成功は忘れ、失敗は覚えておく
この言葉はテレビ番組で司会者のインタビューに答えておられたある社長さんが言われていたことです。残念ながら、お名前も会社名も私は覚えていません。実際はもう少し長く、「経営上、成功した例は早く忘れ、失敗例はいつまでも覚えておいて教訓にしている」とのことでした。
少し補足説明しますと、この言葉、例えば機械とか電気とかの技術的な、設計図みたいなことではありません。あくまでも、経営上の戦略みたいなことです。この方いわく、人は好調不調関係なく、成功例やいいこと良かったことは、けっこういつまでも覚えていて、逆に失敗例や悪かったことは早く忘れようと言う習性があるそうです。また、成功例や良かったことなどは、イチイチ自ら言わなくても、まわりの方もよく覚えていて直ぐ言うそうです。
しかし、過去失敗したことを社長あるいは社員自ら「以前こんなことがありましたけど、今回大丈夫でしょうか」みたいなことはなかなか発言しないそうです。
過去のこととはいえ、その場で言えば自ら恥の上塗りにもなるかもしれないと思ったり、あるいはこれからやろうとすることにある種ケチ付けるような雰囲気になって、気が引けるからではないでしょうか。
ただ、このことを避けた論議で物事を進めると、いずれ必ず直面する各種問題に対応が遅くなると言うお話しでした。私自身、失敗例は山のようにありますが、そう言われてみればそうかなと思っていました。
また、色々な方のお話しをお聞きする時、(何か成功したことのない私が、このようなことを書くのもなんですが)ただ、自慢話しや成功例だけの話しだけでは何か胸打つものにはならなかったのも事実でした。(別に私は、自慢話しや成功例も話しの潤滑油として必要だとも思ってもいます)
私は、色々な方に教えて頂き、自らの失敗例を臆面なく堂々と言うことのできる方は、本当に腹の据わった、懐の深い人だろうと思いました。さらには、たとえ何か諸問題発生しても、そのような方は、なるべく小さな段階で素早い対応で乗り切れる方だとも思います。これとは逆の方は、問題の深みにはまりながらも、部下や他人のせいにして、さらに深刻化する道に進んでいることが分からないでいる方だろうと思いました。
結局、この言葉『成功は忘れ、失敗は覚えておく』は、人の意見も良く聞き、謙虚な姿勢で物事は進めた方が良いとおっしゃっているようにも私は思えました。(記:2004年5月19日)