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このテーマは誰でも考えてるようで、以外と後で気づくものです。私はチェックポイント1(家作りは勉強しないと後悔する)の項で述べた通り、住宅展示場のセールスマンから「照明器具はメンテナンスしやすい方がいい」と聞いていました。それで、その通りしようと思い、最初は地元で、照明器具を見ました。カタログで見て取り寄せる方式ばかりで実物はほとんどありませんでした。実物を見ないと気が済まない性格の私はそれだったら、「大阪の日本橋(東京の秋葉原のような電気専門店街)に行ったら品数も多いし、航空券代使っても安いだろう」と思い、直接買い付けに行きました。
日本橋の店はさすがに種類と品数が多くありました。目移りや戸惑いも覚えながら、半日見てまわりました。チューリップのような花形の照明器具にも心が少し動きながらも、結局「メンテナンス優先」と思い、三角形、雨傘と丸形タイプに全て揃えました。これらのタイプだと、ホコリや汚れも取りやすいだろうし、時間もかからないと考えていました。
住みはじめて、当初予想していた通り、高い所にある照明器具も掃除しやすいものです。(蛇足ですが、総費用も長崎で買うより、約 万円近く、安かったです。また、格好や見てくれで選んだのではないのに多くの見学者の方から「この照明はいいね」とおっしゃります)少し手間暇かかりますが、直接自分で選んだのが、落ち着きますし、たとえ選別をミスしても、あきらめがつきます。
屋根の角度について、チェック・ポイント6(シンプル・イズ・ベスト)の項でも少し触れました。屋根の角度は45度は10寸勾配(10/10寸)と呼ばれ、以下9 寸(9/10 寸、以下同じ)、8寸、7寸、6寸、5寸と順次勾配は緩くなっていきます。中間もたとえば ・ 5.5寸勾配などの施工は当然可能です。
この屋根勾配は平屋なのか 階建てなのか、瓦や屋根材の種類によっても角度が変わる要素が出てきます。平屋なら屋根角度が緩やかでも施工できます。しかし、 階建てなら、 階の天井高を確保するために深い屋根角度が必要です。瓦の種類によっては瓦どうしお互いの噛み合わせを深くしないと、雨水が進入しやすい物があります。それで一定角度以上に深くしなければなりません。
通常、屋根工事の時、足場が不必要なのはギリギリ6寸(6/10 )勾配までそれ以上は足場パイプを組む必要があると言われています。私の家の屋根角度は6寸( 6/10 )勾配です。97年10月に行われた洋風陶器瓦を伏せる工事でも、特別の足場は不要でした。また、その後の瓦点検時にも、はしご一つあれば登れて歩きまわれました。
「瓦のメンテナンスは不要」と思われている方が、もしも、おられるとしたら、91年9月全国各地の瓦を吹き飛ばした台風19号を思い出して下さい。台風ばかりではありません。完ぺきな屋根工事がなされたとしても、通常の強い横殴りの雨でも、それ相当に雨水が屋根に進入していると思った方がいいと思います。また、道路下に家がある場合、どこから小石や物が飛んできて、瓦が割れる時もあります。さらに、セメント瓦や新素材瓦(チェックポイント10を参照)などの屋根材はいずれ塗装が必要です。
そのような時に足場が必要かどうか=費用がどうなるのか、問題です。足場はアルミや鉄製のパイプ式です。瓦メーカーならほとんど自前でしょうが、中にはその時々でリースと言う業者もあるかもしれませんし、大工さんの一部にも屋根工事の時はリースで借りると言う人もいます。この時のリース代、運搬賃、職人さんの日当など、甘く考えない方が賢明だと言えます。
もう一つ考えて欲しいのは足場が必要であるか、ないのか問題は同時に、その工事スピードが全然違うと言うことです。はしご一つで屋根に登れるなら、数十枚の瓦の張り替えは数時間もかからないでしょう。足場が必要なら、短時間ではすまなくなります。屋根全体の工事なら、それこそ、数日の違いが出てくるのではないでしょうか。
台風19号みたいな例はあまりないかもしれません。でも、実際起こったのは事実です。最悪の自然状態も考えてもいいのではないでしょうか。敷地面積、家の形状や瓦の噛み合わせなどの条件が許せば、ギリギリ足場がいらず、素人の家主も容易に点検できる角度で6寸(6/10 )勾配以下の屋根角度を、私はお薦めいたします。
水まわり(風呂、トイレ、洗面、台所など)は必ず、いずれ痛んで来ると思った方が無難でしょう。「水には頭がない」と、先輩から聞きました。その意味はどこからでも進入すると言うことです。家の中の水は全て、水道のようにパイプで来て、パイプで排水するタイプばかりではありません。雨水、風呂や台所の湿気、ガラスや板壁に付く結露(水道パイプ表面にも付くことがある)など、気をつけることは多いです。
