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聞いた言葉・第142回目、言葉遊び国会、劣化政治

言葉遊び国会、劣化政治

 これらの言葉は、ここ数十年間で数えきれないくらい聞きました。さらに、近年になり毎週毎日のように見聞きします。まず、色々と書く前に、今回の言葉の中にある政治や国会と言う用語を国語辞典の大辞泉で改めて調べてみますと、次の「」内などが書いてあります。 「政治=1 主権者が、領土・人民を治めること。まつりごと。2 ある社会の対立や利害を調整して 社会全体を統合するとともに、社会の意思決定を行い、これを実現する作用」、「国会= 日本国憲法の定める国の議会。国権の最高機関で、国の唯一の立法機関。衆議院と参議院の 両議院で構成され、主権者である全国民を代表する議員で組織される」

  このような用語解説の意味からしても、日本の政治や国会は、本来ならば主権者や選挙権のある国民のためにおこなわなければならないのが、初歩の、基本中の基本でしょう。しかし、 何故、戦後70年近くなっても現実は、そうならないのでしょうか。逆に、悪くなる一方で 「失業者・不安定雇用者の増大」、「中小企業の倒産」、「年金・老後の不安」、 「医療制度の不安」、「過労死」、「格差社会」、「年間自殺者3万人」などの言葉で 象徴されているような状況です。

 また、日本の農業だけではなく、 医療、労働、その他、生活や国民が直接関わる多くの分野で不安視されているTPP問題もあります。さらには過去長年に渡る(国民へのだましと金の力によって作られた) 「安全神話」による原発建設推進、その後の福島原発事故によっての放射能被害による惨状など、例を挙げたらキリがないほど重く深く長く国民にのしかかっています。あと、沖縄の普天間始め米軍基地問題も一向に解決する糸口さえ見出せない状況です。

 上記のどの問題とっても、可能ならば早急かつ根本的な解決・改善が求められている事項ばかりです。しかし、仮に2009年夏の政権交代以降と限定しても、国会や政治状況は、言葉遊び国会、劣化政治ばかりと国民の目には写ります。なぜ、重大な問題が山積しているのに、こんな言葉が氾濫して、まともな政策実行が先に進まないのでしょうか。これらの件についても多くの人から様々な原因が既に述べられています。まとめてみると、次のことのようです。

1,小選挙制度そのものから派生している。大政党や有名人(世襲含む)議員に有利な選挙制度のため、国民が(下記事項など)あまり所属政党や議員そのものの実態を知らされないまま投票してしまう。

2,現在の与党(民主党など)も、野党(以前は与党でもあった自民党など)も基本政策に違いがなく、それは「外交・安保はアメリカの言いなり、内政は大企業の言いなり」という言葉が端的に示している。日本国内に主権もなければ選挙権もないアメリカや大企業奉仕の政治そのものは変わりなかったと言うことでしょう。つまり、両党間の政策の違いは、「カレーライスとライスカレーの違い」でしかなく、その論議の大要は、「根本改善の政策を競い合う討論ではなく、小手先のことばかり、あるいは揚げ足取りの言い合いにしか見えないのではないでしょうか。

3,重要問題を根本から改善するのではなく大枠は変えないで、国民向けには(そのままでは評判が悪いので)目先だけは変わったごとくの討論に終始し、結局は問題を先送りしている。

4,マスコミも大本の政治を変える流れを報道するのではなく、大臣や有名政治家の言葉尻や言質ばかりを毎日のように取り上げ繰り返すため、真面目な政策論議をしている政治家の姿が国民になかなか見えてこない。

5,今までの基本政策は変わらないのに、あたかも違った動きのように新党設立や同じ党内での分裂騒ぎなどを必要以上に大きく取り上げるため、何か国民へは目新しいことをするような幻想を振りまく報道となっている。そのようなことから選挙では現行制度の補完勢力にしかなっていない新党などが目立ってしまって、そちらの方へ投票を繰り返した歴史がある。(結局、一時の新党騒ぎは多くの場合、何十年も経ずして無くなっていくのが戦後の歴史だった。(聞いた言葉シリーズ第124回目「金の切れ目が縁の切れ目」ページを参照)

  私は、過去も現在も色々と政党や立場の差はあっても与党でも野党でも真面目に国民のための政策を実現しようとしている人もいらっしゃると思います。しかし、そのような議員さんの真剣な議論や政策は面白、可笑しくないのか大抵の場合、言葉遊び国会、劣化政治につながるような報道ばかりが目立っています。中には、そうでない真面目な報道もあることも確かですが、それにしてもまるでお笑い番組みたいに政治が語られる場合も多いです。

 言葉遊び国会、劣化政治が続くような状況は、一時は面白・可笑しくても結局は、国民にとってもひいては国全体にとってもいいことではないと思います。先に挙げた諸問題は、もう全てにわたって袋小路状態ですから小手先の、目先の変わったみたいな国民騙しの政策では解決しえない問題ばかりだと思われます。

私の関係ホームページ
 政権交代の期待と裏切り
 カレーライスとライスカレーの違い
 首相辞任のキーワード=国民との矛盾 
 策士策に溺れる
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 経済=経国済民
 トリクルダウン理論
 全ての人をいつまでもだまし続けることは出来ない
 人は言うことよりも、やることを見よ
 資本主義の暴走、資本主義の暴力
 日本売り
 悪貨は良貨を駆逐する(グレシャムの法則)

 真実を自分で探す時代

 悪貨は良貨を駆逐する (グレシャムの法則)

 議員を選ぶ側の国民の目にも、いくら政権交代しても基本政策で同じ政党なら結果は悪くなること(聞いた言葉シリーズ第127回目「政権交代の期待と裏切り」を参照)や新党騒ぎがあっても結局は根本政治を変えない実態、後でその政党そのものがなくなってきたことも長年の歴史で、しっかり見てきたのではないでしょうか。

 昔の方は、「人は言うことよりも、やること見よ」と教えておられます。それは、政治、議員や政党そのものにも当てはまることではないでしょうか。国民の側から「ひたいに汗して真面目に働く人が報われる政策や社会を!」と求める以上、政党や議員の方々へも「面白・可笑しく報道するところよりも真面目に奮闘しているところを見たい」と選挙権行使する側も求めていかない限り、なかなか変わらないような気がします。

  言葉遊び国会、劣化政治がなくなり、与野党問わず国民のために地道に奮闘しておられる姿が、日々見えるような状況になれば、大きな諸問題山積の状況下であっても、かすかな将来展望もあるのではないでしょうか。そんな国会、政治、報道を多くの方が望んでおられると思っています。

(記:2012年4月23日)
  

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