聞いた言葉・第25回目、『経済=経国済民』
経済=経国済民 毎日テレビや新聞などで報道されるのが、経済ニュースです。私は、この経済と言うことばは、水や空気みたいなものですから、恥ずかしながら、その語源まで知りませんでしたし、また、知ろうともしていませんでした。 20歳前半の頃でしたでしょうか、ある雑誌に「経済とは中国の”経国済民”=国を経め(おさめ)民を救うのが語源です」と書いてありました。さらに”経”というのは織物の縦糸のことで、正しく真っ直ぐと言う意味もあるようです。つまり、元々”経済”とは、真っ直ぐに国を治めて、国民を救い、しっかりと安定させていくという言葉だろうと解釈しました。 私は、この経済の語源を知った時に、「なんて素晴らしい言葉だろう」と思いました。現実は(後から書きますが)色々あっても「この語源通りに経済がなっていればなあ」と経済ド素人の私でも、その後ずっと思っていました。 この語源を知った後、「バブル経済」やら「マネーゲーム」などのことばも聞きました。それ以降は、長く続く現在の大不況に入り、何度となく政府与党が、「景気対策」などと称し、全然効果の上がらない、国の借金が増えるばかりの政策も聞いて見てきました。 例えば、病気でも事故でもその原因を正確に把握し、その要因に合った処方箋や対策を確実に実施すれば、体力は回復するし、事故は減少傾向になることは、自明の理と言えます。それが、現在なぜ経済に関しては、できないのか。なぜ、少しでも良くならないのか。 結局のところ、私が思うにこの経済の語源である『経国済民』の精神に立って、日本の経済政策そのものが実施されていないからだと思います。つまり、正しく真っ直ぐ国を治めず、民を救うような経済政策になっていないからでしょう。 だから、一番困っている(収入の少ない)高齢者や失業者などを始め中小零細企業まで、最も経済の語源に立ち返って、救うべき人たちをすくわずに、逆に医療負担増、銀行による”貸しはがし”、”貸し渋り”などを平然と行っているのです。 逆に、バブルに酔いしれて、しなくてもいい過剰設備投資や最初から何も利用価値のないような不動産を買い漁った銀行や大企業には何兆円規模の税金投入や何千億円と言う借金棒引きなどが、何回も行われています。(国や地方自治体でも、公共事業と称し全く無駄な事業も数多くおこなわれてきました)しかし、そのようなことをすればするほど、ほとんど効果が上がらない状況が続いているのは、もう誰もが知っていることです。 このような経済の語源に全く逆行するような経済対策(施策)ではなく、日本の消費購買力の約6割から7割位を支えている一般消費者=国民、また、その国民の8割以上が働いている中小零細企業(そのいずれもが現在苦しんでいる)に真に光をあてるような経済政策が一刻でも早く必要なことは、これまた、誰の目にも明らかです。 このようなことを書いたり、言ったりすれば「理想と現実とは違う」とか「素人が何を言うか」とか言う声が、聞こえてきます。しかし、日本の国力や実態経済を無視して、異常なバブルや大型公共事業に走った結果の破綻は、あまりにも大きくて、もう特効薬はないはずです。 また、日本だけが景気に苦しんでいるのではなく、日本よりも経済力の小さい(同じ先進国の)ヨーロッパ各国でも景気事態は似たような状況でしょう。しかし、そのような中でも、例えば国民に対しては最低限、医療費や教育費用などは、今なお原則無料とも聞きました。
(記:2003年4月4日) |