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聞いた言葉・第104回目、『資本主義の暴走、資本主義の暴力』

 

資本主義の暴走、資本主義の暴力

  今回のこの言葉は、近年急に使われている言葉ではなく、記憶定かではありませんが高度経済成長期頃でも雑誌などで見ましたので、それ以前から使用されている用語だと思われます。ただし、本の名前とか論文の見出しなどではなく説明文みたいな形で、使い方も例えば「・・・の現象は、ルールなき資本主義の暴走とも言える・・・」とか 「・・・・国の他国の経済に及ぼすやり方は、まるで資本主義の暴力的な現れではないか・・・
」みたいな使われ方をしていた思います。

  そのような以前から使われていていた言葉が、なぜ近年また色々な方が多くの場所で論じたり、あるいは文章で書いておられるのか、なぜ経済不案内な私でも 身近な言葉として感じられるのか、それが当時の状況と全然違うと思います。
あと、経済体制について例えば資本主義や社会主義を述べるには、 どれをとっても最低一冊の本が必要なくらい大きなテーマだと思います。ですから、ここで詳細なことは書けませんし、私自身にその力量もありませんので、 あくまでも言葉や用語の問題として書いているだけですので、その点はあらかじめ、ご了承願います。

 
また、何か問題を述べる前に必ず現在にたどりつくまでに何事も歴史があると思われます。世界の経済状況ついては、それこそ星の数ほど沢山の事例が関係あると考えられますが、特に大きな出来事の一つとして、1991年のソ連邦の崩壊あるいはその前後の東欧諸国の政変などではないでしょうか。

 この当時、日本の経済学者や政治家などは「これは資本主義の勝利だ。資本主義は究極の経済体制だ」(資本主義万歳論)などがありましたし、逆に全く別の側面から 「ソ連、東欧諸国の政変は、あれは国民を無視した”偽の社会主義”が崩壊しただけだ」と言う論評もありました。あれから20年近くたち、当時そのようなことを 「自信」持って言っていた人たちの話を今日の状況からして改めて聞いてみたいような気もします。

 話しは現在に戻りますが、今回のこれらの言葉が、なぜ身近に感じられるのか。それは先に書きました(間違った認識だったとはいえ)「勝利したはずの資本主義」、その資本主義の「儲けのためなら何やってもかまわない」みたいなやり方の、 結果としての世界的な例が「どこか小さな国の予算規模みたいな金額が瞬時に動く投機マネー」、「(南北格差とも言われている)貧困問題」、「食糧危機」、「食料を巡る暴動、虐殺、難民」、 「地球規模の温暖化と環境破壊」など事例を上げたらきりがありませんが、これらが石油などの燃料、食料品などの諸物価の値上げとつながり、 日々私たちの家計を直撃しているからだと思います。

 諸物価の値上げだけではなく、国内では失業者、中小企業の倒産さらには「年金不安」、「医療制度の不安」、「過労死」、「格差社会」、「不安定雇用者の増大」、 「ワーキングプア」、「ネットカフェ難民」、「年間自殺者3万人」とかの言葉で象徴されている状況もあります。

 これらの原因は何か一つが要因と言う単純なものではないと思われます。しかし、問題を加速度的に深刻化したのは、”規制緩和”と言うアメリカ型の経済政策で 一部の大企業の大儲けを除けば、多くの国民には痛み、格差や貧困の押し付けでしかなかったと言うことではないでしょうか。

 結局のところ国民をあざむき国民がどんな苦しんでいても「大企業奉仕とアメリカ追従型経済政策」が優先だと言う今の政治そのものから来ているような気がします。 ただ、今回の資本主義の暴走、暴力は、かつて”資本主義万歳論”や今の経済政策を執りおこなっている人たちの予想をはるかに超えて、例えば原油市場への巨大投機マネーによる価格急上昇などが起こっていることも事実でしょう。

 例えが適切でないかもしれませんが、これらの現象はまるで製作者が自分のために最初作った(儲けのためなら何やってもかまわない、自由に動き回る)”ロボット”か”サイボーグ人間”が、ある時から人の意思や手を離れ、それこそ世界中を暴れまわり制御不能に陥っている、あるいは逆に製作者にまでも襲いかかっている様に似ています。つまり、これらのことは現時点では何とかうまく立ち回っているかに見える側の人たちでも、巡りめぐって自らも危機に瀕する状況もありうることを内包しています。

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  じゃあ何か解決策はないのかと言うことに必ずなると思いますが、素人目に見ても直ぐに特効薬みたいなものがある訳ではないと思います。でも 急がば回れで、今の日本の政治や経済政策をアメリカの「儲けのためなら何やってもかまわない」式あるいはカジノみたいな資金運用や投機マネー方式には一線を画し、 せめてもう少しはルールがあるようなEU(欧州連合)式にしていかなれば事態は、より一層どんな立場の人でも危機に見舞われていくような気がします。

 私は、この「聞いた言葉」シリーズで同じこと繰り返し書いていますが、明日の天気を変えるほどの力は人間はまだ持っていないと思います。しかし、人間が作りだした色々な危機や制度は時間かかっても変えられる力はあると思いますし、特に国民の対極にあるような政治や巨大投機マネーなどを根本から変化させる、あるいは制御できる英知は日本国民も世界の人々もあると思います。

(記:2008年7月10日)

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