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聞いた言葉・第215回目、新聞記事は歴史書の最初の草稿だ

新聞記事は歴史書の最初の草稿だ

 今回の言葉の出典は、先に掲載中の「聞いた言葉・第212回目、報道が仕えるべきは国民だ。統治者ではない。」ページにも書いていますが、2018年3月30日公開映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書(THE PENTAGON PAPERS)』(英語名:The Post)からです。

 そのようなことから、映画のあらすじ、監督、配役などの概要は、「報道が仕えるべきは国民だ。統治者ではない。」ページか、または映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』の公式サイトページから参照願います。

上記写真はブルーレイディスク・DVD盤  
 この言葉は、映画の最後半近くで、アメリカの新聞、ワシントン・ポストの社主であるキャサリン・グラハム(女優メリル・ストリープ)が、印刷前の活字写植機械周辺で、編集主幹ベン・ブラッドリー(俳優トム・ハンクス)に死んだ夫の言葉として、語りかけるシーンで出てきます。

 それは、「彼が言うには、”新聞記事は歴史書の最初の草稿だ”」という言葉です。この前後の会話全文を書く前に、改めて広辞苑で新聞と、歴史の用語解説書いておきます。それは、次の二つの<>内です。

 <新聞(しんぶん)=(1)新しく聞いた話。新しい知らせ新しい見聞。ニュース。 (2)新聞紙の略。社会の出来事の報道・解説・論評を、すばやく、かつ広く伝えるための定期刊行物。多くは日刊で週刊・旬刊のものもある>

 <歴史(れきし)=(1)人類社会の過去における変遷・興亡のありさま。また、その記録。 (2)物事の現在に至る来歴>


 先のキャサリン・グラハム(女優メリル・ストリープ)の言葉について、私は、映画館で当然、日本語字幕で最初に見たのですが、「なるほどなあ」と同感しながら強く印象に残りました。また、DVDで、何回となく英語、日本語訳も見ました。その結果、先の言葉の前後には、次の「」内(和訳)と、台詞(英語)でした。

 「新聞記事について、夫はこう言っていた。”歴史書の最初の草稿だ”。 いい表現よね。 いつも、うまくいかない。 いつも完璧じゃなくても最高の記事を目指す。それが仕事でしょ」

 You know what my husband said about the news? He called it "the first rough draft of history." That's good, isn't it? Oh, well, we don't always get it right, you know? We're not always perfect, but I think if we just keep on it, you know? That's the job, isn't it.

 上記の言葉で注目すべきは、当然このページの標題にしています「新聞記事は、”歴史書の最初の草稿だ”」もあります。それと同時に新聞は、「うまくいかない」時もあるし、 「完璧じゃなくても最高の記事を目指す」という点も、大きな着眼点だと思えます。つまり、あくまでも新聞歴史書でなく、草稿(後で手直し、補足などもある原稿案)ということではないでしょうか。

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 トリクルダウン理論(trickle-down theory)
  あと、新聞の果たす役割は、歴史書の草稿を書いていく気概だけではなく、やはり、なんと言っても「報道が仕えるべきは国民だ。統治者ではない。」のが、最重要ではないでしょうか。この観点を忘れ、仮に為政者(権力者)の代弁機関に新聞や報道各社がなった場合、それは、後世の歴史書にならないでしょう。

 上記と関係したことで、アメリカ合衆国第16代大統領アブラハム・リンカーンが、有名な言葉を残しておられます。それは、次の<>内の通りです。

 <一部の人たちを常に、そして全ての人たちを一時だますことはできるが、全ての人をいつまでもだまし続けることは出来ない。 英語: You can fool some of the people all the time and all the people some of the time, but you can't fool all the people all the time.(Abraham Lincoln 1809-1865)>

 この日本でも、以前ならば考えられないような事柄(中には国民生活と直結した事項で、取返しのつかないような問題)さえ発生しています。それでも、国民の立場に寄り添わず、まるで政府などの言い訳機関かと思えるような報道内容に、国民はいつまで従順なのでしょうか。

 国民生活の深層深部では、直接目には見えないのでしょうが、様々な要因から来る深刻さの度合いは、より増しているように思えます。多くは書きませんが、私は、こんな時期だからこそ、新聞始め報道各社は、本来の役割を発揮されたらなあと、ずっと考えてもいます。

 そして、その活躍・健筆の成果で、後世の歴史家が、「あの当時、新聞が頑張ってくれたおかげで国民生活は守られ、その後良くなった」と、歴史書に書いてもらえればと想像したいです。そのことが、本来、「新聞記事は、”歴史書の最初の草稿だ”」の所以(ゆえん)とも思えます。


(記:2019年1月28日)

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