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28)湯たんぽ   日本、マルカ

頭寒足熱は自然のぬくもりから

 私の子供の頃(2006年現在から50年ほど前)寒い日、祖母かお袋が布団に入れてくれたのが、湯たんぽでした。はるか以前のことですから鮮明には覚えていませんが、「今日の布団はあったかいなあ」と言いながら姉達と取り合って寝たような記憶がかすかにありました。まだまだ、家庭用電化製品も、そんな多種多様と言うには、ほど遠い頃の話しです。

 それから、囲炉裏がなくなり電気こたつ、電気毛布、電気アンカなどの電熱器具が増えてきました。私は体つきからか、あまり寒がりではなく(大阪時代に)社会人になっても、よほどの寒い日にしか電気毛布も使いませんでした。また、外部からの電熱器具を使うより、体の中から温めた方がいいのではとの深い考えから焼酎のお湯割り飲んで(笑い)、熟睡するタイプでした。tatami01.jpg (14852 バイト)

 いつの間にか、それなりに中高年になって(再度田舎に戻り住んで)、寒さも少しは体に感じるようになりました。でも、電気毛布を買う気になりませんでした。それで、10年近くは毛布を2枚にしたり、羽毛布団に変えたりとか何とか夜中の寒さをしのいできました。

 雪の日の夜など何か温かいものが欲しいなあと思い出した時に浮かんだのが、湯たんぽでした。(2006年12月)インターネット販売で購入したのが、今回ご紹介する 『マルカ金属株式会社の製品、ホーム湯たんぽ 大型 3.5L』で、材質は亜鉛鉄板(板厚 0.5mm)です。

 現在真鍮(しんちゅう)製品もあるようですが、私は値段も手頃で昔懐かしい、まるでトタン板から作ったようなこのタイプにしました。約50年ぶりに手にしたこともあり、第一印象、頑丈に出来ているなあと思いました。それは波型状鉄板の厚さと中に支柱があり、見た目よりやや重量感を感じたのかもしれません。

 個人的な考えながら、この頑丈=安全は、湯たんぽの場合、大事な要素ではないかなあと思いました。なにせ、お湯を使用するのですから、軟弱さやお湯漏れなどはとんでもないことです。このような頑丈さと安全さが一番です。

 あと、私はこのようなトタン板が、どうやって水漏れもなく張り合わされているのかなあと思いましたが、見ただけでは私の様な素人には分かりませんでした。職人さんが長年の経験や技術にもとづく心血注いだ手仕事から生み出されているのだろうと思いました。

 私の場合、主に使っているのはもちろん寝る前から(バスタオル2枚で巻いて)布団の中です。それ以外の使用法として、私はパソコンを長時間使うので、足元に同じようにバスタオルに巻いて使っています。これもなかなか具合良く、もう部屋の暖房器具は必要なしで、まさしく頭寒足熱です。どちらの使用法もポイントは、長時間接触しないことです。(注:後で補足説明します)

 私なりの(夜間布団の中での)使用感ですが、
1、温かさが朝までゆっくり持続します。(当然その間に布団や体温は上がりますから、お湯の温度がゆっくり下がっていっても丁度いいです)
2、熟睡できて、朝の寝起きも良くなりました。(その関係からかトイレ回数も減りました)
3、(電気毛布に比べ)肌が乾燥しないです。
4、自然な温かさの伝わり方から来るものか、精神衛生上もいい感じがします。

などです。お湯を注ぐ時には、当然注意が必要です。また、電気製品みたいにスイッチの切り忘れもないです。また、使用しない時には水を切り、そんなにかさばる大きさの物ではありませんから、枕と同じようにして押入れにいれております。

 今回購入時添付されていた書類やカバー類を見ると、色々と勉強になりました。その内の2項目を補足もしながら、ご紹介します。
・中国語の湯婆から、湯たんぽ(湯湯婆=ゆたんぽ)
 湯たんぽは、中国(陶器製品)から来ていたようです。湯婆と書いてタンポと読むようで、「間接的に伝わるお湯の温度が母親の体温のように優しく、心地よいことから湯婆の名がついた」と、真偽はおいておくとしてもネーミングの説明として、なかなか気を引くものです。日本には室町時代に、伝わったみたいで、大正時代の頃より金属製品が主流となり、現在ではプラスチック製品もあります。

・低温やけど
 「低温やけど」とは、皮膚よりも少し高い程度の温度でも直接長時間、皮膚に接触して使用する場合起こるやけどです。特に、使い捨てカイロなどを肌に接触して使っている場合発生率が高いようで、電熱器具でも同種のことが起こっているようです。湯たんぽはその対策として、寝る前に先に布団を温めて、その後布団から出して使用すれば何ら問題ないようです。詳細は、注意書きや使用法などをご覧下さい。

 少し話し変わりまして、改めていうのは何ですが、世の中「便利が総て」みたいに言われています。私も、その便利さや技術の進歩は当然享受しています。ですが、何でも電気製品へとか、あるいは便利だから従来からの製品(道具)は切り捨てていいものでしょうか。この湯たんぽを使ってみて、改めてこの思いを感じました。

 確かに、電気毛布に比べ、湯たんぽはまずお湯を沸かして、中に入れて、朝になったらお湯を出して(食器洗いなどにも使用できますが)と、一連の作業はあります。電気毛布などに比べ、いくつか作業が多いかもしれません。でも、湯たんぽだけではなく分野ぶんやでは、何でも電化製品に替えなくてもマダマダ見直せば、いいものもあるのではないでしょうか。

 この湯たんぽは、報道によれば電気が使えなくなった阪神淡路大震災などの地震の時にも活躍したようです。また、寒い冬だけでなく、真夏には氷や冷水を入れて、氷嚢(ひょうのうがわりにも使うことも可能です。物ぐさでサボリ症の私が言っても重みがありませんが、ほんのちょっとだけ手間をかければ、体にも自然にも優しいものではないでしょうか。
(掲載日:2006年12月28日)

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