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聞いた言葉・第160回目、『永遠より続くように

 

永遠より続くように

 今回の言葉は、作詞・作曲・歌唱が岡田寿也さんによる楽曲=「永遠より続くように」からです。冒頭から曲紹介が長くなりますが、 ご了承願います。なお、下記情報のほとんどをフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』などのホームページから参照して書いています。 岡田さんは、愛称で「オカッピー」とも呼ばれている方で、お仕事はフジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』の小道具担当さんです。

 この曲は、今から14年ほど前の1998年にリリースされたようです。その曲が、なぜ今年(2012年)注目されているかと言いますと 2012年12月1日にテレビ放送された影響もあるでしょう。それとほぼ同時に2012年12月5日、キングレコードから発売された「永遠プレッシャー」(AKB48の29枚目シングル)のカップリング(Type-D)の中に、お笑いコンビ、ナインティナインの岡村隆史さんとAKB48のメンバーで構成されたOKL48の曲の一つとして永遠より続くようにが入っている反響が大きいと言えます。

 なお、AKB48のシングルに秋元康さん以外が作詞した楽曲が収録されるのはこれが始めてのようです。秋元氏は(一々説明するまでもないくらい有名な方ですが、美空ひばりさんの 「川の流れのように」を初めAKB48全楽曲の作詞者)、その700曲くらい作詞された方が、他の方の作詞を自らプロデュースするシングル盤に採り入れられたのですから、器の大きい方なんだろうなあとも思いました。

 永遠より続くようにの曲調は、OKL48の方が岡田さん本人歌唱よりも、アップテンポに仕上がっています。 元歌が馴染むか、アップテンポ調が好きかは、聴く人によって違うと思いますが、私はどちらもいいと思っています。私が、最初ご本人の歌に注目したのは、やや独特な高音の歌い方と、軽いテンポで流れるメロディーラインでした。そして何回か聴く内に、「この歌詞は傾聴に値する内容だなあ」と思うようになってきました。(歌詞全文は検索サイトに「永遠より続くように、歌詞」と入力されれば、いくつか表示されますので、ご覧下さい)

 歌詞全体が大変いいのですが、特に、サビ部分みたいなところで「・・ありふれた毎日が今の僕の宝物さ 穏やかに流れてゆく日々が幸せの全てだよ ずっとずっとこのままが 永遠より続くように・・」と言う一節に目を見張りました。この歌詞全体は、聴き様によっては、 人生観や世界観などを考える難しい哲学(注)表現を素人の私のような者にも分かりやすく解説して下さっているようにも思えます。

 <(注):哲学=、世界・人生などの根本原理を追求する学問。古代ギリシャでは学問一般として自然を含む多くの対象を包括していたが、のち諸学が分化・独立することによって、その対象領域が限定されていった。しかし、知識の体系としての諸学の根底をなすという性格は常に失われない。認識論・論理学・存在論・倫理学・美学などの領域を含む。 各人の経験に基づく人生観や世界観。また、物事を統一的に把握する理念。「仕事に対しての哲学をもつ」「人生哲学」 (国語辞典の大辞泉より) >

 また、私は、この詞を見てメーテリンクの童話 青い鳥と、カール・ブッセ作(上田敏訳)山のあなた(聞いた言葉シリーズ第1回目)の詩を思い出しました。前者は、チルチルとミチルが幸福の青い鳥を探しに夢で色々な国を旅しますが、結局は一番身近な自分の家に青い鳥はいたという物語だったと思います。

 山のあなた(聞いた言葉シリーズ第1回目)の方は、この詩の解釈で私は先のリンク先ページに、< (前略) この詩は、「山のかなたの遠い所に幸福を求めて行ってみても、結局涙ながらに帰ってくる」と言う意味だろうと思います。また、人間は一人で生きていけない以上、たとえどこかに行ったとしても、そこでまわりの方々と励まし合い、助け合っていけば、幸福の道が開けると言っているようにも思えます。幸福は、案外と近くにあるのではと、問いかけているのだと思います。(後略) >と書いています。

 私は、この永遠より続くようにの曲が約14年前頃にリリースされた状況も作詞された経緯も分かっていないので、自分勝手に色々と推測しながら書いていますが、さらに想像を重ねると、この詩は作詞者自ら実体験から語られているのではないかと思っています。それは、この詩の導入部分から何故サビの一節に至ったのかについても、歌詞内容で触れておられるような気がするからです。

私の関係ホームページ
 山のあなた
 ヒットするには時も大切
 手紙調(メッセージ調)の歌はヒットする
 何がヒットするか分からない時代
 一芸に秀でたる者は多芸に通じる
 美しく青きドナウ
 ブームは長く続かない、劇場は長続きする場合もある
 人は生きるだけでも大事業
 自然の中で生かされている

 人の社会では、何かを求め続け様々な苦労や努力をしても、直ぐには結果として目に見えない場合もあり、ましてや才能優れた方でもヒットとか奇跡などは、その時その一瞬では分からない事象でもあります。しかし、やっと相当期間経って(機が熟して)成果として現れる場合もあるのではないでしょうか。それは、なにげない日常不断の生活が出来ていることがベースなのでしょう。

 現在、国内外問わず楽曲と言えば、本当に様々なジャンルがあり、さらにヒットしている曲さえも覚えきれない位あるでしょう。私は、音楽はその文字<「音」を「楽しむ」>の通りで、人それぞれに好き嫌い含めて幅広くあっても全く構わないと思っています。

 そのような中で、永遠より続くようには、分かりやすく親しみのこもった楽曲として、もしかしたら今後何世代にも渡って引き継がれるスタンダードナンバーになるような気がします。最後に、近年の曲で久しぶりに詩自体から発する力と言葉の奥深さを感じました。


(記:2012年12月31日)

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