その中でも、特に、台所や風呂は大量の水やお湯を扱う所です。日常十分な換気が季節を問わず必要です。換気を十二分にしたとしても、風呂の湿気はなかなか厄介なもので壁の中に進入し、目に見えない所で湿気を帯び、結果、カビなど発生して、木を痛めます。
住宅展示場の営業マンが「この製品は中に一切水を通しません」と言ってました。その石板ボードのユニット式バスは水を中に通さないことは事実でしょうが、実際は別の問題で出ているようです。ユニット自体がたとえば、お湯の入ったコップかヤカンだとすると、さめた後、寒い日などユニットの外側に結露しているのではないでしょうか。接着剤はお湯や水に完璧に強いと言うことではありません。年月たてば、知らずしらずの内に痛んだ接着剤の透き間から湿気が進入していると考えた方が、むしろ無難といえるでしょう。また、タイルの目地もいずれは剥離したり、傷ついたりします。
この種の問題は何も木造住宅だから発生するのではなく、木造より耐用年数が長いと言われているビルディングやマンションでも、水まわりだけは種々の理由も重なり、15年か20 年位に一度修理が必要と言われています。普通の民家も早ければ 数年、長くても20年位のサイクルで水まわりの改築がなされているようです。私は全て水まわり全体工事が必要と言っている訳ではありません。その家ごとに、トイレだけだったり、風呂のみ先に改築が必要など、ケースが違ってくるでしょう。
その時のことも想定しての家作りはどうすればいいと、お考えでしょうか。簡単な工事なら、費用や日数も少なくて済みます。これが可能な方式は台所を除き、水まわりを離れか、別棟方式にするのははどうでしょうか。本宅に全部水まわりを取り入れていれば、離れか別棟方式より、風呂が工事中利用できないと言うだけではなく、相当大がかりで、本宅内部にも影響が出てくるし、日数もかかる修理となるでしょう。
その点、離れか別棟方式は本宅にほとんど影響を与えず、大工さんなどの出入りも容易です。本宅内部工事より、工事の方法も、日数、費用さらには住んでいる人への影響度も軽減されるでしょう。ただ、ほんの少しの短所は水まわりを離れか別棟にすることによって数メートル遠くなると言うことです。でも、廊下に段差をつけずに同じ高さの床面を保てばお年寄りにとっても苦になって仕方がないと言う距離ではないと思います。
あと、この離れか別棟方式は宅地の面積や形状によって、最初から出来ない場合もあるでしょう。離れ方式は不可能でも本宅に直結させ、風呂、トイレ、洗面を独立した直結型別棟方式にはしやすいと思います。私のログハウスも当初、この本宅に直結した別棟構想を検討していました。
私、設計士、ログハウスメーカーの三者で二転三転プランニングが変わりました。屋根の取り合いなどの問題でスッキリいかず、結局、水まわりは丸太と直結するがログと縁を切り、(ハーフ丸太使用の)在来工法で壁は囲み、屋根は大屋根方式で全体をかけると言う方法を取りました。離れや別棟方式ではありませんので、見た目には水まわりだけ独立していません。でも、構造的には独立しており、いずれ風呂や壁工事をする時に丸太に手をつけることにはなりませんので、やりやすいと考えています。
私は見てくれや格好は一切気にせず、とにかく頑丈そのもの、メンテナンスしやすい家作りを目指していました。なぜか、それはあまりにも多くの丸太(長短ありますが、約三百本)を使用していますので、百年以上持つ家作りをしないと、丸太を育てた地球に対し、それに木にも悪いなあと思っているからです。百年位保てば、ややオーバーな表現ですが、木を育てた地球から「おー、良しよし、良く長く使ってくれたなあ。また、丸太が育ったぞう」と言ってくれるような気がするからです。
木は切られても生きています。雨の時には湿気を吸い込み、乾燥した日には内部から水分を掃き出し、人に優しくしてくれます。たまに割れる音も木肌色も変化します。今後どこまで出来るか未知数ですが、メンテナンスは繰り返していこうと思っています。
以上、照明器具、屋根の角度、水まわりの独立などを例に上げ、メンテナンス優先の家作りを申し上げて来ました。もっとほかにも具体例はあるかもしれませんが、言いたいことは一緒です。見てくれや格好優先の家作りはその時は良くても、いずれ問題が出てきたり、また、飽きたりもします。その点、頑丈そのもの、実用とメンテナンス優先の家作りは手をかける度に愛着も出てくるでしょう。今一度考えて頂きたいテーマです。
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