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聞いた言葉・第166回目、『技術の伝承』

 

技術の伝承

  日本には、製造業として、さらには関係する技術も含めたら簡単に覚えきれない位に沢山あると思われます。 また、その技術水準の高さは、もしも”技能オリンピック”みたいな世界大会があれば、我が国には金メダル級の方々が沢山おられると思います。私は、その種の技術を持ち合わせていないので、ただただ見聞きするだけでも尊敬しています。

 日本のそのような技術状況を簡単には表現できませんが、総じて言えば「ものづくり日本」とか「技術立国・日本」とかの呼称でしょうか。 ここで今回の言葉である技術伝承について、改めて国語辞典の大辞泉を引用して下記に書きます。

技術=1.物事を取り扱ったり処理したりする際の方法や手段。また、それを行うわざ。「技術を磨く」「高度な表現技術」 2.科学の研究成果を生かして人間生活に役立たせる方法。「先端―の導入」「産業界における―革命」

伝承=1 伝え聞くこと。人づてに聞くこと。 2.ある集団の中で、古くからあるしきたり・信仰・風習・言い伝えなどを受け継いで後世に伝えていくこと。また、そのようにして伝えられた事柄。「郷土芸能を伝承する」


 歴史から振り返れば大昔から日本人は手先が器用で、このような製造・技術分野では多くの実績があります。 例えば各国の技術・文化・芸能などを展示する催しとして万国博覧会がありますが、ここで各国から出展されたものが、その年代の技術や文化水準をはかる意味でもよく取り上げられます。

 万博は江戸時代も終わりの頃からロンドンやパリその他で開催(日本が本格的に出展したのは何回か経た後)されたのですが、当初の頃、日本からは外国人の方が個人収集品として出展されたみたいです。それでも、伝統工芸品などに見学者から絶賛の声・評価があったといわれています。また、黒船来航で有名なアメリカのペリー提督は、日本の職人技術の高さを大変評価していましたともいわれています。

 このような昔の話だけではなく、今でも日本に観光で来られた外国の方が、日本の伝統工芸品あるいは職人が造ったお土産品を見ても、大変驚かれている場面はマスコミで取り上げられているのを何回となく見ました。

 さらに、そのような日本の技術や職人魂は、安全上からも世界のトップ品質が求められている宇宙・航空産業、IT・ハイテク分野でも我が国の技術が生かされているのは度々報道されています。しかも、その技術は、どちらかと言いますと中小企業に負うところが大のようです。ただし、そのような素晴らしい技術などが、これから伝承含めて将来にわたって永続的に続くかといいますと、なかなか困難なところもあるようです。

  その原因は、様々で例えば「習得するのに年数がかかる」、「後継者不足」、「いいものでも採算割れしてまで造れない」、「外国(アジアなど)からの安い製品にやられた」などとも聞きます。中には、「黒字なのに倒産」(会社の収支上は黒字でも資金繰りがうまくいかない場合など)みたいな報道も記憶にあります。

 このようなことについて、私が何か解決策や答えを持っている訳では決してありませんが、色々な分野の方などからお話しを聞くたびに何とかならないのかなあとも思います。口では簡単に「いいものは売れるさ」とか「素晴らしいモノなので長く造り続けて下さい」と誰でも言えますが、現実面で、それで生計や会社経営を続けていくとなると、私が分からないご苦労があると考えています。

 ただ、日本は地下資源はないですが、「人という資源」はあるのではないでしょうか。このようなことを生かすには、国挙げての取り組みも必要なことではないでしょうか。はたして、そのようなことが出来るために充分な中小企業予算とか技術援助予算などはあるのでしょうか。同じ技術でも、国民を長年だまし続けて作り上げた「原発の安全神話」には、過去何百億、何千億使われたようです。さらに、今後も使おうとしているのでしょう。

 そのような国民だまし、「安全神話」作り、さらには不要不急か無駄とも思える大規模公共事業予算が組めるならば、大企業だけでなく中小企業含めて日本の優れた技術の伝承ができる態勢を側面からしていけるのではないかとも思えます。


(記:2013年2月11日)

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