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湯本温泉について

 うとうとしていましたら、湯本駅が近ずいて来ました。ここで降りるか、今日の宿泊地の平駅まで行ってしまおうか、迷いました。平駅から引き返すのはじゃまくさいし、自称「温泉大好き人間」として、また、長崎出身にとっては珍しい茨城県の湯本温泉を通過するのはまかりならんと。

 色々適当に自問自答して、まだ、日没には間があるし、「え〜イ、なんとかなるさ」と思い、結局、大勢の人とぞろぞろホームに向かいました。待合室にはこれまた年配の女性含めて賑やかでした。夕方のラッシュにしては何か変だなと思いながら駅の案内所に行きました。

 駅員さんに「ここで温泉風呂に入れてくれる旅館はありませんでしょうか?」とたずたところ、「平日はたまにやっている所もあるが、今日は日曜日でしかも祭りをやってて、混雑しているからないよ」との返事がありました。がっくりして、待合室にもどるとさらに人が増えた感じでした。

 ぼうっと平駅に行く普通電車の時間や明日の『スーパーひたち』の番号等見ていたら、まだ、時間が相当ありました。それでぐるっと出口に出て何の気なしに先ほどの案内所の反対側に「旅館案内所」と言う看板がありました。

 だめで元々と思い足早に行って、同じことをたずねると親切そうなおじさんが「旅館はだめかもしれないが、温泉の銭湯があるけどね。行くなら地図をあげるよ」と言ってくれました。なかばあきらめていたので「温泉に入れるのでしたらどこでもいいです。地図ありがとう」と言って直ぐ出ました。大きな湯本温泉歓迎柱を見ながら、駅前通りを右にカーブしました。

 しばらく行くとあまり大きくない旅館が点在し、温泉独特の臭いがなければ見落としそうなところに銭湯がありました。靴置き場までもうもうと湯煙がくるような感じで、ちょっとぶっきらぼうな番台の親父さんに「あのう、おいくらでしょうか?タオルは貸してもらえないでしょうか」とたずねると、「70円、それ使って」と全く無駄のない返事がかえってきました。

 良く考えるとコートを着てアタッシュケースタイプの旅行鞄を持っているのは私だけ、あとは町の人ばかりのようですから、警戒されるのは当たり前でした。中は脱衣場も壁も古くボロボロでしたが、温泉自体は少し白色で湯船にも数人くらいでゆっくりつかれました。

 何回か出入りするうちに完全に温まってきましたし、時間も気になりましたので上がることにしました。脱衣場の壁に湯本温泉の温度や効能が分析してある掲示物がありました。いつも各地の温泉旅館に行ったらこれと同じような分析表を写真で撮って来てましたから撮ろうかなと考えました。変色している紙だし、シャッターを押せばストロボが光り、まわりの人が驚くだろうし、怪訝そうにみている番台の親父さんの目も気になり、残念ながら止めることにしました。あ〜あ。

 それでもあきらめていた温泉にも入れてしかも非常にやすかったので帰り際に「ありがとう」と行って出ました。ぽかぽかした体に日没寸前の空気は心地良いものです。まだ、温泉神社など見たかったのですが、電車の時間も迫っていましたので駅に向かいました。

 来た時に見た駅前通りにある大きな「歓迎、湯本温泉」と言うネオンサインが、今度は「うん、そうだそうだ。その通り」と思いました。駅のホームに湯煙の立つ手洗い場みたいな所がありました。一番上から温泉が湧き出ていました。その上には『磐城湯本温泉記』と言ういわれ書き掲げられていました。

 その中には「あかずして別るる人の住む里はさはこのみゆる山のあなたか」の和歌とか、「源泉温度・摂氏61度、効能は・・・」とが書かれてありました。先ほど銭湯の壁で撮れなかった温泉分析表がここにあったので早速カメラを構えました。

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