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小さな町よりも大きいターミナルビル

 八甲田山さらには下北半島の恐山を見ながら津軽海峡を越えると徐々に機体は揺れはじめてきた。夕方に近ずいてきたこともあるのか窓からの北海道の海や雪は鉛のように重たく見える。 定刻よりも千歳空港上空に早く着いたにもかかわらず数日前からの大雪のためか、なかなか着陸しない。

 やっと着陸体制に入り、雪を蹴立てる逆噴射の音が大きかった。「雪のため滑る可能性もありますのでベルトはしっかりお締めください」とのアナウンスがあった。客の中には「もう滑っているよ」との声があがった。ゆっくりそろそろとタキシーウェイを走行した。歩いた方が早いのではと思う位に慎重であった。

 かなりの時間をかけてスポットに向かうがなかなかランプインしなかった。良く見るとプッシュバック中の飛行機が1機あり、それがランプアウトした後、滑り込んだ。 昨年できた新千歳空港ターミナルビルは何もかも新しい。ブリッジも壁もフロアーも奇麗でいい香りがしそうだ。到着ロビーに降りる階段のところで「上野さん、上野さん」と上から声がかかった。えっと振り返ると同じ空港仲間5人がいた。

 聞くと「スキーに来て今から大阪へ向かう」と言うことだった。しばらく話したが手荷物が気になりはじめたので、また、階段を降りることにした。 到着出口のガラス越しに出迎えのいとこの熊さんの顔が見えた。手荷物は大阪でプライオリティーのタグを付けてくれたので一番先に出てきた。久しぶりの再会の挨拶もそこそこに駐車場まで行く間ウロウロと見てまわる。

 ターミナルビルの中はいくらあるか分からないような売店、レストランの数だった。大きな吹き抜けの広場、端が見えないようなカウンターの長さ、総てが同じ建物かどうか疑いたくなるような感じであった。
熊さんが「新しくなって久しぶりに来たので車をビルから遠くに置いてしまった。悪いけど相当歩くよ」と。

 「ええ、それはいいですけど。昨年から噂に聞いていましたけど、本当に真新しくて大きいターミナルビルですね。ちょっとした町より大きいですね」と応えた。

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