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聞いた言葉・第33回目、結婚祝い金は定期預金

結婚祝い金は定期預金

 私の大阪空港時代の同僚で、20代前半で結婚した者がいました。その前に、その結婚式に出席予定のある大先輩と話したことがありました。「上野君はいいなあ。人にいくら結婚祝い金をあげても、定期預金みたいなものだから」、「えっ、それなんですか?」、「いやー、結婚していない者には、いずれ自分が結婚式をあげる時に、利子でも付いて後で戻ってくると言うことだよ。妻帯者の私なんか、吐き出すだけだ。(笑い)」と。

 それ以降、私も100組はいかないまでも、かなりの数の結婚式や二次会に出席する時に幾度となく、この先輩の言葉と笑いを思い出していました。

 また、当時(25年ほど前)の銀行利子は、今のゼロ金利時代に比べ、それはそれは価値あるもので、安月給ながら貯金してみようかなと思うものでした。(実際は、なかなか20歳前半は貯金できませんでしたが)

 長年貯めたはずの(先の先輩曰くの)”結婚祝い金の定期預金?”は、自分の結婚式もなかったので、結局、元本も利子も戻って来ることはありませんでした。

 でも、25年ほど前から少しづつ貯めた、貯金や財形貯蓄などで、何とか長年の夢だったログハウスは建てることは出来ました。併せて、当時の金利のありがたみをひしとその時感じたものです。

 これからの話しはかなり脱線しますが、私は、経済ど素人ながら、現在の事実上ゼロ金利政策には、おおいなる怒りにも似た疑問を持っています。人によって生活度合いが違うので一概に言えませんが、私のような庶民でも細々と将来不安に備えて少しでも貯めた貯金は、なぜ5%か7%くらいでも良いから金利が付かないのでしょうか。

 それに今の金融・金利政策は、景気対策上からも間違っていると私は思います。至極単純な発想ながら、庶民からお金を集めた銀行などは、そのお金を貸すことによって、それなりにもうけを上げ、中には黒字経営もあるはずです。それに対し、庶民は自分のお金を日曜日に降ろすだけでも、その手数料分で、もう金利は吹っ飛んでしまうのが実情だろうと思います。

 それだけでなく、今度は何かの理由で庶民がお金を借りる時は、現在なかなか銀行は貸してくれません。逆に、高利や暴利をむさぼる金融業者には、色々な状況を分りながら、バンバンお金を貸していると言われています。こんな状態は、誰が考えてもやっぱりおかしいと思います。

 ゼロ金利、ベースアップゼロもしくは年収切り下げ、医療制度や年金改悪、失業者の増大など、このような現状を続けていけば、ますます、消費意欲は減退し、さらに景気悪化が続くのは長年経験していることです。もしも金利がそれなりにあれば、何か商品を買ったり、旅行してみようかなと思うのが庶民感覚だろうと思うのです。

 何にもなしで、果たして大いに消費に回そうかと、庶民は思うでしょうか。日々の食料費や生活費で精一杯だろうと思います。こんな金融や経済政策で、景気が良くなるはずがありません。このような間違った金融・金利政策を後生大事に振りかざしている人たちに限って、天下国家を論じている割には国全体も将来も見えていないのではと思えるのです。

 私は、この「聞いた言葉シリーズ」の『経済=経国済民』のページにも書きましたが、昔も今も日本経済を支えているのは消費購買力の主役である一般消費者とその方々が沢山働いている中小企業だと思います。いくら、一部の銀行や大企業を優遇しても、お金はまわらず、景気は良くはならないのではないでしょうか。

 一刻でも早く今の金融・金利政策を変えて、庶民や中小企業にもお金のまわるようなやり方こそが、先行きの明るさを見出す元になることだと、私なりに思っています。

 以前の金利を知らずに、今のゼロ金利が当たり前と思っておられる世代も増えてきつつある中で、あえて私は景気対策上からも、せめて5%か7%くらいの金利は必要ではと、言いたいです。(記:2003年8月1日)

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