OBは金は出しても口は出さないのが良い
今回のこの言葉、私は若い頃からい色々な人や雑誌などで見聞きしたような気がします。OBとは、当然「old boyの略で卒業生、先輩」のことです。 また、この言葉は、通常では現役の学生と対比して使われるのがもちろん多いのですが、広く一般には社会人になって例えば仕事そのもの、会社内にある各クラブ、 地域での各種団体や親睦会などから離れた(卒業した)場合でも多いと思われます。
人との関係ですから、どんな学校・団体・会社でも様々な人の繋がりがあることでしょうし、また、それらを求めての楽しみもあるかもしれません。しかし、物事なにも全部がぜんぶ、プラスばかりではなく、逆にマイナスも多いと思われます。それは、今回の事柄でも同様のことがあるかもしれません。
色々な事情から現役(学生でも会社員でも)の頃は、自ら所属している部でも親睦団体でも 何か取り組みをする時には、必ず「人、物、金」が必要になってきますが、とりわけ予算が足りない場合もあるのではないでしょうか。
そのような時に頼りやすいのが、OBや友人・知人でしょう。しかし、人は自分のお金を出す以上、必ず「あの件は、・・・・どうの、こうの」と言いたくなると思われます。それが現役の方が、全く気付いていない問題点や改善事項なら、まだいいのですが、次のようなことを、つい口に出してしまうのもあるようです。
例えば「自分が所属していた頃には、・・・やって成功した」みたいなことを例に出し、「あーやった方が良い、こうした方がマシだ」みたいな言い方です。 先輩が色々と言いたいことは全く分からない訳ではありませんが、これらは、その当時(過去)と現在とでは回りの状況も人も、あるいは同じ活動でも、やり方そのものも違っている場合もあるでしょうから、たとえ良い提案であっても後輩が対応可能なことでしょうか。
それよりも、後輩の心情は表に出して言うかいわないかいかは別としても「先輩は口を出さずにお金を出して、(何か競技や取り組みがあれば)応援に来たり見学に来て下さいよ」と、思っておられるのではないでしょうか。そして、その結果、後輩が試合に勝ったり、あるいは活躍された時には、「祝勝会か居酒屋の飲み代の足しにしてくれ」と言って自分は酒席には行かず、気前良く多少なりともお金を出してあげた方が喜ばれるのではないでしょうか。
ある意味、歌手などへのファン心理と同じで、贔屓(ひいき)の歌手が新しい曲を発売されればCDを買い、公演があれば聴きに行ったりと、じっと見守るような、そんなOB像や先輩心情が後輩に対して良いと、今回の言葉は言外に述べておられるような気がします。
また、そのような対応の方が、「あの先輩は、いつも太っ腹だったから」と言って、いずれ後輩が仕事や就職先などを相談される場合もあるかもしれません。逆に後輩は、お金も出さず、口だけはいくらでも出す先輩に何かお願いされるでしょうか。あと両方の関係でいえば、困った時だけしか声を掛けてこない付き合いは、お互いに疎遠のもとになりやすいでしょう。
色々な人の付き合いの難しさで、私は先に(聞いた言葉・第81回目に夏目漱石の言葉として)>「とかくに人の世は住みにくい 」を書いていますが、ことOBが後輩に接する態度は、やはり様々な方から聞いた通り、OBは金は出しても口は出さないのが良いが、一番と思えます。そして、何か相談を受けた時だけ、親身に話するのが、さらにベストではないでしょうか。