プティット・フランス地区には運河、水路がいくつもあります。(前回ページの大きな犬のいたレストランからさらに小道を進むと)この運河のひとつに鉄の橋が架かっていました。 私は、この時は気付かなかったのですが、この橋は(皆さんと次の日の朝、乗った時に観光船から確認したのでしたが)船が通る時だけ、ほぼ直角に回転している可動式の橋でした。 ここからさらに小道を進むと、次々と木組みの家並みが続き、上下左右と目が行き、なかなか気が休まらないままカメラを構えていました。
この木組みの家は、ドイツ様式と書いてある本もありましたし、後日まわったアルザスワイン街道ツアーで見た各村の家も、ほぼ似たようなものでした。もちろん、この鱗瓦も同じでしたので、やっぱりそうなんだなあと思いました。 細い路地からやや開けた感じの広場が見える頃、右手にプティット・フランス地区でも最も有名なメゾン・デ・タンネーア(Maison des Tanneurs)の建物が見えてきました。 ここの壁には、レストラン名などが書いてありました。その文字の中に「・・・1572」という数字があり、これは「創建(創業)1572年」かなあと思われました。
なるほど、そりゃあ古いなあ、長い歴史といい保存状態といい世界遺産『ストラスブールの旧市街』の中核になっても当然だなあと納得致しました。 この建物は、元々「皮なめし職人組合」の寄り合い場所になっていた所とのことです。このページの写真でもお分かりの通り、なぜ、屋根の部分に高い開口部があるかと言うと、この屋根裏部屋で皮が干されていたため、通風の必要性からです。
また、ミニトレインの停留所にもなっているのか、丁度たくさんの観光客が降車され、いっぺんに賑やかになりました。 この広場から川の中にある道を下ることにしていましたら、観光船が運河の高さ調整をして、次の運河に向かうところで、ファインダーの構図で手前に観光船、背景にメゾン・デ・タンネーアと木組みの家並みとなかなかいい感じに撮れました。 水門の水音を後方に聞きながら、さらに下ると、サン・マルタン橋をくぐり抜けると川岸にいくつかベンチが置いてあり、しかも近くには木々もあり休憩にはもってこいの場所でした。
マダムかおるから、「ここでスケッチしたい」との話しがあり、「あー、いいですね。ゆっくりどうぞ」と言いながら、私は、イル川でスイスイ泳いでいる鴨の群れなどを観察することにしました。
川面からくる風は、ほほに心地良いものでした。観光地巡りすることもけっして私は嫌いではありませんが、しばし、このゆっくり、のんびりした時間は、なんか変えるものがないなあとも思いました。 絵心のない私が言うのもなんですが、マダムかおるのスケッチはなかなかで、風景を一瞬切り取るようなカメラ撮影よりも、白紙から足して描いていく描写は、やはり味わい深いなあと実感しました。(掲載日:2004年7月10日) |