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5)設計段階での私の意見

 後で、重複して書きますが、96年から97年春まで設計の第一段階と言える時点での私の基本的な考えをまとめると、以下の通りです。
 
1、見てくれ格好は考慮せず、実用優先で考える
 2、新建材は使用せず、真の健康住宅を目指す
 3、堅牢強固な家を建てる
 4、身障者や高齢対策も考慮する
 5、できるだけオリジナルも取り入れる


 はじめに、私は住宅について、他人に見せるために宅地造成やログハウスを建てようと思っていませんでした。私は現時点では独身ですから、家族や親戚のためでなく、あくまでも自分用ですから、実用オンリー、健康住宅、堅牢強固、身障者や高齢対策、オリジナルなどを最初から考えていました。見てくれ、格好はどうでもよく、ようは中味の問題と思っていました。

 そのような考えから、結果、私は大阪にいる時から、新建材の家ではなくログハウス、平屋作り、屋根の形は単純切妻で45度のとんがった角度でなくもっと平らな角度を、水まわりは(風呂、トイレ、洗面など)別棟、トイレは内用と外用の二つが最低絶対条件と考えていました。それと予算の都合もありますが、できるだけオリジナルの建具や内装を検討して設置したいと思っていました。

 実はこの件で設計担当の建築士の義兄と相当やりあいました。義兄が96年秋に言うのには「平屋でなくロフト(2階)も作る。水まわりは中に取り入れる。トイレは同じ所に向かい合わせで二つもいらない。むしろ無駄だ。屋根はログハウスらしく突き出し屋根で角度は45度で、強風でも大丈夫。それにドーマーもつけた方が家が映える」と言うのです。義兄が言うのにも根拠があります。今のログハウスの展示場やパンフレットにある家は皆この様式です。在来の住宅なら600戸以上建てたと言う義兄でもログハウスは始めてのことで、色々勉強したと思っています。

 先ほど述べた私の案に対して、義兄からは一時期「君の案は使用上不便で、しかも見てくれ、格好が悪く、まるで、ほったて小屋みたいな家は作りたくない。私も、プロだから、誰が不細工な家を建てたかと、言われたくない。そこまで言うなら設計しない」とまで言われました。たとえ、プロの根拠ある意見でも、私の考えと基本的に違うので一つひとつ丁寧に私は根拠の説明をしました。 その根拠とは

1)平屋作り=2階があると、上がったり降りたり面倒で、年をとるとそれもできなくなる。子供や家族もいないのに2階は必要ない。掃除もしにくい。(実は大阪・池田市の最後に住んでいた家が、2戸一の上下階で4間ある部屋だった。何をするにも上がったり降りたり、本当にイヤで、それで自分の家は絶対2階は作らないぞと思っていた)

2)屋根の形はゆるい角度の単純切妻=モデルハウスで良く見る先のとんがった屋根は実は意匠(格好)だけである。あの形は施工が複雑で資材も無駄が出る。強風時には、風が突き出している所に入りやすい。45度の急勾配の屋根なら怖くて屋根のメンテナンスが出来ない。だから、単純切妻のゆるい角度の屋根にしたい。

3)水まわりは別棟=ログハウスの短所は木を多く使用するので、水に弱い点である。ログハウスだけでなく、在来工法の民家やマンション及びビルでも水まわりは10年単位で何らかのメンテナンスが必要と聞いていた。ログハウスに直結した別棟の在来工法の水まわりなら、たとえ10年後メンテナンスが必要になっても、別棟だけの工事である。それなら、メンテナンスもやりやすく、ログ本体をいじらないので、お金も少なくて済む。

4)トイレは内用と外用の二つ=町中の民家ではトイレは内・外二つも必要ないと思う。しかし、まわり田んぼばかりの田舎では地下足袋や土足でも入れるトイレは常識で、実家近くの家はみんなそうである。確かに同じ壁一枚の所に向かい合わせで内・外二つも無駄に思えるが、これは田舎だから「必要な無駄」である。

5)できるだけオリジナルの建具・内装などを=これについては義兄のアドバイスに負うところが大きい。例えば、普通の洗面用の白い陶器やユニット式ではなく、ログハウスに似合う有田焼の磁器(分厚い天板をくり抜きそこにかっぱとはめる)はないかとか、風呂はユニットバスでなく、木の風呂を、などである。予算の関係もあるが、できるだけ、市販されている既成品でなくオリジナルで仕上げてみたい。

 私の説明の足りない分は大分県日田群ログ・ハウジングの方の意見も取り入れ、義兄も私の案通りで、設計してくれました。次に、上記の根拠をもとにまだまだ、97年春までのプランニング段階では間取りを以下のように構想を練っていました。

・11畳の洋室が一つ、
・8畳と6畳の和室が二つ、
・14畳の対面式キッチンとダイニング、
・風呂、トイレ二つ(内からと外から入れるトイレが一つずつ)、
・風呂、トイレ、洗面等の水まわりは本宅に直結した10畳の別棟、
・6畳のデッキ、
・屋根は平屋の単純切妻で大屋根形式で、明るい緑色の陶器瓦

 最初の方にも書いていますので、繰り返しになりますが、ログハウスのパンフレットや展示場にあるような見てくれ、格好はやめ、「まるで、ほったて小屋みたい」と言われて本望と思うような家を建てようとしていました。元々、ログハウスは「丸太小屋」と呼ばれていますから、当然です。 上記のプランの大枠は変えないものの、建てる直前も、建てている最中でも設計の細部については変更しました。 その主なものは

・別棟構想の水まわりは同じ屋根(15m×8mの大屋根に取り込む)内だが、内部は在来工法にする。外壁の板は丸太との調和から、ハーフ丸太材を使用する。
・デッキは9畳の広さに拡大する。階段も一つではなく、二つにする。
・足洗い場も大きくする。
・風呂は鉄平石張りで、浴槽は木製でなく従来型にする。
・玄関とアプローチは煉瓦及び鉄平石にする。
・開口部(窓など)は極力広くとらない。
・窓は木製枠のペアグラスにする。
などです。(記:1998年3月)

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