地名入りの紺色トレイナー
ホテルのフロントに行くと小林さんのバッグがかえってきていた。一同喝采とホテルマンに感謝した。山口さん所持の日本製バッジを10個程プレゼントした。この山口さんのバッジは後でも活躍し、日本から現地の人へいいお土産となった。
帰り時間まであと50分程あったのでグリンデルワルトのお土産買いに出かけた。駅前通りのコープ(生協)でジュースとセラミソーセージを買った。ジュースは酸味が少しあるがこの味はうまいの一言で、多分に天然 100%ではないだろうか。あと刺繍入りのハンカチ等を欲しいと思い探したがイマイチ値段が合わなかった。
14時過ぎになり時間が気になりかけたが次は地名入りのトレイナーを求めて数店物色した。しかし、少しデザインと色が希望と違っていた。日本語で「Tシャツの店」と書かれた看板ある店が通りの外れにあった。このような店はあまり気乗りしないが、試しに行ってみることにした。
(7年前パリの日本人専門店みたいな所で日本人店員から強く進められ少し嫌な感じを持っていた) Tシャツ店『ニルズ・シャツ・ギャラリー』の中には案の定日本人の若い女性が一人いた。
挨拶し希望を言うとなかなか丁寧な応対で感じが良くこれで値段が合えば買おうと思った。「このトレイナーはこの秋の新作で先日入荷しました。これでどうでしょうか?」と進められた。サイズが日本形式と違うと思い実際に着てみた。Mでもまあまあ合うが「トレイナーはゆっくりできるのがいいのでは」と言われ、Lサイズにした。
4ヶ国語でスイスの名称とグリンデルワルトの地名が刺繍で入った紺色のトレイナー(59フラン)とグリーン色のポロシャツ(39フラン)を買った。デザインも値段もまあまあだった。 「ありがとう、なかなか良くて気に入りました。スイスでも頑張って下さいよ」「ありがとうございました。良い旅を続け下さい」の会話で店を出た。
小走りに駅前通りからホテルに戻ると出発10分前だった。ロビーで「何を買ったの?」等とお互いに聞き合っていたら、直ぐ電車に向かうことになった。ホテルマンに「サンキュー」と言いながら手提げバッグを持ち上げると来る時は1つだったのが帰りは3つになってた。
「また、この村に来てみたい」「もっとゆっくりしてみたい」と口々に出る言葉を聞きながらベルナーオーバーラント鉄道(BOB)の電車は定刻の14時50分、グリンデルワルト駅を後にした。(1994年1月1日記す)