今アルザスが面白い1、世界遺産のストラスブール旧市街
前回までの「見た、食べた、歩いた」風の旅行記は、一区切りして今回のページから『今アルザスが面白い』というシリーズで、ひとつの話題風にまとめた内容を掲載したいと思いました。ただ、そうは言っても登場している場所が変わるわけではありませんので、文章内容や写真などの重複掲載は、あらかじめご容赦願います。初回は、今回訪れた世界遺産についてです。
今回の旅行で世界遺産と言えば、ユネスコに1988年登録された『ストラスブール旧市街』(Strasbourg-Grande ile)を見ました。まず、私は、恥ずかしながら最初からこの名称『Strasbourg-Grande ile』のGrande ile(グランディール)について、大きな間違いをしていました。
Grande ileの「ile」とは、この地を流れているライン川の支流であるイル川のことと思っていました。つまり直訳すれば「大きいイル川」かなあと。ところがストラスブール観光案内サイトの英語版を見ると、「Great Island」(大きい島)と紹介してあり、何だ(二つのイル川の間にある)「島(中洲)」のことかと思いました。
地名には、そこそれぞれに表現や歴史があり、私のような先入観で考えるのは、間違いの元だなあと改めて思いました。『旧市街』との日本語表記は、説明文のようなものなのでしょうか。また、ここは、日本の世界遺産である姫路城などと違って、街全体(旧市街)』が登録されています。登録内容の基準は、『文化遺産』です。
そのような状況から、『世界遺産のストラスブール旧市街』といえば、この市街地全体を書かないといけないのかもしれませんが、それでは私のような素人ではまとめてとらえきれないので、見学した特徴ある建物などを中心に触れたいと思います。
他にも当然もっと素晴らしい建物があったかもしれないのですが、見学していないのもありますので、ここに掲載している写真は、その極一部であることをご理解願います。このストラスブールの旧市街地は、元々ローマ時代、ローマ軍の駐屯地が、ここに置かれたことが発端といわれています。
その後、特に、中世以降ストラスブールの名前の通り「街道の街(道の町)」として、ヨーロッパの十字路、交易都市として栄えてきました。この地域は、長年の独仏間での争いで、しょっちゅう領有権が変わりました。また、精神的に影響力のある宗教面でも、16世紀の宗教改革でアルザス地方の中心的役割を果たし、その結果、カトリック系、プロテスタント系の教会が同じ地域で混在しています。
以上のようなことから、木組みの家などの外面上のことから、文化・芸術・言語、さらには宗教に至る内面上のことまで、他のフランスの地域ない独特の雰囲気があると言われています。実際、私も3カ国、4カ国語話せる方、顔の風貌も違う方を見ました。
あくまでも私のまわりの例ですが、同じ日本人、日本語、宗教もほぼ同じ、建物も生活様式も似たようなものに慣れている私から見れば、このアルザス地方の多様性が改めて再認識するとともに仲良く共存していくバランス感覚もあるのだろうなあと想像しました。そのような地にある世界遺産『ストラスブール旧市街』の建物も多様性がありました。
(掲載日:2004年8月17日)