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パリの美術館カルナヴァレ博物館
名前  カルナヴァレ博物館
  (Musee Carnavalet)

開館年  1866年
場所  地下鉄サン ポール駅から数分
開館時間
などの情報
 変更もあるので下記を参照下さい。
リンク先  Musee-Carnavalet

 このカルナヴァレ博物館(Musee Carnavalet)の内容に入る前に、かなり長くなりますが、導入部分のことを書きます。また、私の翻訳サイトによるフランス語直訳と上野解釈による怪しげな仏語訳は、事前にご了承願います。

 まず、この博物館の名称についてですが、今回私は、仏語のMusee Carnavaletについて『カルナヴァレ博物館』、『カルナバレ博物館』、または『カルナヴァレ美術館』と書いています。(仏語を正確に書きますと「Musee」の後ろから2番目の「e」は、上に点が付きますが、この件もご了承願います)

 また、右上側データ表のリンク先からもご覧いただけますが、(パリ市の公式サイトで仏語の)『Musee-Carnavalet』には、「Musee Carnavalet - Histoire de Paris」とも書いてありますので、これを直訳しますと「パリ歴史のカルナヴァレ博物館」=『パリ歴史博物館』とも呼称できると思われます。

カルナヴァレ博物館の玄関
2010年1月16日撮影
(大村市在住のNさん提供)

 私は、この博物館には今まで1回だけですが、1986年2月23日(雪の日)に行き当時9フランの入場券で入館しました。この博物館見学のことは『ヨーロッパ3空港調査旅行記』にも一部書いています。また、この旅行時、相手先との時間調整の関係上、パリの美術館巡りもしましたので『フランスあれこれ(目次ページ)』の『パリの美術館シリーズ』にも掲載しようと3年前から構想だけはしていました。

 私の『パリの美術館シリーズ』は一部不足もありますが、一応『ルーブル美術館』、『オルセー美術館』、『国立近代美術館(ポンピドゥー・センター)』、『オランジュリー美術館』については、既に掲載していました。しかし、この『カルナヴァレ博物館』だけが、今まで何年も未掲載でした。その理由は、1986年の旅行時に写真を撮っていなくて、ここのパンフレット類も全く持っていなかったためです。

  しかも行ったのが1986年のことですから、記憶も薄れ掲載を諦めるかどうか迷ってもいました。しかし、私へもヨーロッパの様々な写真や情報提供含めてお世話になっている大村市内在住のNさんが、今年(2010年)1月にフランスに旅行されると言う情報をお聞きして、厚かましくも「パリに行かれたらカルナヴァレ博物館の写真か、パンフレット類をよろしく」とお願いしました。

 そうしましたら、帰国後「上野さんから頼まれたから行ってきたよ。この日の入館は無料だった。博物館周辺はマレ地区と言って日本人もあまり行かないような穴場的存在で静かないい所だったよ。パリ市の歴史の勉強に来ている子ども達も多かった。絵や調度品、それに中庭も良かったよ。これが頼まれていたカルナヴァレ博物館のパンフレットと写真データだ」とのお話とともに念願の物を頂きました。

 それから、カルナヴァレ博物館やその周辺についての感想や情報を沢山聞かせて頂いたのは言うまでもありません。しかし、約25年も前に1回だけ、しかも実質30分間も入館していたかどうかの記憶曖昧な私が、このページを掲載するのですから、その正確性があるかどうか自信ありませんが出来るだけ書きたいと思っています。

 右掲載写真は、カルナヴァレ博物館の玄関です。玄関口上側の左から「MVSEE CARNAVALET」、また同じく右側に「VILLE DE PARIS」と文字表示してあるようです。これを直訳すると「パリ市立カルナヴァレ博物館」となるのでしょうか。

 あと煉瓦サイズ位に「23」の文字もありますが、ここの所在地は「23, rue de Sevigne, 75003 Paris」(パリ3区 セヴィニエ通り23番地)ですから、この数字は住所表示と思われます。あと、入口奥(中庭にある)に小さく見える緑色のものは、ルイ14世の立像(ブロンズ像)です。

色々な建物と中庭が田の字型にある
  なお、このカルナヴァレ博物館周囲にある建物は、博物館展示用だけではありません。また、建物も田の字型につながっていて4か所ある中庭を取り囲むように建っています。それら建物の名前もカルナヴァレ館だけでなく、プルチェ・ド・サンファルジョー館など、いくつかあります。今回全部は紹介できませんが、建物だけでなく中庭についても2か所ほど写真付きで説明したいと考えています。

 また、先に書きました通り、博物館周囲を囲んでいる建物は、各々つながっているので同じように見えてしまいます。しかも、カルナヴァレ館含めていずれも歴史的建造物ばかりで、このページ紹介時に館名別に区別するのは難しいので一緒みたいに書いていきますので、この点はご容赦願います。ここカルナヴァレ博物館は、その展示物だけでなく周囲の建物、中庭なども見どころではないでしょうか。

