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聞いた言葉・第159回目、『 褒(ほ)めつつ批判する』

 

(ほ)めつつ批判する

 今回の言葉(手法)は、欧米で良く用いられていると何回か聞いたことがありました。 例えば、何か国際問題あるいは仕事上の会社間などで、いきなり相手に最初から批判や問題指摘するのではなく、(極簡単に書けば) 「あなたの国(会社)には、・・・については良いことをしておられる・・・」「しかし、・・・については問題があるのではないかと思うので改善して欲しい」 みたいな話し方や書き方の手法です。

  どのような国際会議でも、また身近な商売上の(商品上、契約上の)ことでも、いきなり冒頭から非難、指摘されるようなことを言われたり、書かれたら、 たとえ自分に落ち度があったとしても、言ったその人に対しては印象が悪くなるのではないでしょうか。

 また、その一時はなんとかなっても、その後の付き合いにも影響が出て来て、結果的には悪くなる場合もあるかもしれません。それよりも、相手側のいいところも少しでも見つけて、そのことは先に述べて(褒めて)、それから改善のための指摘や批判などを言う方が、かなり相手の印象も違ってくると言うことです。また、相手からは「この人は批判もするけど、私達のことも良く見て勉強してから言っているのだなあ」との評価も受けているかもしれません。

 このような手法と関連して、外国の報道機関でも事件とか事故ではなく、何か時間をかけて取り組んでいくようなテーマでも用いておられるようです。仮に、環境問題や原発問題でもいいですが、 どこかの国から新たな見解が出された場合、けっこう今回の「褒めつつ批判する」みたいな手法があるようです。

 そのため、 日本の報道機関は、意図的か否かは別としても、前半部か後半部か、どちらか片方を大きく取り上げる傾向もあるようです。その結果、全く同じ(諸外国からの)報道記事なのに、日本語訳する段階で、主に二つの見解に分かれる場合もあります。 その一つが、前半部分で『褒められている』部分だけを拡大解釈し、「・・・国の政府は、日本政府の見解を評価して賛同している」となったり、それとは逆に後半の『批判されている』部分のみを取り上げて「・・・国の政府は、日本政府の見解に対し反対している」と言うような内容です。

 たまに、同じ見解文書からの日本語訳なのにA社とB社の報道内容は、正反対に近い内容も見受けられる場合もあるようです。ずっと以前ならば、私のような英語が出来ない者にとって報道それ自体を信じるしかなかったのですが、インターネットのおかげで英語版そのものの全体訳をして下さっている個人のホームページもありますので、それと対比が出来るようになりました。そして、「このA社は自社にとって都合の良い部分だけを切り取って報道しているなあ」と、分かる場合もあります。

私の関係ホームページ
 反対意見にも真理あり
 逃げ道を作ってあげる
 真実を自分で探す時代
 とかくに人の世は住みにくい
 常に自制心と謙虚さを持って

 願わくば「褒めつつ批判する」の手法で書いてある見解は、自社にとって都合の良いところだけでなく、英語のできる方ならば全体通して見れば”賛同”または”苦言”や”反対”意見、さらには本題の主張などは分かるはずですから、国民には正しく伝えて欲しいです。そうでなければ、偏った使い方だと非難されても仕方ないこととも言えます。

 あと、なぜ今回のテーマを書いたかと言いますと、後悔先に立たずではあるのですが、自らの経験上からも「今思えば、あの時あの場面では、もっと違った言い方も、あったのになあ」と反省点も多くあるからです。誰だって最初からケンカ売るような言い方はされていないと思いますが、「褒めつつ批判する」手法の意味は、色々な場面においても人のもつ寛容さと、将来にわたるお付き合いのためと言う奥深い配慮もあるのかもしれません。


(記:2012年12月17日)

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