組織は人なり
この言葉は、多くの方や本、新聞などで、聞いたり見たりしました。私の20歳後半(当時私は大阪空港時代)でしたでしょうか、ある先輩が次のような会話をしてくれました。当時スタッフをしていた先輩が、人事異動で大阪を離れるある出入りの業者の方から、「こちらにいる間はお世話になり、ありがとうございました。おかげで助かりました」と離任の挨拶を受けたそうです。
それに対し先輩は、「もう私は担当部署から離れているのに、わざわざ挨拶まで来て下さって、ありがとうございます」と応え、さらに業者の方から「あなたのおかげで会社の取引もうまくいきました」との会話が続いたそうです。
(後から聞いたことですが、先輩がその担当部署の頃、この業者の方とは、互いに担当者同士でもあり、契約成立前には、けっこう議論したそうです)
これらの会話までは、一見普通に交わされている日常挨拶のように私には聞こえました。でも、先輩は、しみじみと「会社間の取り引きで、実務者、しかも担当変ってかなり前になるのに、わざわざこっちにも挨拶まで来てくれて、ありがたいねえ」と。
さらに続けて、「なんか会社間と言うより、人としての付き合いなのかなあ。会社も組織も人なりなんだなあ」と、嬉しそうに私に話しておられたのを覚えています。
この「組織は人なり」の「組織」は、このページの場合、会社組織を指していますが、人の住む社会一般あまたある団体、協同組合、その他多くの組織にも通用するような気がします。そのような組織や構成には、当然、人が集まる以上、過不足、良否や評価は別としても、規約、規範があり、代表者がおられると思います。さらには、営業や商売関係なら、統一的な営業方針みたいなものがあるでしょう。
どこの会社、団体、組織でも、最初から法律違反をしようとか悪いことをしようと取り決めているところは、まずないと思います。むしろ、仕事や営業などを通じて、社会の役に立とうと志しておられるでしょう。(なかなか、良いことや人の役に立っていることは、伝わりにくいし、その評価も当たり前との風潮もあることから、目立たないことも沢山ありますが)事実その多くが、その通り貢献されています。
ただ、そうであっても誰でも知っているような大会社で、同じ法律の適用を受け、さらにはどこの会社ともほぼ変わらないような規則などがありながら、社会的な大事件(例えば、食品偽装、事故隠しなど)などが起きるのでしょうか。
逆に、あまり例は多くないかもしれませんが、名前の存在さえも広く知られなかった小さな会社が、そのアイデアと努力の結果、ヒット商品を生み出し、一躍日本国中で有名になった例も聞きました。今まで述べたどちらの例でも結果として、私は人(人材)が、そのことを左右しているように思えます。
法律、規範、規則や営業方針などが、同じでも結局のところ、そこの会社や組織を動かすのは、一人ひとりの人間だからでしょう。また、現時点でたとえいい商品・製品・サービス内容があったとしても、それをどう生かすかも人だろうと思います。人材をどう発掘、育て、生かすか、これに総て尽きるような気がします。
ただ、口で言ったり、文章で書いたりだけなら、このテーマは簡単かもしれませんが、実際の場面では容易ではなく、いや一番難しいかもしれません。さらには、自らの組織(会社など)の永続的な発展を望まれる方々なら、避けて通れない、待ったなしのテーマのような気もします。(記:2003年4月19日)
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