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聞いた言葉・第8回目、『人は言うことよりも、やることを見よ』

人は言うことよりも、やることを見よ

 この言葉は、書いている本人が一番こたえるものです。人の評価を表す言葉で、短いながらも、これほど的(まと)を得ている表現も少ないと思われます。 多くの人の中には、ひとの顔や目を見ただけで、全てを悟るような偉い方もおられます。ただ、万人そのような人ばかりかと言うと、そうではないところに、いい意味でも悪い意味でも人間の面白さがあるのではないでしょう。

 美人で頭脳明晰さらにお金持ちの女性が、口先三寸の男にだまされ、結婚詐欺などに会えば小説やテレビネタにもなります。また、社会的かなり認知度の高い公職(例えば、裁判官や大学教授)の者が、破廉恥事件を起こしたことも多くあります。

 このようなことは、極端な例と思う庶民でも大なり小なり、「あの人を信じたばかりに・・・なってしまった」とか、逆に「あの人は口数は少ないけど、やることはちゃんとやってくれ、見直した」などの例は、枚挙にいとまがありません。

 私自身、この言葉を知らないばかりに、苦い経験をしなくて済んだのにあえて、払わなくてもいい「授業料」を払ったりもしました。それは、二十歳代前半にありました。会社の同じ職場の同僚(しかも同じ寮で、同郷、同年齢)で、飲み仲間とくれば、信用するものです。

 「田舎の母が病気で、少しの間お金を貸してくれ」と言われたので、月給1ヶ月分以上に相当するお金を貸しました。結果は、逃げるように会社を退職していき、もちろん一銭も返済なしでした。同じようにお金を貸した同僚で被害受けた者が沢山いましたが、中にはきっちり返してもらっている者もいました。

 返済を受けていた同僚が言うには、「あいつは、口先は調子のいいことばかり言っていた。だから、貸すにしても小額で、度々催促していた」と。さらに、「他人に金を貸す以上戻ってこないと思って貸す」と言っていました。私の年齢と同じ年齢でも、これだけしっかりしているものかと、当時感心したものです。

 後悔先に立たずですが、良く考え直してみると、「口先だけ」「調子のいいことだけ」は、日常思い当たるところが多々あったのでした。それ以降、このことが教訓になり、「人は言うことよりも、やることを見よ」と、気持ちだけでも思うようになりました。

 ひとの「やることを見る」には、相当の時間とチャンスも必要です。また、大臣や国会議員をはじめ政治家などは、言うこともやることも、しっかりしてもらわないと困る役職もあります。「このようなことはしません」と公約しておきながら、国民の意思と全く逆のことをするなど、言語道断です。

 人を信用することは大変いいことだと思いますが、それに至る判断材料は多方面(多角度)から、見たいものと思っています。(記:2001年11月9日)

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