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聞いた言葉・第6回目、『壁は外よりも内にあり』

壁は外よりも内にあり

 学生時代にも社会人になっても、人は、本人が好きか嫌いかは、別としてもその多くが何らかの協同組合、親睦会や共同組織などに加盟して行動します。(念のため、ここでは、仕事上のことではありません)

 その共同組織の役員なりたくなくても、順番に役職がまわってきたり、また、なかなか、後継者がいなくて長年にわたりその役職を勤める方もおられると思います。

 短期間でその役職を終わられる人は、色々問題あっても、時間が解決してくれることもあろうかと思います。しかし、長年その役員に携わっていると、色々な事柄に遭遇します。

 その中でも、単なる役員だけの力や会員への呼びかけ程度で済まない問題もあります。その具体例として、何かの会全体で行う行事の時、「○○班は ○○名参加を」とか、なかば割り当て人数みたいに来た時などです。

 この割り当て人数は、他の班が多めに出席してくれれば、何とかその場は収まりますが全体で参加人数不足になると、反省会でなかなか、激しい議論になる時もあります。「うちの班は、割り当て人数分出しているのに、他のところはちゃんと出ていない」 「あそこの班は、いつも少ない」 「呼びかけてはいるが、いつも用事があると言って皆さん出てくれない」などです。
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 また、色々な取り組みをする中で、交渉や折衝ごとになり、努力しても相手があることで、所属している皆さんの思うような成果が上がらない、あるいはマイナスの場合もあります。その時、当然のごとく役員の方に、皆さんは意見や指摘、さらには、批判や不満が向けられます。

 以上のような事例の時、役員になっている人は、「他の方にちゃんと連絡を入れ、やるべきことはやっているのに、自分だけなぜ責められないといけないのか?」 「自分は一生懸命しているのに、皆が動いてくれないから、うまくいかないのだ。こんなことではやっていられない」などの気持ちが、持ち上がってきます。

 同時に何か協同組織の「活動の壁」(自分としては頑張っていると思うがゆえに、自分が原因ではないと思う「外の壁」)みたいなものも感じてきます。これらは、自然な感情だと思います。この「外の壁」は、感じ始めると高くなるばかりで、よほどのことがない限り、低くなることも、長年続けることもなかなか難しくなってきます。

 ただ、ここで考えたいのは、自分が逆の立場なら、どのような意見を言い、どのような行動を取るかと言うことです。各種協同組織の行事は、誰かの結婚式や葬式みたいにはいかないということです。会員の中には、様々な状況が存在していて、参加や出席を呼びかけても、なかなか思う通りに行かないことが多いです。

 そんなことが繰り返しが続けば、「あの人にいくら言っても参加してくれない」など思うようになり、自分で知らずしらずの内に、その人へ見えざる「壁」を作りはじめています。同時に「敷居」も高くなり、声かける回数も自然に減っていっているものです。

 参加・出席できなかった会員さんに、じっくり理由を聞いて始めて、その状況が分かったり、「今度は、必ず参加するからね」とか、声かけられることもあります。また、交渉ごとについても、公明盛大にしておれば(裏取引などは、論外です)状況の詳細を説明すれば、「自分たちの思う通りにはならなかったけど、そのような状況下で良く頑張ってくれたんだねえ」と言うお礼にも似た言葉も返ってくる場合もあります。

 このように役員の中には、意外と一人ひとりの会員さんの状況を把握していなかったり、会員さんとの目線が違っている場合も多くあります。自分で自分の壁(「内の壁」)を作ってしまっているのです。「内の壁」は、自らの気持ちや考え方しだいで、高くもなれば、低くもなります。

 本人の意思と違って役員になったとしても、ずっと年から年中嫌々な気分で通すよりは、「内の壁」を取り払い、「なるようにしかならない。自分だけのせいではないよ」くらいの大らかな気分で、接した方が精神衛生上もよろしいのではと、私は思っています。(記:2001年10月1日)
 

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