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私のカメラ紹介

アサヒペンタックス6×7
 名称 アサヒペンタックス6×
  ” ASAHI PENTAX 6×7
 所有レンズ 標準:タクマー105mm F2.4
  ”  ” 広角:タクマー 75mm F4.5
 主な特徴点 ・普通の35mm版カメラの操作性を
維持した中型カメラ
・ブロニーフィルム120、220を使用
・画面サイズは普通カメラの約4.4倍
 購入動機 山岳写真を大きく引き伸ばしたい
 購入年月日 1978年9月22日
 購入価格 色々込みで当初25万円位。
その後、広角レンズ、木製グリップ、
TTL付きペンタプリズムなどを購入し、
総額40万位。
 主な撮影 冠婚葬祭(特に結婚式)、集合写真など
 主な活躍期間 1978年〜現在
  このアサヒペンタックス6×7は、通称「ろくなな」と呼称していました。このカメラに関心を持ったのは、極めて単純な理由からでした。それは、部屋の壁に日本アルプスかスイスアルプスなどの山岳写真を新聞紙くらいに引き伸ばして飾りたいなあと思ったからです。

 購入した当時の年齢は26歳だったのですが、今思うと「まあ、後先良く考えず、勢いで買ったものだ」と思っています。ただ、自分で言うのも何ですが、その数年後も広角レンズ、TTL付きのペンタプリズムファインダー、木製グリップなども購入していますから、一応色々と考えていたのでしょう。

 ただ、カメラ、レンズ、アルミ製の大型カメラケースの重みなどは、実際持ってみて初めて「やはり重いなあ」と実感したのですから、お恥ずかしい限りです。特に、飛行機に乗って遠出する時、手荷物として預ける訳にもいかないし、かといって機内持ち込みではなかなか置く場所もままならないし、その都度考えて乗っていました。

 カメラの大きさ別とフィルムなど
種類別
画面サイズ
使用フィルム
小型カメラ ペンタックスSPの場合
24mm×36mm
普通の35mmフィルムを使用
中型カメラ ペンタックス67の場合
55mm×70mm
ブロニーフィルム(注1)を使用
大型カメラ 代表例4×5の場合:
102mm×127mm
4×5(注2)用のフィルム
 ここで話は少しそれますが、カメラの大きさ(画面サイズ)について述べたいと思います。画面サイズと言っても何か規格があるかどうか私はその知識がありませんので、一般的にいわれているようなことを右表にまとめています。

 フィルムカメラで普通(35mm版)のカメラは小型カメラとしました。ブロニーフィルムを使うカメラを中型カメラとして、それ以上のフィルムを使うのを大型カメラと大別しました。

注1:ブロニーフィルムは、60mm幅の裏紙付きロールフィルムのことです。規格で120、220があり、カメラ機種によって撮影枚数が違いますが、ペンタックス6×7の場合120は10枚、220は20枚撮れます。なぜ、このフィルムを「ブローニー(Brownie)フィルム」と言うのかは、1900年当時カメラとフィルムを作っていたコダック社が、小人のキャラクターを用いてコマーシャル活動をしていたことに起因しています。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
注2:大型カメラの代表例4×5は、普通「しのご」とか呼ばれていますが、4インチかける5インチサイズのことです。1インチ=2.54cm)

 ペンタックス6×7の場合、画面サイズ(1枚のフィルム面積)は、単純計算で普通のカメラの約4.5倍となります。このフィルム面積でプリントした場合、サービスサイズやハガキ大の大きさまでは、「写真画質が精密だなあ」位は分かります。ただ、この面積の威力がより分かりやすいのは、半切サイズ(356mm×432mm)や全紙サイズ(457mm×560mm)などに引き伸ばすと、普通の35mmフィルムと、断然違って見えます。最初の頃、ちょっとした驚きでした。