カルナヴァレ博物館、1階の見取り図と中庭
(カルナヴァレ博物館のパンフレットより)

  後で中庭の一部についてご紹介する予定です。ここでは右側上から2番目の画像=見取り図にある4か所の中庭の名称について書きます。ただし、素人の仏語直訳のため、この名称が正しいのかどうか不明ながら書いている点は、ご了承願います。なお、右側画像で下側入口から入館したとして、中庭は上側へ時計回りにご紹介します。

COUR LOUIS 14 (ルイ14世の中庭)
 (注:パンフレッの数字はローマ数字です)ここは、石畳の中庭でルイ14世の立像があります。(後の項目で、この中庭はご紹介します)

COUR DES DRAPIERS JARDIN (ドラピエの中庭)
 ここの中庭を囲む建物の壁に帆をいっぱいに張った商船などのレリーフがあります。そのレリーフ下部に「MAISON ET BUREAU DES MARCHANDS DRAPIERS」との文字があるようです。仏語のかなりの意訳ですが、”服地の商人館”とでも言うのでしょうか。詳細は分かりませんが、これが由来でドラピエ館の庭(ドラピエの中庭)と呼ばれているようです。

COUR DE LA VICTOIRE JARDIN (勝利像の中庭)
 この中庭には、ここの名称の由来となったと思われる彫像が置かれています。それは、羽が背中にあり月桂冠を持った勝利の女神像です。(後の項目で、この中庭はご紹介します)

COUR HENRI 4 (アンリ4世の中庭)
 (注:パンフレッの数字はローマ数字です)ここは、アンリ4世の騎馬像があります。たぶんに、このことから、中庭の名称が付いたものと推測されます。

 このカルナヴァレ博物館は、旅行ガイドブックみたいに歩けばいいのでしょうが、私達3人で行った時は、ややとまどいながら歩いたのを記憶しています。ただ、ルーブル美術館やベルサイユ宮殿みたいに大きくはないし、窓からは先ほど紹介しました中庭も良く見えましたので元に戻るのも速かったです。

なぜ行ったのか
 私が、この博物館に行ったのは冒頭にも書いていますが、1986年2月23日の忘れもしない雪の日でした。私は、パリへ今まで(2010年2月現在)4回行きましたが、真冬のパリは、この旅行の1回だけでした。当時、底冷えがするような寒さでしたので雪も降るのは決しておかしくはなかったと思いますが、雪化粧したパリもなかなか印象深く覚えています。この日、ホテルを出て最初は地下鉄で行き、その後マレ地区方面の散策となりました。結果としては、この地域をウロウロしてまわったのですが、私は通訳の方ともう一人の同行者の後をついて行っただけです。

 通訳の方が、この旅行時パリで購入された仏語のガイドブックを見て「この地域は歩いてもパリ最古のヴォージュ広場、パリの歴史が展示してあるカルナヴァレ博物館、ポンピドー・センターなど行けるよ。その後、昼食としよう」みたいなことを言われました。つまり当初から、この博物館に行こうと言う予定ではなく、当日の朝に決めたものでした。でも、雪の日のパリを歩き回るのもいいのかなあとの思いで3人は出かけましたが、結果、マレ地区の散策も良かったなあと言う印象を今でも持っています。

雪の日のヴォージュ広場
1986年2月23日撮影

ヴォージュ広場
  バスチーユ広場を遠方から見て、その後少し歩くとヴォージュ広場がありました。右上から2番目写真でもお分かりの通り、この日だけは一面真っ白の広場でところどころに木立やベンチが目立つ程度でした。この広場は、真四角で周りの建物に囲まれている所でした。しかも、なかないい雰囲気ばかりの建物群が四方に並んでいました。

  通訳の方が仏語ガイドブックを説明されましたが、その内容は概要次の通りでした。この広場は、アンリ4世が1612年に完成させたパリ最古の広場で、当時は『ロワイヤル広場(王の広場)』と呼ばれていました。その後、フランス革命などを経て1800年からは『ヴォージュ広場』と呼ばれるようになりました。ヴォージュの由来は全国で最初に地方税を納めたヴォージュ県の名誉をたたえことから来ていると言います。 広場の大きさは約140mの方形で、周りにはアパルトマン等の36棟の建物があり、そこには屋根付きの回廊がぐるっと囲んでいます。

 説明を聞きながら広場などを見たのですが、残念ながら雪のため、庭全体の状況は見えませんでしたが、真ん中にはルイ13世の騎馬像があったのは分かりました。また、所どころには黒い鉄製の長椅子があり、椅子でも歴史を感じさせる物でした。この周りのアパルトマンにはデカルト、パスカル、ビクトル・ユーゴーなどが住んでいた所だそうです。そのため、ヴィクトル・ユーゴー記念館もあり、さらに探せば、王の館、王妃の館、ショーヌ館、リシュリー邸などの格式の館があるといいます。夏ならば、ゆっくり、のんびりと歩いてみたい広場でした。

