クラシック後のオールディーズ

　神戸は、私の好きな町のひとつでした。大都市にしては、後には山、前には海や港と、なんかほっとしました。しかも、食い意地が張っていた（笑い）私には、食べ物も、和・洋・中華といい店が多かったです。昼間もいいのですが、神戸は、夜も良かったです。やや山の手から見た冬の港や街の灯が澄んでいて言葉にならなかったことを、覚えています。

　（ただ、最近は海に埋めて地が増え、さらに空港建設が進んでいるようで、その必要性、安全性、財政上などに加え、素晴らしい風景や環境上からも、全く残念です。できれば、今直ぐにでも埋め立てはストップして欲しいものです）

　神戸には、同僚も住んでいましたし、その同僚とジャズのライブハウス（『ソネ』など）巡りをたまにしていました。ある日偶然にも渡辺貞夫さんが来店され、飛び入りでしかも間近で演奏されたのには、驚きとともに忘れ得ない夜となりました。そのような町に、１９８８年３月２７日、神戸ケントス店は、オープンしました。

　オープン情報は、かなり前から知っていたものの、（私の当時住んでいた池田市からは阪急電車で２時間弱くらいでしたが）、なかなか近くて遠い所でした。それで、結局、店のオープン後、７箇月もたった１０月２９日に始めて行きました。

　　この日は、会社のクラシック同好会で、神戸のアマデウス店でおこなわれた『マンドリンとギターの演奏会』を聴きに行った帰りでした。「クラシックの後のオールディーズも、ええんとちゃう？」と言う訳の分らない（笑い）理由ながら３人で行きました。モーツァルトもびっくりでしょうか。

　クラシックと言えば、オールディーズとは全く関係ないように思えますが、「情熱の花」と「キッスは目にして」と言う曲は、元々ベートーベンの「エリーゼのために」が原曲です。

　アレンジであれだけ変るものかと思いながらも、元々いい曲は、どんな演奏スタイルになろうといいものだなあと、素人ながら思ったものです。

　この店の第一印象は、まず、玄関にあるガラス戸と青い文字（上部左側写真）が、すごくおしゃれな感じに見えました。（当時のチェーン店では、まだ青文字は珍しかったのではないでしょうか）

　店内も全国の店と比べても、広く、ゆったりした作りでした。特に、ステージ前のフロア-（”踊り場”）（笑い）が広いなあと思いました。また、３人でソファー席に座ったのですが、ぐるりと見渡すと、ステージ上の絵も（青地の絵、右側写真）、くっきり見え、まだ新しい感じがそこここに感じました。

　この日は、来たのが２１時まわっていたため帰る時間が気になり１ステージ聴いた後、直ぐに帰った感じでした。その後、沖縄の座間味島関係の知人や神戸の女子大生仲間の皆さんなどと、２回ほど来店し、合計５回は行ったと思います。

　女子大生２名含め、５名で行った時、「一人１曲づつリクエストしよう」と言うことになりました。「あーでもなない。こーでもない」（笑い）と言っている内にステージが始まってしまって、次にまとめて出すことになりました。

　ちょっとだけリクエスト用紙に説明書きを加えたところ、「女子大生と一緒で、楽しそうですね」と読まれたことを覚えています。５曲のリクエストの内、ダイアナ、バケーション、サーフィンＵＳＡと３曲もかかり、高い確率（笑い）にもなりましたし、皆で踊りに行きました。

　あと、神戸ケントスのお客さんの踊りと言えば、良く覚えていることがあります。ある日、５人くらいのグループで、１曲ごとに、曲に合わせて、全員同じ振りをしていました。

　自由きままに踊る他のお客さんとは明らかに違う感じに見えました。（その後、何回か見ましたので、常連さんたちだったのでしょう）

　曲の流れに合わせて、振りやステップをふんでおられるので、全員上手なんだろうと思いました。（全国のケントス店でも、グループ単位であれだけ同じ振りをした踊りも見なかったです）　神戸店の特色の一つみたいにも思えました。（記：２００２年６月３日）

　追記：今年（２００３年）に入り、オールディーズ（ケントス）ファン３名の方から私の方へ「神戸ケントスが閉店しました」と言う情報がメールで寄せられました。止むを得ないことですが、上記のような色々な思い出もあった店なので、なんか残念な気もします。神戸は、ライブハウスの似合う町でもありますので、またの復活を待ちたいです。（記：２００３年２月１７日）