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聞いた言葉・第105回目、『三つの坂とは上り坂、下り坂、そして まさか』

三つの坂とは上り坂、下り坂、そして まさか

 今回のこの言葉、ずっと以前から何回となく私は聞いてきました。私の20歳半ば頃だったでしょうか、友人の結婚式の時に最初聞いたような気がします。 主賓の挨拶の中で(概要)「新郎新婦、これから二人でいつも三つの袋を大切にしながら長い人生の三つの坂に注意していけばいいのではないでしょうか」、 「三つの袋とは、胃袋(健康管理)、堪忍袋(お互いに我慢して相手を思いやる心)、そしてお袋(親孝行)です。 三つの坂とは上り坂、下り坂、そして まさかです。特に、誰でも上り坂や調子のいい時には、 これはずっと続く、さらにもっと良くなると思うものです。でも、その時にこそ、ひたひたと既に下り坂とまさかが忍び寄ってきているのです」と話されました。

 
この時、列席者の中で「さすがやなあ。分かりやすくてためになるわ」と言う会話が続きました。食い意地の張っている私にとっては 美味しい食べ物を前にしてもう一つのいい評価として「短い話で良かったなあ」とも感じていました。

 やや話し脱線しますが、結婚式や公式の行事でもなくても毎年あるいは多ければ毎月でも何らかの挨拶を聞く機会があると思います。私の場合、どんな偉い方で、どんな立派な話をされても全部どころか大抵は数項目しか覚えきれません。まあ、内容によっては最初から全然耳に残っていないのもありますが。

 いずれにしても、ずっと覚えているような言葉は、TPOをわきまえて短時間にさらりと言われた挨拶が印象に残るなあと思っています。だから、今回の主賓挨拶としては短い時間にまとまった話しだったからこそ、今でも、 ふっと何かの時に思い出す言葉になったのかもしれません。

 この言葉について、先の話をさらに私が解釈や注釈を付けることはないと思います。人生の達人の皆様から「三つの袋」とか「三つの坂」とかのお話を 聞かして頂いても、それらを実践するとなると、それは私ようのなナマケ者では、不可能に近い言葉でもあります。

 ことば上の補足はないのですが、 この話を聞いた後、私は「上り坂」はなかったような気がしますが、「まさか」の部分は色々と私なりに経験しました。 例えば、もう少し長生きのはずの家族の病気による死亡、健康そのものだった自分自身の入院、あるいは1995年の阪神淡路大震災などです。

 それこそ 当時準備どころか何も考えておらず、その場面は突然やってきました。今思うと全て初めてのことばかりで色々ありましたが、なんとかやってこれたなあとの感慨はあります。 人は生きていたら誰でも本人が好む好まざるとに関わらず、何回かはこの「まさか」も、あるいは「下り坂」もあるのではないでしょうか。

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とかくに人の世は住みにくい
たゆたえども沈まず

 人はどのような達観した方でも、来月あるいは来週さらには明日でも全部がぜんぶ見通すことはなかなか不可能だと思います。また、本人がいくら頭の中で一応考えていても、あるいは他の方々から様々なご指摘を受けたとしても、その本人になんらかの自覚を持っていないと、やはり「まさか」や「下り坂」の全部を回避する方策は見当たらないような気もします。

 ただ、上り坂や調子のいいと思われる時にこそ冷静に別の側面を考えておられる方が、後先で悪い場面に遭遇しても色んな対応策や幅広い回避策を持っておられるのではないでしょうか。

(記:2008年7月20日)

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