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聞いた言葉・第56回目、ヒットするには時も大切

 
ヒットするには時も大切

 私は、自分で歌も演奏もできないくせに、けっこう音楽も好きなので、今回そのことにまつわる話を書きたいと思います。まず、今回この言葉は、私が若い頃(FM番組をよく聞いていた関係もあり)音楽評論家の方が話されていました。残念ながら、この方のお名前までは覚えていません。

 しかし、なぜ、かなり以前のことなのに覚えているかと言いますと、私の好きなゴッホのことを例に出しながら話しておられたからです。この言葉は、実際はもっと長く、歌がヒットする条件などを話しておられました。話の概要は、次の通りでした。(掲載写真は、文章と関係ありません)

 「作詞家・作曲家も一流、レコード会社も売り出す事務所スタッフもいい、歌手本人も歌唱力も声もルックスも抜群となれば普通はヒットすると思う。しかし、そうなる場合もあれば、ただレコード出しただけで終わる場合もある」

 「中には諦めて歌手を辞める人もおれば、しばらくして有線放送か何かで突然かかり始めてヒットする場合もある。絵描きのゴッホは生前全く売れなかったが、死後何億、何十億の値の付く絵もある。歌がヒットするには、その時の運、時も大切なんですねえ」と。

 つまり、本人含めて才能も条件も環境も大変良くても、いかんともしがたいのが、その時代の「」=ある種「」があるかないかもあるのだと。それは本人もまわりの方も何とも、予想が付かないものであろうと言うことでした。演歌歌手などは、たまに何年も歌っていて、突然ある年にヒットした例もけっこう聞きます。

 逆に、(当時の金額で)何百万、何千万円かけて宣伝やセールスをかけても、レコード売り上げはサッパリと言うのもあったようです。普通モノなどの商品なら、よほど悪い品質でないかぎり、それだけお金かければそこそこは売れるのかもしれないですが、音楽などはそうはいかないのだろうなあと思いました。そのことからも「ヒットするにはその時や運も大切」という言葉が印象深く感じました。

 また、私は絵画、音楽などの芸術の分野だけでなく、何かに秀でた才能を持ちながら、なかなか世の中に認められられないまま、一線を退いた、あるいは死後に再評価され功績を讃えられる例もテレビなどで見てきました。このような例もけっして少なくないと思います。本人の力量や表現力は大きく変化しなくても、時を経る中で評価する側の環境が変わったと見るべきでしょうか。

 これだけ書いてからこのようなことを言うのは何ですが、じゃあその時代の「時」が総てかと言うと、そればかりではないとも言えます。折角その「時」が到来していたのに、努力を怠り今度は本人が、その要望に応えきれなければ何にもならないと言うことだと思います。

 ですから、音楽なども含めて色々な分野で自分の力を信じてコツコツと努力されて、ヒットした人は、その「時」をつかみ取る力も自然と備えている方なんだろうなあと思いました。
 (記:2005年12月28日)

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