TOP INDEX BACK NEXT

聞いた言葉・第127回目、政権交代の期待と裏切り

政権交代の期待と裏切り

 この言葉に当てはまるのは、2009年8月、総選挙で政権交代したことを主に指していますが、それだけではありません。また、内容的には既に多くの方が言ったり書いたりしていることばかりです。その点は、ご了承の上、ご一読願えないでしょうか。 まず、やや堅い言葉ですが国語辞典の大辞泉で調べると、「政党=共通の政治的主義・主張をもつ者によって組織され、一定の政治的利益や政策の実現のために活動し、政権獲得をめざす集団」と書いてあります。

 政権獲得は、国民の投票によって決まりますから、選挙権を持っている方ならば、その政党の政治的主義・主張(綱領、公約、マニフェストなど)を見たり聞いたりしながら判断されているはずです。 先の総選挙で戦後ずっと(一時期を除き)長年、国民の対極にあり、分かりやすい言葉でいえば国民をだまし続け、アメリカと大企業奉仕の政治を続けていた自民党及びその関係の与党に対し国民の怒りが沸騰しました。 そして、内容の是非は別としても、とにもかくにも民主党に政権交代しました。

 しかし、その選挙前からこの政党の評価として「政党名が変わるだけで中身は自民党と変わらないだろう」と言い続けておられた方々も相当数おられました。私も、その意見には賛同していましたので、「聞いた言葉・第119回目、『カレーライスとライスカレーの違い」で触れてもいます。

  このページを書いたのは総選挙前のことですが、公約、マニフェストや口先ではいいことも言ってはいたと思います。しかし、日本国内おいて選挙権もない、ましてや主権もないアメリカや大企業のために政治が長年おこなわれた結果、国民や中小企業が苦しんでいることを、どう根本的に変えるかと言う見通しは見えなかったと思います。また、この政党は綱領もない政党のようですから、政権獲得後、重要政策がコロコロと変わったのは、ご承知の通りです。最近では総選挙時の公約やマニフェストでさえ変更すると言っているのですから唖然とします。

  国民の中には「政権とって、まだ短期間だから良い政治・政策は直ぐに出来ない」と言われる方がいます。それは一般的な言葉では当たっています。いくら政権を取った政党が、良いことをしたくても財政的に直ぐに出来ないとか、時間的・制度的なことなどがあって長期計画で変えていく場合もあろうかと思いますし、そのことは多くの方が理解しておられると思います。 しかし、国民は、良い政策を「明日実行しないと、全部ダメな政権政党」と言う烙印は簡単に押さないとも思います。

 むしろ、「これは国民のために、しません、やりません」、「前政権が改悪した制度は出来るだけ早く改善します」と言っていたことを、なるべく早く実行に移すとか、または、これ以上悪くならないために歯止めするとかを見て評価すると思います。 しかし、政権交代後も結果、分かりやすい例として普天間問題その他があるのではないでしょうか。それ以外にも野党時代に政党間で合意していた例えば後期高齢者医療制度などの事項も結局は、従来の自民党のやり方を継続しているだけにしか見えません。

  つまり、本来なら主権者・(選挙権のある)国民のためにおこなうべき政治が、結局「外交はアメリカの言いなり、内政は大企業の言いなり」という言葉と同じではないでしょうか。もう、この根本原因を変えない限り、国民や中小企業の苦しさは変わらないばかりか、より一層悪化している状況です。それらを果たして、先の総選挙で国民は望んだのでしょうか。 国民の政権交代の期待は、現状から良くなることも希望はしていたでしょうが、「これ以上悪くしないでくれ」との強い願いの方が先だったと思います。

 しかし、民主党への政権交代があっても、この国民の願いに逆行した政治の根本=アメリカと大企業奉仕の政治は、なんら変わらなかったと言うべきでしょう。この根本の政治変換の物差しで判断すれば、自民党も民主党も「カレーライスとライスカレーの違い」しかなかったと言うことです。 また、このような根本的な日本政治の諸悪を知りながら重要な局面になればマスコミ総動員で国民誤魔化しの手立てとして有名人・芸能人のスキャンダル、相撲問題や刑事事件のリーク報道などを集中的に繰り返すやり方も長年変わらない報道手法と言われています。

 このような政治や報道の仕方は、同じような先進資本主義国であるヨーロッパ各国と対比して根本的に違うと言われてもいます。つまり、日本では政権もマスコミも、こと政治や政治報道については、国民の立場にたっていないということです。 このことは、今の政治や経済政策を続けたいと思っている政党、政治家、マスコミその他は、日本の主権者でもない選挙権もないアメリカと大企業の考えの枠内なら許容範囲内だが、「それ以上は許さない」言う姿勢だと思います。

 しかし、この手法は何回となく述べている通り、諸悪の根源を直さずに逆に国民に犠牲を強いる手法です。このような処方箋が間違ったやり方をいくら国民の目をごまかすやり方でやっても、生活や仕事が良くなる訳ではありませんから、必ず国民との矛盾は大きくなるでしょう。そして、またまた本当の意味での政治転換を望む声につながっていくのは避けられないことです。

 同時に、 アメリカと大企業の許容範囲内しか報道できないマスコミに対する信用も信頼も揺らぎ、その受け皿がインターネットにつながっている現状のような気が私にはします。それは、チュニジアを始めとするアフリカや中東の大きな動きになっていることでも明らかな通りです。果たして、日本はアフリカや中東諸国より、情報が遅れている状況なのでしょうか。国民は何世代にわたっても、このような誤魔化しの手立てに乗せられているのでしょうか。

私の関係ホームページ
 トリクルダウン理論
 カレーライスとライスカレーの違い
 経済=経国済民
 資本主義の暴走、資本主義の暴力
 日本売り

 悪貨は良貨を駆逐する(グレシャムの法則)

 真実を自分で探す時代

 政権交代の期待と裏切りは、裏切られた後が国民にきつく、同時に今後国民の反発・矛盾も大きくなっていくことは、自明の理 とも言えます。いつまでもいつまでも、選挙権もない影の支配者(偽りの主権者)のアメリカと大企業の許容範囲内の政治から派生している諸問題を根本から変えずして、その枠内しかできない政党や報道内容は、退場願う時代にきているような気がします。

 また、選ぶ国民の側も、今の政治の枠内で何でも処理し目先だけで変わったように国民に見せかけ、選挙で、また議席を得たいと思っている勢力を良く見定める努力も求められているような気がします。もう、その時の作り上げられたような雰囲気や情緒的な見方で、政党を選ぶ投票行動も問われているとも言えます。

(記:2011年2月6日)
  

TOP INDEX BACK NEXT