雰囲気選挙より政策の判断を
今回のこの言葉は、かなり以前から全く同一の表現ではなかったかもしれませんが、何十回となく多くの方から語られています。また、これらの言葉の後に続く話として「国民のためにならない政党や政治家を選んでしまった有権者(国民)にも、その責任の一端はある」などです。つまり、選挙後、起こる様々な国民の願いと逆行、遊離した政治について、単に議員の問題だけをとやかく言うだけで済む時代ではないと問いかけておられるのでしょう。
ここで、大変大雑把で、しかも極簡単過ぎるかもしれませんが、戦後以降の経済や政治状況を振り返ってみたいと思います。日本は戦後しばらくして、ことの良否の判断は別としても経済成長があり、 その後ここ数十年間は、長引く不況の連続だったと言えます。政治状況については、60年以上、自民党を中心にした政策でした。この間のことを簡単表現で良く用いられるのが、 「外交(防衛含む)はアメリカの言いなり、内政は大企業のいいなり」との言葉です。
つまり、狭い範囲内や部分的な政策は別としても、大枠で見れば国民の願いとは対極にあり、分かりやすい言葉でいえば国民をだまし続け、 アメリカと大企業奉仕の政治を続けていたと言うことでしょう。その結果、長年言われた”経済大国”の反映は、どこ吹く風のごとく書いたらキリがないないくらい国民や中小企業などを苦しめている政治が続いています。
そのような現状を少しでも変えたいとの思いから、自民党及びその関係与党に対し国民の怒りが長年ありましたが、特に2009年8月の総選挙では、沸騰しました。そして、内容の是非は別としても、とにもかくにも民主党へ政権交代しました。それらの投票行動した人の中には、最初から<自民党から民主党になっても「カレーライスとライスカレーの違い」>しかないと予想しながら1票を投じた人達も多かったことでしょう。
しかし、その結果は、(既に掲載中の)「政権交代の期待と裏切り」でした。 このリンク先ページに政権の評価として、私は次の<>内のことも書きました。<国民は、良い政策を「明日実行しないと、全部ダメな政権政党」と言う烙印は簡単に押さないとも思います。むしろ、「これは国民のために、しません、やりません」、「前政権が改悪した制度は出来るだけ早く改善します」と言っていたことを、 なるべく早く実行に移すとか、または、これ以上悪くならないために歯止めするとかを見て評価すると思います>
しかし、皆様ご存じの通り、その後も選挙公約、マニフェストで 「やらない」と言っていた「消費税増税」法案まで通しました。 また、原発問題、TPP問題、沖縄の基地問題、震災復興の件など、国の進路や国民生活に直結する重要問題も似たような流れとなっています。これらのことはどれをとっても2009年の総選挙時に多くの方が、「これ以上、今の政治に騙されない」とのかすかな期待さえも完全に裏切るものでした。何故こうなるのでしょうか。
国民にとって、現役世代も引退世代も今社会にある様々な不安や問題、特に政治に起因する諸問題の根本原因は、結局のところ突き詰めて考えれば日本に主権も選挙権もないアメリカや大企業奉仕の政治に行き着いていきます。
この政治の大枠を変えないで、その都度ちょっと政党名を変えたり、有名人あるいはマスコミも総動員して、いかにも目新しいような雰囲気選挙を作り出してのやり方も歴史上何回となく繰り返されたと思います。
しかし、このような方法では、現在の問題山積している状況には、なんら対応できず、諸矛盾の激化が一層避けられない状況まできています。さらに、それは国民の生活に重くのしかかるだけでなく、日本の国としても取り返しのつかない状況になっていくような、そんな重大矛盾を抱えています。
今度(2012年12月)の総選挙前、国民の意識は、「民主党には裏切られた。かと言って今さら何十年間も国民を騙し続け、国民に苦労を押しつけた自民党などには戻れない」との思いが背景にあるとも言われています。そのことを充分熟知の上、まるで日替わり政党のごとく「第3局政党」が現れています。そして、またぞろマスコミは、連日連夜、毎時間のごとく、それらがあたかも重要ニュースのごとく報道されています。
しかし、これらと似た雰囲気報道は、古くは新自由クラブと言う政党の設立時( 1976年)や、その後の選挙では一種のブームみたいになりました。また、近年では自民党の大勝になった通称”郵政選挙”(2005年9月)時におけるマスコミ総動員報道も似たやり方でした。先に何回も書きましたが、これらは、その時その都度目先を変えただけの雰囲気選挙でしかなく、問題発生の根本原因を変えない政党や議席を維持するだけしかなっていないということです。
結局、このようなやり方を何十年間、何十回繰り返しても、何ら問題解決になっていないことを長年の歴史が物語っています。逆に、ますます一層深刻化しているのが現状だと言えます。また、今度も同じような雰囲気選挙になってしまって、それに影響されて投票されるのか、はたまた自分で各政党の政策を判断されるのか、本当に重要と思われます。
ただし、いくら政策を見て投票しても「消費増税はしません」と言っていた党が、増税法案に賛成・推進する政党にもなりますので国民は、なかなか判断しにくい、つまり「この政党は国民を騙すのに平気な政党か、どうか」まで見極めなければならないところまで来ていると言えます。
選挙後も公約を守るかどうかの見極めは、結局のところ、その政党の寄って立つ所の基盤、特に財政をどこから得ているかが、最重要と言えます。選挙の時だけ投票権のある人(国民)に向かって良いことばかり言いながら、日常不断に政治献金やパーティー券購入を我先に選挙権もない企業・団体にしてもらっている政党が果たして誠実に国民のための政治をするでしょうか。それらスポンサーの意向が最優先でしょう。
さらに、東日本大震災復興について何回も口先では立派なことを言いながら、財源問題なども含め復興が遅れている状況にも関わらず、自分たちへの政党助成金だけは、ちゃっかりもらっている政党が多いです。せめて自主的に返上する位の気概さえも、これらの政党にはないのでしょう。古来から、「人は言うことよりも、やることを見よ」との言葉もあります。それらの判断は、人だけではなく選挙でも政党の評価でも同じではないでしょうか。
繰り返しになりますが、 「外交(防衛含む)はアメリカの言いなり、内政は大企業のいいなり」の大枠を変えない範囲内で、マスコミなどにより長年繰り返されてきた雰囲気選挙では、何ら根本問題の解決にはならないことを長年の歴史は物語っています。今度の選挙こそ、そこから脱皮し国民(有権者)各自の眼力と努力によって、国民の役に立つ政党や政策はどこにあるのを判断していく状況になっているのではないでしょうか。