<撮影メモ> 本題に入る前に、私は大村市重井田町にある郡岳(こおりだけ、826m)の頂上に撮影した日に登りました。この山の頂上部は、けっこう広いですが、その片隅に、この花は咲いていました。
私は、この日、別目的で登頂していたのですが、たまたま郡岳の花や植物を調べられておられる方から、この花の名前などをお聞きしました。それまで、私は花が咲いていたことは知っていましたが、名前までは例によって苦手のため全く知りませんでした。
国語辞典の大辞泉には、<卯の花(ウノハナ)=ウツギの白い花。また、ウツギの別名。うつぎのはな。《季 夏》「卯の花のこぼるる蕗の広葉かな/蕪村」 >と書いてありました。香りは、あまりしないですが、白い可憐な花です。
この花を一番有名にしたのは、『夏は来ぬ』(文部省唱歌、佐々木信綱:作詞、小山作之助:作曲)の歌ではないでしょうか。この曲の一番に(下記の通り)歌われています。
「卯の花の匂う 垣根に 時鳥(ホトトギス) 早も来鳴きて 忍び音もらす 夏は来ぬ」
この詩を見ますと、短いながらも日本語の持つ趣の奥深さ、情景の広がりや感情の起伏を感じます。また、曲を聴きますと詩情豊かながらもロマンチックさも感じる素晴らしい曲です。あと、この詩のイメージが強すぎて花の香りが、周辺に「におう」ように感じておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは違うと思います。
たぶん、この場合の「匂う」は、辞典を参考にすると大昔からある言葉の「にほひ」と同じで、「(視覚で捉えられる)美しい色彩」と同意語のようです。いずれにしても、卯の花(ウノハナ)も、『夏は来ぬ』の歌も、美しいです。
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