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聞いた言葉・第139回目、何がヒットするか分からない時代

何がヒットするか分からない時代

 この言葉、どちらかと言いますと、ヒットの文字があるので音楽のヒット曲とか、テレビまたは出版関係とかで有名になった作品を連想します。ただ、現在では、先の事項だけではなく様々な業界や色々な場面などで、けっこう多く使われています。例えば、ある日用品とか、あるIT機器とか、ある県の特産物や郷土料理など、沢山の(売り手側の総称として)商品も話題も事柄も、何かのきっかけで急にヒットした場合などです。

 この種のことは、本当に沢山の事例がありますので具体例を書けないのですが、少しだけ私のおおまかな記憶もあります。例えば学校の勉強だけでなく自分の趣味で長くコツコツ研究や作り続けていたモノが、国内中に広まったり特許取得する新商品で売れたりとか。あるいは専業主婦の方が、日常の家事の中から作業しやすいように工夫を重ね、その中からヒット商品につながった例とか、数多くあるようです。

 また、本人はこの種のこととは関係なしに、地道に地域で活動していたところ、たまたまテレビなどで取り上げられて大きな話題になり、全国に波及した例などもあったと思います。いずれにしても、現在は、情報社会、IT時代とかとも言われ、従来ならあまり目立たないことでも一気に拡散され、さらには加速度的に進むので、現在は何がヒットするか分からない時代とも言われているのは当然のような気がします。

 私が思うにヒットに至るまでの役割上、マスメディアが取り上げたみたいな影響も大きいでしょうが、、そもそも元々の商品の質、便利さ、あるいは多くの人に好まれるみたいな基本的な要素が備わっていないと、たとえ一時期話題に登っても真のヒット商品とは言えないでしょう。つまり、本当のヒットとは、多くの人々(できれば日本国民だけでなく世界相手)に購入して頂き、さらには何世代にも渡って長く親しまれる事柄、商品、アートなどを言うのではないでしょうか。

 以前でしたら、例えば広告宣伝費に何千万円あるいは何億円とかければ商品、音楽などでは、「今話題の・・・・」とみたいな売り方でも、それなりにヒットしたと思います。しかし、現在では、なかなかそうはいかない状況もあるようです。

 そのため、ヒットを生み出すための努力は、様々な業種の各会社で日夜それこそ必死におこなわれ、たまにはメディア関係でも、その経過模様まで取り上げられています。私も「それは、そうだろうなあ。ヒットする定義もヒットの法則もないのだろうから当たればマスコミの話題にもなるだろうなあ」と思います。

 あと、ヒット狙いでマーケットに掛けても、結果としてそうならなければ大損にもなるでしょうし、最悪、会社では倒産や人によっては、その分野での活躍から退かれる方もいらっしゃるでしょう。音楽が分かりやすいので書きたいと思います。例えば、現在は有名演歌歌手でも最初は全くヒットせず10年近く歌っていて「これが歌手を辞める最後の時期」と思っていたところが、新人の時に吹き込んだ歌謡曲が、その頃になってやっとヒットしたみたいな話は良く聞きました。

 また、海外の音楽でも例えば結婚式では必ずと言ってよいほど新郎新婦入場かキャンドルサービス時にBGMとして良く流される「愛はかげろうのように(I've never been to me )」と言う曲があります。これは、アメリカの女性歌手シャーリーン(Charlene)の曲です。何かの雑誌か忘れましたが、この曲の誕生時は、本人の才能も、作詞家・作曲家・レコード会社などのスタッフも含めて全て一流の方が担当されたそうです。しかし、何年間もヒットしませんでした。そして、5年間位も過ぎたある日にたまたまラジオ局で、この曲を流したところ視聴者から問い合わせが殺到し、その後、全米中の大ヒットとなったそうです。

 この歌手やこの曲の場合は、たぶんに聴く側(音楽好き)の感性に当初は響いてなくて、時間を経る中で聴衆側の状況や雰囲気も変わり、まるでワインが熟成し飲み頃となったように、あるいは長い経過時間が味方したかのように後で大ヒットしたのだと思えます。この曲の場合、極簡単に言えば当初より後の時代の方が、聞き手が求めていたのかもしれません。

 これと似た感じで「商品の質、便利さ、あるいは多くの人に好まれるみたいな基本的な要素」があっても、色々な業種の様々な商品が、ある時ヒットする保証は何もないような気もしてきます。「前回ヒットしたから今回もヒットすると思ったのに・・・」とか、「今回は宣伝費用に前回の倍額かけたのに結果は残念だった」みたいなことも世の中には多々あるようです。

 逆に、企画した人や売り手側が、「シンプルな形にしただけなのに、これほど売れるとは思わなかった」みたいなことも良く聞かれることです。私のような者が言うまでもなく、世の中にヒットの法則がない以上、やはり現代は、何がヒットするか分からない時代だと思われます。そのためにも、日常普段の商品の品質、付加価値、市場調査、開発力などは、最低でもやっていないと、そのタイミングも見つけられないと言うことになるのでしょうか。

(記:2012年2月27日)
  

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