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チェック・ポイント 2予算の金縛りはどうなのか

 各方面から見学や勉強して、自分の100%望み通りの設計図と思っても、建設途中に「あそこをこのように変えたい」と言うことが、まま出てきます。それはいくら事前に設計段階で打ち合わせしても、実際と違いますから、現物を見て、あるいは手でさわって、始めて実感し「あそこは高い」「ここは広げて欲しい」などの欲求が出てくるものです。

 私は毎日早朝から夕方まで大工さんの横で、塗装や石運びをしていました。それで、大工さんや左官さんより、たびたび呼ばれ、「この窓の高さはこれでいいですか」「ここの壁はこの板でいいですか」「敷段と玄関床の高さは何10センチにしますか」などと聞かれました。また、私自身も大工さん、左官さん、電器屋さん、設備屋さんやガス屋さんに気づいた点については「ここはこのようにして下さい」と要望も多く出しました。

 この時、気をつけなければならないのが、工事の進行状況と、予算の関係です。基礎、構造、屋根、間取りなどを除き、設計段階の考えと建設時に実際見て、主に内装部分は考えが変われば工事前なら、変更は可能と言えます。ただし、そこの部分が工事終了したら、それは当然、別問題です。

 この時、どう判断するか、思案のしどころと言えます。予算枠変えないと言うなら、変更はほぼ出来ないでしょう。しかし、たとえば、窓を当初案はシングルサッシの見積もりで、これを断熱効果を考えて二重サッシにしたいと考えたとします。窓の大小、広さや種類でも金額が全然違いますが、数10万円の範囲内なら、私は迷わず断熱窓をお薦めします。なぜなら、冷暖房費が全然違うからです。そこに数10年住めば、完全に元は取れて、お釣りが来るくらいです。

 このような例は建築時、いくらでも出て来るでしょう。当初見積より数10万円アップは痛いかもしれません。しかし、ローンなら月単位に直せば、大きな圧迫にはなりません。むしろ、住みはじめて「金額アップになっても、あの時こうしとけば良かった」との後悔の方がお金には換算できない位、大きいとも言えます。 

 事実、私自身も内装や建具の問題ではありませんが、基礎の高さでは残念な思いをしています。私は岡山県にあったログハウス展示場の女性スタッフから「ログハウスの基礎高は最低90センチを推奨しています」と聞いていました。普通住宅の倍近い高さです。その時、もっと根拠を聞いておけば良かったのですが、私は丸太の水切りの関係からだろうと思っていました。プランニングになり、ログハウス未経験者の設計士は、「70 センチで充分、その上に 13センチ角の桧が乗るから大丈夫。むしろ高くすれば金がかかるし、玄関高も高くなり急角度になる」と言われ、 90センチを主張していた私は明快な根拠不足のため、お金の面とあと7センチ位の差だから大丈夫だろうと、思いました。

 建築後、ログハウスは基礎外部・内部の通しボルトを数ヶ月に1回絞める作業が必要です。外は全く問題ありません。しかし、内部にある約20本のボルトを絞める時、太めの私は移動も這いつくばって、しかもちょっと油断したら頭が、床板や根太に当たります。その作業をして、始めて「やはり 90センチにしておけば良かった」「たとえ、あと数十万円アップしてでも、私の主張通りにしとけばなあ」と思うばかりです。

 また、玄関高の問題も私の家はスロープにしていますので、あと数10センチ上げても、少しスロープ部分を伸ばせば済むことですから、何ら問題はありませんでした。まだ、ほかにもいくつかありますが、ほぼ、その全てが予算から来る物です。「あの時、ああすれば良かった」と思う後悔は単なるお金の問題ではなく、毎日住むことですから、精神衛生上にも微妙な影響を与えるものです。

 私はこの様な後悔をしないためにも、たとえ、あとローンが半年分位増えても、家主の思い通りにした方がいいと思います。予算は大変重要ですが、かと言って『予算の金縛り』にあって、建築後、後悔を毎日するようなことなら、逆に最悪だろうと思います。

 また、『予算の金縛り』から、契約成立後に新たに経費が伴う工事を発注する時、「契約の枠内でして下さい」とか「別のメーカーの相見積りではできると言っていた」などと言う施主がいると聞きます。この気持ちは分からないのではありませんが、むしろ言わない方がいいと思います。住宅メーカーも大工さんなども契約前にギリギリ絞り込んだ見積もりの中でお金を計算しているからです。分かりやすく言うと「損してまで、仕事はできない」「損をするような仕事はしない方がいい」と言うことです。無理強いすれば、(手抜き工事ではないにしても)どこか違う場所で、その分に見合わせるための材料の質のグレードダウンや部材の省略をせざるを得ない方向に追い込まれて行くのではと考えるのがいいでしょう。

 むしろ、逆に、そこは注文主の施主であろうが、請負側の住宅メーカーや大工さんであろうが、お互いに生活をしている(あるいは会社を経営している)立場には変わりはないということを理解していた方が、賢明だと思います。

 繰り返しになりますが、『予算の金縛り』にあって自由に検討や決断できないことは建築後に後悔を生みやすいでしょう。たとえばあとプラスアルファー百万円かかったとしても、単純計算で20年ローンとするなら、ひと月単位なら千円いかないでしょう。家と言えば何千万もかかる高い買い物です。あと数10万円やあと数100万円位のため、残念がるより、せめて全体予算の10%位は上乗せしていいような事前準備をしておいた方が結果として得をするのではないでしょうか。

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