 あと、精密度の違いでは、スライド用のフィルムならばプロジェクターを使い100インチ位のスクリーンに映写した場合、35mmフィルムとブロニーフィルムサイズと比較すれば、これまた明らかに違って見えました。一応画面サイズ上で約4.5倍差があるとは分かっていても、スクリーン上に大きく映し出されたものを見ると、それ以上の差を感じていました。

パリ、サクレクール寺院
ローマ、ナヴォーナ広場
 このカメラの当初目的は今なお実現していませんが、冠婚葬祭ではかなりの活躍をしました。ある同級生の結婚式で大きく引き伸ばしてアルミ額に入れて新婚夫婦にプレゼントしました。すると、その新婦が「大きく写っているのは嬉しいけど、私の顔の染みまで写っている(笑い)」と怒られたことがありました。

 これも予定外でしたが、「もう歳とって写真館まで行けないので自宅で、おじいちゃん(おばあちゃん)を撮ってもらいたい」と頼まれました。それを聞き座敷で紋付羽織袴姿を撮ったこともありましたが、いずれも「良く撮れている。これで安心できた」と言ってもらいました。今は、壁に飾られていますが、なにかしら表情柔らかに語りかけて下さっているような感じが私はします。

 あと、このカメラが最も活躍した年が、『1996年のローマ、パリ旅行』でした。今までフィルムと言えばネガの120しか使ったことありませんでしたが、この時初めてリバーサルフィルムの220と言うスライド用のを10個、旅行前に購入しました。

 カメラ一式約4キロ近くを肩にかけてローマやパリ市内をウロウロと持ち運ぶのは、なかなかの労力でした。でも、その苦労した分の甲斐あってか、はたまたリバーサルフィルムの色合いの良さもあってか、「今まで数回来て撮った写真よりも格段に良く撮れたのでは」と自己満足していました。(右掲載写真は当時のものです)

 リバーサルフィルムをプリントした時、やはりネガフィルムと雰囲気も質感も全然違うなあと改めて実感しました。あと、この時に撮ったリバーサルフィルムは経年変化して劣化しない内にと思い、その後スキャナー読み取りでデジタルして保存しましたが、このようなデジタル化にも向いているフィルムだなあとも思いました。

 今まで画面サイズやフィルムのことを長々と書いてきましたが、カメラ本来の操作性についても、少し触れたいと思います。このペンタックス6×7は、最初ブロニーフィルムを装填する時だけ違っていますが、その他はキャッチフレーズ「普通の35mm版カメラの操作性を中型カメラに生かした」の通りです。つまり、カメラを構えた時の大きさや重さは別ですが、操作それ自体は、普通のカメラと違和感はありませんでした。

 あと、このカメラを使っていた時のエピソードを少し書きます。(レンズ自体も普通のカメラより大きいため)「なんか、そのカメラじっと見ていたら、そこに吸い込まれる感じがするねえ」とか「プロの人に撮ってもらっているような気分がして、モデルさん並みね
(笑い)」などと女性の方から言われました。また、結婚式でケーキ入刀の場面などを撮る時、大勢押し寄せても、いい場所を私の方に優先的に皆さん空けて下さいました。

 ただ、少し困ったこともありました。主賓挨拶などじっと静かに聞いておられる時、シャッターを押すと会場一杯にミラーの操作音が響き渡り、皆さんがカメラの方に一瞬注目されていました。後で「そのカメラ、すごい音がするねえ」と言われたことも何回かありました。(ミラー自体も画面サイズと同様
約4.5倍大きいですから、それなりの音がするのは当然なのですが)

 ペンタックス6×7含めて中型カメラ全体、ただ単純に画面サイズが大きいと言うだけでなくレンズ群も優秀なものが多く、そのため表現力が豊かに撮れるようです。単に数字上に表示されている性能に納まらず、中型カメラが持っている奥行き、広がり、質感、完成度などから、プロの写真家の方々が愛用されている理由が私でも少し分かるような気がします。

(掲載日:2006年3月24日)

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