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はじめに
 

 私が大阪空港で働いていた頃(私の入社が1972年ですから、約30年前)の話しです。同じ職場の同僚が、腕にはロレックスの時計、自宅には、ステレオのマッキントッシュやJBLのセットなど、大変高価な物を所有していました。(多分に当時の値段で、腕時計は50万円、ステレオセットは全部で500万円くらいはしたと思いました)

 その同僚と彼の所有している外国製品の話しをしました。彼が言うには、「日本製品は、直ぐモデルチェンジするし、壊れやすく、長年使えない。その点、自分が持っている外国産は、高いけど誇りを持っておれるし、長年使えるから、値段も見合ってくる」とのことでした。

 私自身は、とてもそのような高価な外国製品など、当時買うお金もなかったし、時計など時間が分かれば、それで良いと言う考えでした。それで、彼の言っている意味も実感も分からず、そのまま時間は、過ぎました。

 1986年2月ヨーロッパ主要空港調査のため、初めてフランス、イタリア、イギリスを訪問する機会がありました。まともなコートを持っていなかったので、パリでバーバリーのコートを買うことを最初から考えていました。本格的な外国製品の購入は、初めてでした。

 その後、ヨーロッパに行く機会があり、そのたびに何かひとつでもと思い、買い足してきました。段々、外国製品の良さが、私にも分かってきましたし、これを機会に逆に日本製品も、極めて優れた物だと実感できました。

  この国内外の製品の良さは、共通して、「職人技」「本物」「実用本位」だろうと思います。約30年前、元同僚が実感して、言いたかったのも、この共通項にあったろうと、今頃になって思っています。

 私自身が購入し、実際使ってみての感想と、それにまつわる思い出話しも、今回まとめてみたいと思い、この本を書きました。また、この中には、日本国内外の職人技のすばらしさを表現したかったこともあります。手になじみやすい良い器具や商品は、そのほとんどが職人の手作りから生まれているのだと、改めて感じています。

 私は、自宅のログハウス見学されたついでに、これらの製品を話題のひとつとしてお見せします。そうしましたら、「上野さんは、高級思考ですね」と言われたこともあります。その時、私は、「ブランドや高級思考ではなく、本物・実用論者です」と返事しています。

 なぜ、私は、本物・実用にこだわるのかと言うと、何とはなしに見ていたテレビなどマスコミ宣伝の影響を受けて、選択の失敗をした反動もあります。(ようは、宣伝にだまされて買ったような物もあり、結果、短期間で壊れたり、飽きたりするものですから、できるだけ本物・実用思考になったと言うことです)

 この本を読んで頂き、皆様の何かのお役に立てば幸いです。(記:2001年5月9日)

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