聞いた言葉・第79回目、『地中海は過去の海、大西洋は現在の海、太平洋は将来の海』
地中海は過去の海、大西洋は現在の海、太平洋は将来の海
この言葉について、私は30年前(大阪にいた頃)の講演会で航空の大先輩から聞きました。三つの海が述べられていますが、当然、日本の航空の今後についての講演内容ですから一番の力点は「太平洋は将来の海」と言う部分だったと思います。 結論から先に書きますと「環太平洋諸国(特にアジアの国々)は、色々な紆余曲折があったとしても人口も多いし、確実に経済力を付ければ、その力は国際政治の舞台でも発言力をより一層増すだろう。人口、経済、政治などの力により各国の国力が伸びれば、さらに人や物の往来は伸びて航空産業は発展するだろう」との主旨だったと記憶しています。 改めて私はこの言葉を思い出して(これから書くことは講師の方は講演では話されませんでしたが)今更ながら考え直すことがあります。この「地中海は過去の海、大西洋は現在の海、太平洋は将来の海」という言葉は、例えば地中海一つにしても、一つひとつ説明するのに何十冊かの本が書けるくらい内容も歴史も膨大だと思います。 また、この言葉は「どこを中心地としてみているか」と言うテーマもあるような気がします。地中海なら、当然西欧から中東付近で、その中心都市はローマ(あるいはギリシャ、エジプトなどの沿岸諸都市)と思われます。大西洋ならアメリカや西欧諸国で、中心都市はニューヨーク、ワシントン、ロンドン、パリなどでしょうか。 このような流れが、いずれ環太平洋諸国、特にアジア諸国に移ってくると、30年も前に航空の大先輩は予想されて講演されていました。(ただし、この方がこの言葉に原本=書籍などがあるのか、あるいは別の方の講演内容の引用なのか、当時聞きませんでしたので私は不明です) いずれにしても、環太平洋諸国の人の往来、貿易量の伸びは、その後も目を見張るものがあります。ただし、私は調べが悪い関係上、地中海、大西洋、太平洋など海別の貿易統計を手元に持っていないので、正確な対比ができていません。でも例えば日本や韓国の国際空港の発着便数だけならホームページ上からも直ぐ分かりますが、とにかく沢山の便数があり、さらに増えようとしています。 (ここから話しは脱線していきます)私事ですみませんが、私は高校生3年生で就職先を考えていた頃、当時なんとはなしに「今後、航空は伸びるかもしれない」などと漠然と思っていました。1972年春に大阪空港の会社に就職し、そこで丸25年間働き1997年春に退職、その後田舎に戻り今年10年経過しました。 漠然と高校時代に「航空は伸びるかもしれない」と思ってから(2007年現在で)もう約35年間にもなります。しかし、正直言いまして、まさかこれほどの大型機、便数、路線、輸送実績になっていくとは、その当時YS11かボーイング727くらいしか見たことなかった私にとって想像を超えていました。 今回の言葉「太平洋は将来の海」は、急速に進行中で「将来」と言う文字がいずれ取れて、替わりに「太平洋は”現在の海”」になりつつあるのではと思うくらいの凄いスピードです。何の根拠で、どの数値で、それは達成したと言えるのか私は明確に言えないのですが、必ずそうなっていくような気がします。 あと、いくらそのようになる見通しがあっても、条件として(この言葉を話された)講師の方は「まず、平和でなければならない。各国間が対等平等の関係でなければならない」とも言っておられました。戦争や紛争が続く所に、お客様が観光やビジネスでは行かないと思うし、それらは最低限の条件だと思います。 国同士の政治面で”アジア重視”と言われて久しいですが、それだけでなく「太平洋は将来の海」の言葉通り、貿易、人の往来など経済的な側面が先に世界の主役に躍り出るような、そんな予感さえも感じます。 |
(記:2007年7月18日) |