聞いた言葉・第39回目、『あって当り前出来ていて当然なのか。』
あって当り前出来ていて当然なのか。 私は、この言葉を女性の方から、よく聞き、ぐさっとこたえたものでした。特に、私のような男性に対して「家でも会社でも、(男の人は)何でもあって当り前出来ていて当然と思っている人が多い。でも、準備するのはそれはそれで大変なのよ。少しは感謝して欲しいなあ」などと聞きました。 人が生活や仕事などをする以上、大なり小なり必ず人の助けが要ります。日常普段におこなわれているなんでもないように見える、例えば、家庭でご飯を食べお茶を飲み、仕事場でコピーを取り、必要書類に記入するなど、誰でも毎日やっておられるような行為があります。 ただ、黙って食べたり、使う側はいいとしても、逆にそれらを準備・用意する側は、なかなか、簡単なようで毎日続けることはそれなりの努力も忍耐も必要なことだと、私は多くの方から聞きました。 仕事場で例えば、コピー用紙やボールペンなどが在庫切れにならないようにするには、適切な時期に点検し、少なくなっていれば注文、購入、支払、台帳付けなどとなるでしょう。 家庭での食事の準備も、毎日メニューは変ってもやっていることは、全く同じような繰り返しの連続と思います。私は独身ですから、以上の繰り返しは私なりに分かってはいます。 このような日常不断の繰り返しは、生活や仕事する以上やむを得ないことであり、、一見誰でも簡単に出来そうと思えても、毎日続けること本当にほんとうに根気も含めて必要なことと身に染みて分かります。 また、これらの行為はほとんど目立つことなく、誰からも「いつも、ありがたいね」などと言われることも、ほとんどないかもしれません。でも、これらのことが用意されていなければ、たちどころに家庭でも仕事場でも困ることだと思います。 「いや、私は困らない」と言う(例えば、一日何百万何千万と言う商談を成立させる)凄腕のセールスマンだったとしても、その契約書、請求書などの準備が出来ていなければ、あるいは契約書などの必要書類の在庫もなく誰もいなくて、自ら関係書類を印刷注文までしなければならない立場になったら、最低何日かかるでしょうか。スピーディーさがなければ相手次第では、商談不成立にもなりかねません。 そのようなことは極端な例と思う人でも、奥さんが旅行などで留守、あるいは仕事場で担当者が休暇中などでいなくて、必要書類の置き場所がどこにあるか分からなかったなどの経験はないでしょうか。買わなくて済んだ物を置き場所を探せなくて買って間に合わせたことなどはないでしょうか。 私は、歴史に名を残す、あるいはずば抜けた才能を発揮され、全国・全世界で有名になられた方も素晴らしいと思います。でも、日常不断の繰り返しを、至極当然のごとく、こともなげにおこなっている人も負けずとも劣らないほどの『真の英雄』のような気がします。 到底どちらも起用にできない私は、せめて、どこにも身近にたくさんおられる『真の英雄』に、感謝の念だけはもって、できるだけ「ありがとう、助かってます」と繰り返したいなあと思っています。(記:2003年12月5日) |