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はじめに
私は、長崎県大村市の実家近くの土地に1997年12月末(外部塗装などは98年1月までかかりました)にログハウスを完成させました。きっかけは10年位前に『ログハウスプラン』(婦人生活社が出版)と『夢の丸太小屋で暮らす』(以前は山と渓谷社、現在は地球丸が出版)のログハウス専門誌を書店で偶然みつけたからです。その後、両誌は定期購読し、全国のモデルハウスやログメーカーを尋ね歩きました。
1994年8月、残念なことに父が亡くなりました。法事などで、田舎に帰ることが増えたことを契機に土地探しが始まりました。ほどなく、実家近くの荒れ地(元は農地)が見つかりました。ここは長崎空港、大村湾や市街地が一望できる土地でした。当時、勤務していた大阪空港の会社の退職も決意して、農地転用の行政手続きが完了しだい家を建てる計画でした。行政手続きは少し年数はかかりましたが、1997年2月に完了し、その後、宅地造成工事、ログハウス建設と、ほぼ順調に進みました。
私は7年前から現在まで、ログハウスばかりではなく、普通住宅も含めて、今の家作りに疑問や問題があるのではと思っていました。その中でも、特に、新建材は健康にも影響しているのではと感じていました。何か科学的理由からでなく、各地のモデルハウスを見学した時、何か、私に合わないものをずっと体験していました。また、1995年1月17日早朝、当時住んでいた大阪、池田市であの阪神大震災を経験しました。その後、神戸の目をおおうばかりの惨状も直接見ました。なぜ、バタバタと民家が倒れているのか、その中にあっても何事もなかったようにすっくと立っている民家もあるのか、などです。
さらに、私自身が長年見てきた専門誌や全国のモデルハウス、建築前後に一緒に建てた設計士や大工さんとの会話などから、一般に行われている家作りに少なくない疑問を持ちました。その道のプロはさすがにすごいと思いますし、私は雑談の中でも傾聴に値する話しが随所に出てきて、勉強になりました。ただ、過去の経験にとらわれて、新たな発想や疑問などが起こりにくい、あるいは営業担当に至っては「問題が分かっていても、売るためには仕方ない」と言う立場もあろうかと思います。
私は建築士でもなければ、住宅メーカーのプロでもありません。家に関しては全くの素人です。でも、家を建てたり、購入する人はごく一部を除き、圧倒的に「素人」の方だろうと思います。「玄人の常識」が、全部正しく、全国標準とも言えないのではないでしょうか。「玄人の常識」は豊かな経験から裏打ちされたものでしょう。しかし、経験を重視するばかりに、目の前の仕事が忙しいこともあって、新たな疑問や発想も一面起こりにくいのではないでしょうか。また、流行している家や大手住宅メーカーの影響もあるでしょう。
少し脱線しますが、たとえば、テレビやビール販売のシェアが一つの商品が圧倒的であっても、その「製品の質まで最高最良」ではないのではと、私は思っています。 このようなことは家作りでも似たようなことになるのではないでしょうか。マスコミからの繰り返しの宣伝によって知らずしらずに「常識」「先入観念」などを自分の中に持ってはいないでしょうか。また、住宅金融公庫から借りられる場合は基準があり、その基準をクリアーするためには大手住宅メーカーのモデルプランがやりやすいと言うこともあるかもしれません。
蛇足ですが、NHK日曜番組(クイズ日本人の質問)で毎回司会の古舘さんが言われるキャッチコピーに「ふと、常識の一本道を外れ、疑問の迷路を楽しみましょう。いつも心にクェスチョンマークを・・・」があります。この言葉はそのまま家作りにも適用できないでしょうか。
家といえば人生で一番高い買い物だろうと思います。しかし、車や電気製品を買う時ほど、その外観、機能、メンテナンス、耐久度などを充分チェックしておられるでしょうか? 以外と、設計士や住宅メーカー任せになっていないでしょうか。高価な買い物で、家族全員で、しかも長年使う家だからこそ、古舘さんのキャッチコピーのように「いつも心にクェスチョンマークを」しても、あり余ることはないと思います。
この本は家について素人の私が、これから家を建てようとする同じような素人の方に今一歩考えて頂けるような疑問符とかチェックポイントをまとめてみました。これを土台にさらに疑問符を増やして、検討されれば、もっといい家作りなるのではと思っています。 皆様に読んで頂き、何かひとつでもお役に立てれば幸いです。
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