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驚異のローマ建築、その6
 フォルトゥーナの神殿

フォルトゥーナの神殿

フォルトゥーナの神殿
 このフォルトゥーナの神殿へ行ったのは、1996年9月1日でした。私は、この日トリトーネ通りやトレヴィの泉などを経て、ここに歩いて来た関係上フォルトゥーナの神殿の位置関係をよく覚えています。

 あと、なぜ位置関係を先に書いているかといいますと、本当はこの神殿ではなく、丸い屋根の下に丸い円柱が輪になって建てられているようなヴェスパの神殿を見たかったのです。

 このヴェスパの神殿は映画『ローマの休日』に登場する印象的な建物で、近くに行く機会があれば是非見てみたいと思っていました。しかし、あいにく工事中で、金物のパイプやテントで覆われていました。

 それで、止むを得ず、ヴェスパの神殿近くにあるこのフォルトゥーナの神殿が目に入ってきました。誰でもが手を口の中に入れて写真を撮る『真実の口』(ポッカ・デラ・ヴェリタ)があるサンタマリア・イン・コスメディン教会の行き帰りの通りから見えました。外側から少し撮ったのを、このページに掲載しています。

真実の口広場とフォルトゥーナの神殿(右側)
 まず、フォルトゥーナの神殿は、ティヴェレ川沿いにあり、川と真実の口広場(真実の口通り)の間に位置しており、やや隣にヴェスパの神殿があります。形は上の写真でお分かりの通り四角形です。大変たいへん大雑把ですが大きさは、横幅20mないような、縦幅は10mないような感じがしました。

 建築は、紀元前2世紀頃といわれています。ローマの神殿では最古で、しかもほぼ完全に近い形で現存しているという貴重なものです。この神殿は、海や港の守護神であるポルトゥヌスを祀ってあったものと言われています。近くには、ティヴェレ川もありますし、この水運が栄えた頃に、この近くには倉庫もあったものと想像されています。

 つまり、紀元前2世紀頃(その前後も含めて)は、ティヴェレ川(さらにその先には地中海)を利用した水運がローマ内外からの物資の輸送に大活躍していたと思われます。そのため、大事な船、倉庫、航行などを安全に守ってもらえるように、海や港の守護神であるポルトゥヌスに捧げたものと思われます。

 あと、この神殿の名前のフォルトゥーナ(FORTUNA)とは、幸福の女神だそうです。私が外観を見た時は、神殿内部までは見ませんでしたので、帰国してから調べて「あー、もう少し詳しく見ておけば良かったかなあ」と思いました。そう目立たない建物でしたが、まあ何と言ってもローマですから、色々な所におもいもしない建物があるものだと、後で本を見ながら再認識しました。(掲載日:2005年5月6日)

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