ルイ14世の立像(ブロンズ像)
2010年1月16日撮影
(大村市在住のNさん提供)

 広場に面した回廊を歩いては立ち止り、さらに少し行っては周囲を見渡したのですが、やはり高級住宅、屋敷、邸宅とか言う名称がぴったりするような建物ばかりでした。この回廊を出て、しばらく行くとカルナヴァレ博物館となりました。

ルイ14世の立像(カルナヴァレ博物館の中庭)
 カルナヴァレ博物館の玄関部分の記述は、右側一番上の写真説明の行で先にしていますので、ここでは省略します。この玄関からも中庭は見通せますが、そこにはこのページ右側3番目写真でお分かりの通り、ルイ14世の立像(ブロンズ像)があります。学校の教科書にも登場するので改めて書くまでもないのですが、ルイ14世はフランス・ブルボン朝最盛期の王で太陽王とも呼ばれた人です。

 この立像は仏語サイトによろとアントワーヌ・コワズヴォー(Antoine Coysevox )の1689年作で、姿はローマ皇帝をかたどったもののようです。フランス革命(1789年)時には、王政時代の物が沢山壊されましたが、この像は破壊から免れた貴重なものと紹介されています。

 立像自体は、そうびっくりするほど大きなものではないのですが、下部にある台座の高さがある分、近寄るとやや見上げる感じにもなります。ここで蛇足なのですが、私はヨーロッパの彫刻物を見るたびに思うのですが、地震対策はしてあるのだろうかと。どこに行っても彫像などが、ドーン置いてあるだけのようにも見えてしまいます。

 あと、このルイ14世の立像は、このカルナヴァレ博物館もしくはその中庭紹介のガイドマップやホームページがあったら必ずと言っていいほど写真掲載されているものです。ある種、撮影スポットにもなっています。また、この周囲の建物壁に施されている各種のレリーフも、このブロンズ像を見る上で背景にもなっています。

 なお、先の項目でも書きましたが、このカルナヴァレ博物館の建物は、プルチェ・ド・サンファルジョー館なども含めて、田の字型に建っています。その関係から中庭も4か所あります。その面積も各々違っています。この項目で紹介していますルイ14世の立像のある所は、この立像以外は目立ったものがなく、庭も石畳です。あとの中庭のいくつかには、他の彫像なども置いてありますが、庭自体は花や庭木も植えられいて目を楽しませてくれます。下記に、その内の一か所の中庭  を紹介します。

シンメトリーな中庭の植栽(カルナヴァレ博物館の中庭)
 ここの中庭の広さ自体は、ルーブル美術館などに比べたら狭い方だと思いますが、なかなか手入れの行き届いた庭が見られます。私は、博物館の2階から雪の庭を見たのですが、それでも刈り込まれた植栽が手に取るように分かりました。庭の様子は右側上から4番目写真の通りですが、これらの様子はまるでトランプの絵札カード模様のようにも見えてきます。

カルナヴァレ博物館の中庭
2010年1月16日撮影
(大村市在住のNさん提供)

 中庭とか庭園の植栽と言えば私は、見慣れた日本庭園と、このカルナヴァレ博物館やベルサイユ宮殿などのフランス式と言いますかヨーロッパ式庭園とは、木々の手入れ方法が違うなあと思います。

 どちらかと言いますと日本の庭園は、植栽が伸びても自然のままに近い手入れ方法ですが、このフランス式の植栽は、まるで最初から絵を描くような、そんな人工的な感じがします。しかし、元々は自然の庭木をここまで完成度の高い手入れした状態で見ますと、もう見事と言う表現しか思い浮かびません。何十年間あるいは何百年間かかって、ここまで仕上げたのでしょうか。

 先の写真中央に背中に羽のある女神像が写っていますが、この像を中心に、中庭は丁度シンメトリーにみたいになっていて建物の屋根形状、壁、窓、窓枠、鉄柵、植栽さらには置いてあるベンチまでも左右対称のように見えました。このシンメトリーな感じの造りは、ここだけではなくフランスの庭園では、けっこうどこでも見たような気がして、これも一つの特徴かなあとも思いました。

 古今東西、美術館(博物館)と言えば肝心なのは、館内の展示物が何なのかと言うことは分かっています。しかし、それだけではなくカルナヴァレ博物館のように展示物、建物、中庭、植栽、外の周囲の環境までをも調和しているのは、日本にはなかなかないのではないでしょうか。

階段や調度品など(カルナヴァレ博物館の屋内)
 
  (原稿準備中、しばらくお待ちください)



(初回掲載日:2010年2月11日、第2次掲載日:2010年2月20日、第3次掲載日:2010年2月22日、第3次掲載日:2010年3月3日、第4次(追加、補足文)掲載日:2010年3月7日)
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