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北海丼と北空港

 エアポート154号は16時10分新千歳空港駅に着いた。手荷物預かり所からスキーとザックを出し、チェックインした。手荷物係りは名前は知らないがIAUの方と言うだけで親近感があり、「よろしく、ご苦労さんです」の掛け声となった。

 まだ、出発まで1時間弱あり、昨日下調べしていたレストランに行くことにした。このレストラン『あびよん』は空港側の窓から直ぐ飛行機の行き来が見える所だった。今回のツアーで食べそこねた北海丼(ご飯にイクラとウニが乗っている)と白ワインをここで注文した。味はいいとは言えないが値段はなかなかするものだった。

 窓の外はガラスの色の関係か薄青白く見えた。大阪より日没が早いのは時差のためかもしれない。左から右へボーイング767機がランプアウトして、滑走路に向かっていた。雪の中をゆったり動く飛行機を見るとレザーカラオケのデウェット曲で有名な「北空港」を思い出した。

 ゲートの方へ歩いていたらランプサイドの通路から「上野さん」と声がかかった。「あっ中井キャプテン」「ここには?」「ニセコのスキーツアーで来て、小樽まで行って大阪に帰るところです」 副操縦士や後方から歩いて来たスチュワーデスのクルーも見たことのある大阪所属の方ばかりであった。どんな所で会
うか分からないものだ。

 ジャンボ機は来た時よりは早くスルスルと滑走路前でスタンバイして、17時40分過ぎに力強くテイクオフした。窓からはポツンぽつりと町の灯が見えるだけだった。

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