平駅に着いたら、もうとっぷりと日がくれていました。ここの駅ビルは駅なのか、それともデパート中に駅があるのかわからないようなビルで、改札口とキヨスクのみが駅らしかったです。案内板に添って左へブラブラしばらく歩くとホテル・東急インがありました。

　チェックインのついでに「魚の美味しい店を知りませんか？」と聞くと地図入りのコピーをもらいました。そこには「ご当地の魚をつかった魚屋の『功（てがら）』と書いてありました。部屋で鞄をあけ、色々とやっているうちに１９時近くになってきましたので出かけることにしました。

　駅通りの近くにその店はあり、狭い階段を２階に上がると夫婦ふたりで切り盛りしている小料理屋さんでした。タイミング良くグループ客が帰るところで、おかげで四畳半ひと間は私だけの座敷になりました。おかみさんへ、「刺身の盛り合わせと何か煮魚を」「あと地酒ありますか？」と頼みますと、「はい、分かりました。地酒は『松の友』で冷酒で飲むと美味しいですよ」と応えられました。

　カウンターには二組のお客さんが舌鼓打ちながら、独特の方言で話しが弾んでおられました。刺身も荒煮もなかなか美味しかったし、地酒もあっさりと咽喉越しが良く、ついついお替わりしました。

　また、座敷を独り占めしているのでいつもよりはゆったり食べられ、「おかみさん、今日は贅沢に食べているみたいです」と言いますと、「どうぞ、ごゆっくり」との返事がありました。すっかりご当地の魚と地酒を堪能したので、帰り際に「うまかったです。おごちそうさん」と少し大きな声になりました。