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カモメを呼ぶ少女

 とっくにお昼をまわりお腹が気になりかけた。新聞で「小樽の観光客用の寿司屋は高くて評判が悪い」と知っていたので、市場内の小さな食堂に行こうと思い近くの鱗友市場に向かった。多分新鮮な刺身やイクラ丼でも食べられると思いながら着くと朝市なのか今日は休みなのか閉まっていた。あ〜あ。

 次に運河の西外れにある『小樽運河・赤煉瓦館』に行った。ここは蟹、鮭等の海産物をはじめ北海道のお土産売場とレストランと一緒になっていた。ここで食べてもよかったが、あまりにも観光客目当てのような店だったので外に出ることにした。反対側には3畳位の大きい案内板があった。見やすく、それに上部のエッチング式の絵か軽金属に描かれた運河の模様が鮮明だった。

 さらに先に行くと北浜橋の所に台座にのった彫刻があった。右手を高く掲げ、左手は少し曲げて手招きしてしているような少女であった。彫刻名を見ると「カモメを呼ぶ少女」と書いてあった。雪の今の時期はカモメはいないが、夏の時期は可愛い少女の手招きの通りくるのかも。ワンピースは着ているが寒そうでコートを羽織ってやろうか思うくらいだった。

 運河沿いを外れ今度は大通りの方へ食堂を探しに行った。古い建物がいたる所にあったが、「今はめし、あとで写真は撮ろう」とお腹に言い聞かせ先へ進んだ。しばらく歩いていてもなかなか見つからずウロウロしていると、いい香りがしてきた。

 鮮魚屋さんの前で蟹を焼いているにおいだった。大将が「もう直ぐで焼けるから食べてって、うまいよ。よければ蟹買って、安くしとくよ」などと威勢がよかった。食べると買わざるを得ないと思い、かわりに「どこか安い寿司屋さんありませんかね?」と尋ねた。「目の前の店も安いけど今日は休みだな。あとは『政すし』もまあまあ安いよ」と教えてもらった。

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