中心の交通体系です。特に、私の住んでいる場所は分かりやすく言えば農村地帯でまるで展望台みたい所ですから車は何をするにも必需品です。私のまわりの農家では、仕事用のトラック含めれば一家に車は3台位はザラにありますし、家庭によっては5〜6台も珍しくありません。これは決して贅沢ではなく通勤や移動手段として各人が必要だからです。

 私は学校を卒業して25年間大阪にいましたが、この当時車の必要性は全く感じませんでした。その結果、例えばガソリンの値上げなどについても非常に鈍感でした。しかし、田舎に戻って来てから12年間その値段の上げ下げには毎回のごとく関心があります。このようなことから、今の住んでいる地域は”車社会のアメリカ”に近い状況ともいえます。当然、国土の広さ、車種の違い、燃料費の違い、その他様々な環境の違いはあっても、ある面”車中心交通体系のアメリカ”の実感は、最も分かる者かもしれません。

ロサンゼルス市内の通り

フリーウェイ (片側6車線に
プラス側道の4車線、合計片側10車線)

ザ・ビバリーヒルズホテル前のサンセット大通り

車大国アメリカ
 私は学生の頃より、「アメリカは車大国だ」と聞いてはいました。ただ、それは漠然とした認識で当然その実態も、あるいは車の台数さえ知りませんでした。今回の旅行(2008年11月のカリフォルニア旅行)を契機に改めて実体験含めて認識するチャンスがありました。

 まず数字上のことから、(独立行政法人・環境再生保全機構のサイトより。次の< >内がその数字です) やや以前の統計になりますが、 世界の四輪車保有台数(2000年)  アメリカの4輪車保有台数 アメリカ 22,150万台 、この台数は  2001年における世界の総保有台数のうち、アメリカがおよそ30% >と言うことです。(詳細は、同サイトの「クルマ社会についての基礎知識 1.世界規模でみたクルマの生産と保有(PDF:252KB)をご覧下さい」)

片側6車線でも混雑時間帯あり
 上記の資料を見ても車両台数が私にとって大きいので実感として湧きにくいものでした。ただ、ロサンゼルスのフリーウェイ両側12車線(1車線幅も日本より広い)が、ある時間帯でノロノロ運転状態が20分位ありました。この時、「なるほど、ロサンゼルスでは片側6車線あっても混雑するのか。やはり、車の台数が半端じゃないなあ」と初めて名実ともにと言いますか、「車大国アメリカ」を垣間見た気がしました。

車社会
 ロサンゼルスと言えば、全米第2位(人口約380万人)で、世界的な都市です。このような大規模の都市なら日本ではJR、民鉄、地下鉄、バス(さらには路面電車やモノレール)など縦横無尽に公共交通の路線網があります。その路線網の多さに逆に旅行者などは迷うほどではないでしょうか。これはなにも日本だけではなくパリでもロンドンでもヨーロッパの主要都市でも同程度でしょう。

 そのような日本やヨーロッパの状況を知って訪れたロサンゼルスでも最初、同様なものだろうと思っていました。ところが、鉄道、地下鉄、バスなどの公共交通機関もあるようでしたが、私の目にはあまり触れることがなく意外な感じさえしました。つまり、公共交通中心と言うよりも、ほとんど自家用車中心の交通体系になっていたようです。また、市街地での道路や歩道などの造りにも、そのことが随所に感じました。

アメリカでは高校生が車を持っている?

 アメリカでは州ごとに法律が違うため、今回の運転免許証取得についての内容は、あくまでもカリフォルニア在住の日本人ガイドさんのお話をもとに書いています。初めての免許取得状況について運転手さんの話を列記します。それは、次の「」内です。「日本の場合、18歳以上で何十万円もかかかり自動車学校などで何週間か数か月かけて免許を取っている(詳細は省略)」

 「アメリカは日本と状況が全然違う。年齢は16歳以上で費用は約1500円位。日数は予約次第では1日(正確には半日)で済む。 免許センターで筆記試験を受けたら仮免許がもらえる。実地教習などはない。その後、予約を取り自分の車を持ち込んで免許をとることになる」  「つまり簡単に言うとアメリカでは16歳で約1500円を払い、1日かからずに運転免許が取得できると言うことだ」などでした。

 つまり、アメリカでは(実際あるのかないのか今回の旅行では知らなかったのですが)例えば17歳の高校生でも自家用車持って通学にでも使えることは可能ではあります。このようなことは、日本では普通考えられないことです。車大国アメリカでは、その免許証の取得できる年齢や簡略方式からも日本とかなりの違いがあるようです。まあ、何事も各国の状況は、それぞれ違って当然と言えば当然ですが。

化石燃料に頼らない車と公共交通機関の見直し
  今回このページでも書きました通りアメリカの車にまつわる話は、保有台数にしても販売台数にしても、さらには運転免許の取得、道路の造りにしても多くの事柄が、「車大国」の地を行っているような状況です。しかし、私は、以前の項目で「アメリカ車は、なぜ本国でも売れないのか?」を書きましたが、そのアメリカの車についても昔の状況と段々と様変わりしつつあります。

 さらには、今回書いてはいませんが日本に比べて安いと言われていた燃料費も巨大投機マネーが一時期、原油相場に流れた頃、アメリカでも大騒ぎなり「相当困った」と運転手さんは話しておられました。また、いずれ石油や化石燃料も長く続かないとも言われています。はたして今まで通りの車社会が永遠に続くのでしょうか。

 ずっと「世界のビッグ3」とか「世界経済をけん引するアメリカ自動車メーカー」、さらには一見何事も便利そうにも見える「車大国」、「車中心社会」は、数世紀もしない内に様々なぜい弱さも露呈してきました。私の学生の頃聞いた情報と現在色々と見聞きする現実は隔絶の感さえします。
私の関係ホームページ
 カリフォルニア旅行記』(目次ページ)
 フランスあれこれ』(目次ページ)

 これは何もアメリカだけではなく、日本も事柄の大小はありますが「車社会」に変わりない私の住んでいる周辺地域でも等しく考えざるを得ないテーマでもあります。直ぐに答えが見つかる訳ではないかもしれませんが、結局のところ公共交通機関の見直しや化石燃料に頼らない車走行が、より一層求められているのかもしれません。

 車大国アメリカでも「公共交通機関の再評価をして見直していこう」みたいな機運もあるようです。とにかく広い国土ですから全て公共交通機関でまかなうことは難しいでしょうが、何か人の英知を結集すれば解決策はあるでしょう。今までの”常識”の変革さえ求められているのかもしれません。「車社会」の田舎に暮らす私も、全くアメリカだけのことではないのですが。

(掲載日:2009年12月10日)

アメリカあれこれ』の目次ページ
  
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