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中央はクヴェール橋の塔
プティット・フランスその2、一番の中心地

 プティット・フランス地区には運河、水路がいくつもあります。(前回ページの大きな犬のいたレストランからさらに小道を進むと)この運河のひとつに鉄の橋が架かっていました。

 欄干には細長いフラワーポットかけられていて、この花を前景とすれば背景には運河越しにクヴェール橋の塔が見え、直ぐにシャッターを切りました。

 私は、この時は気付かなかったのですが、この橋は(皆さんと次の日の朝、乗った時に観光船から確認したのでしたが)船が通る時だけ、ほぼ直角に回転している可動式の橋でした。

 ここからさらに小道を進むと、次々と木組みの家並みが続き、上下左右と目が行き、なかなか気が休まらないままカメラを構えていました。

ロー・ケースの看板
 木組みの家と言っても造り方やその形は一様でないことも段々分かってきました。ただ、魚の鱗(うろこ)の形をした屋根瓦は、(全部見た訳ではありませんが)どこも似ていました。

 この木組みの家は、ドイツ様式と書いてある本もありましたし、後日まわったアルザスワイン街道ツアーで見た各村の家も、ほぼ似たようなものでした。もちろん、この鱗瓦も同じでしたので、やっぱりそうなんだなあと思いました。

 細い路地からやや開けた感じの広場が見える頃、右手にプティット・フランス地区でも最も有名なメゾン・デ・タンネーア(Maison des Tanneurs)の建物が見えてきました。

 この建物は、日本にいる時から、絵葉書や写真集などで、私も何回も見てきていましたので、じっくり見てみたいひとつでした。

 ここの壁には、レストラン名などが書いてありました。その文字の中に「・・・1572」という数字があり、これは「創建(創業)1572年」かなあと思われました。

メゾン・デ・タンネーア
 (後で調べたのですが)この西暦1572年は、日本なら戦国時代で織田信長活躍中の頃です。

 なるほど、そりゃあ古いなあ、長い歴史といい保存状態といい世界遺産『ストラスブールの旧市街』の中核になっても当然だなあと納得致しました。

 この建物は、元々「皮なめし職人組合」の寄り合い場所になっていた所とのことです。このページの写真でもお分かりの通り、なぜ、屋根の部分に高い開口部があるかと言うと、この屋根裏部屋で皮が干されていたため、通風の必要性からです。

 道理で今まで見てきた木組みの家並みも、各々家の形は違っていても、屋根に大きく高い開口部があったのが理解できました。

水門の上はホテル
 このメゾン・デ・タンネーア前には、ちょっとした広場があり、風景画や似顔絵描きのキャンバスもおいてありました。

 また、ミニトレインの停留所にもなっているのか、丁度たくさんの観光客が降車され、いっぺんに賑やかになりました。

 この広場から川の中にある道を下ることにしていましたら、観光船が運河の高さ調整をして、次の運河に向かうところで、ファインダーの構図で手前に観光船、背景にメゾン・デ・タンネーアと木組みの家並みとなかなかいい感じに撮れました。

 水門の水音を後方に聞きながら、さらに下ると、サン・マルタン橋をくぐり抜けると川岸にいくつかベンチが置いてあり、しかも近くには木々もあり休憩にはもってこいの場所でした。

 ここでは、のんびりと昼寝している人、語り合っている人、犬を連れている人など、多く見ました。その中でも皆の注目は、ノースリーブで本を読んでおられる金髪の若い女性でした。足が長くスタイルも良く、まるでファッション雑誌の表紙から切り抜かれたワンシーンのようでした。

サン・マルタン橋

 マダムかおるから、「ここでスケッチしたい」との話しがあり、「あー、いいですね。ゆっくりどうぞ」と言いながら、私は、イル川でスイスイ泳いでいる鴨の群れなどを観察することにしました。

 あと、ここでもう一つ良く見たのがワンチャン連れの方々です。ストラスブールの方は、本当に犬好きの方が多いのかなあと思うくらいでした。

 チワワみたいな小さな犬、狩猟犬みたいな黒くて大きくて迫力のある犬、その他犬種を私は全然知らないので、これ以上書けないのですが、とにかく、何組もの散歩姿を見ました。

 イル川には、川下から上ってくる観光船も多く、屋根付き、屋根なしなどの種類だけでなく、塗装もちょっと変わったのもあったみたいでした。

サン・トーマス橋と観光船
 観光船を撮ろうと、こちらがカメラを構えていると、手を振るだけでなく、陽気な観光客なのか「イエー!」、「オー!」みたいな大きな声がかかり、私も手を振って応えていました。

  川面からくる風は、ほほに心地良いものでした。観光地巡りすることもけっして私は嫌いではありませんが、しばし、このゆっくり、のんびりした時間は、なんか変えるものがないなあとも思いました。

 絵心のない私が言うのもなんですが、マダムかおるのスケッチはなかなかで、風景を一瞬切り取るようなカメラ撮影よりも、白紙から足して描いていく描写は、やはり味わい深いなあと実感しました。(掲載日:2004年7月10日)



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