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寒い時にはケーキと珈琲

 「上野さん、お茶でもどうですか」「行きましょう」と、ホテル近くの「グレコ」とか言う喫茶店に入った。「ケーキはどうでしょうか」「たまにはいいですね。食べてみましょうか」と言い、頼んだ。ケーキを食べながら函館、丘珠、東京、大阪、福岡の各空港にいるお互いの知り合いの消息等の会話が進んだ。

 北国の寒い時に少し汗をかき、その後食べるケーキやコーヒーもなかなかオツなものであった。ケーキなどは女の子の食べ物で野郎の食い物でないと頭から思っていた私であったが、これからはこちらの方面も勉強しようと考えた。

 ケーキやアイスクリームと言えばローマでオリーブ油のかかったアイスクリームの嫌な思い出があるが、これからの旅先では郷土料理とともにレパトリーに入れようと思った。女の子にばかりこんな美味しい物を食べさせる手はない。そうだ、何かを忘れていたのだ。

 「明日は小樽に行こうと思っています」「それならば」と色々ワンポイントアドバイスをしてもらった。話しは尽きないが、次の再会を楽しみに整備士の方と別れた。ケーキとコーヒーの味を残しながら、いい気分でホテルに帰るとフロント前に道内や札幌の地図とポケット時刻表が置いてあるのに気づいた。「これはいい」とベッドの上で見ていたら、知らぬ間に寝ていた。

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