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聞いた言葉・第170回目、『疑うことと確認することは違う 』

 

疑うことと確認することは違う

  今回の言葉は、会社などで何人かの先輩から聞いた言葉です。 人によって少し言い回しが違っていたと思いますが、中には「人は疑ったらアカン。でも、確認することは別やでえ」との教えもあったと思います。 どんな歳になって思いこみ、先入観や先走りが激しい私にとって、数えきれないくらいの失敗を今なおしていますが、それらの代表例を挙げながら今回は書いていきます。

  既に そのことで私の若い時に同僚を信じたばかりに、お金の件で泣かされた例を(聞いた言葉シリーズ第8回目)「人は言うことよりも、やることを見よ」ページに掲載中です。この時は、口達者な同僚に騙された例です。当時、私は学校を卒業し直ぐ田舎から大阪へ出てきて、何も知らない者でした。その後、色々と考えて見ると「口先や調子のいいことだけ」の姿は、日常思い当たるところが多々あったのでした。

  また、この言葉は、主に人との関係を意味するものと思いますが、その延長線上で違った経験もありました。それは、自分自身が素人のため、ある件でプロの方に頼んで資料を作成してもらいました。自分の要望と違う所もあったのですが、「それは必要ないのでは」との意見を聞き、「そうか、これは必要ないのか」と、自分が思っていた根拠が曖昧(あいまい)だったため、そのままにしました。

 しかし、事柄が出来上がってから、やはりプロの方の考えが間違っていたのでした。プロですから決して意図的に注文者が困ることを狙って作成された訳ではないのですが、ケースバイケースで起こり得る”プロの盲点”みたいなものだったのだなあと思い直しました。

 政府や自治体あるいはマスコミなどから伝えられる内容も似たようなことが、いくらでもあるかと言えます。これらの件は一例として、(聞いた言葉シリーズ第68回目)「真実を自分で探す時代」に掲載中です。この中では、イラク戦争や戦前の大本営発表などを挙げて、真実を覆い尽くすやり方が、いかに危険で国民に犠牲を強いるものであったかなどを書いています。

 あと、話は変わりますが、二つの映画を見て「あー、なるほどなあ」と思ったことがあります。一つ目は、映画ダ・ヴィンチ・コード=The Da Vinci Code(2006年5月20日より全世界で封切り)の話からで、既に(聞いた言葉シリーズ第94回目)「一幅の絵画は千の言葉を語る」に掲載中の内容です。この映画では、過去に出来上がった伝承、絵画、マークなどであっても、人それぞれに解釈が別々に存在していることが講演のシーンで話されていました。

 つまり、過去の事例ですから現在では変えることができないことです。しかし、例えば有名な絵画であっても目の前で全く事実と違った説明を講師がされても、もしかしたら聞く側にその知識がなければ間違った内容でも信じてしまう可能性がありうると言うことです。これを避けるには、有名な絵ならばいくらでもホームページに、その解釈例が掲載されているので、再確認すれば済むかもしれません。

 二つ目の映画は、映画2012(2009年制作のアメリカ映画で日本での公開は2009年11月21日)からで、大地震や大津波で世界滅亡が近い中で、チベットのラマ僧が様々な情報で不安がっている弟子に対し、静かに「知恵の光を見るには、まず自分を空にするのだ」(聞いた言葉シリーズ第133回目)と語りかけるシーンがあります。つまり、「情報過多の状況から、一旦白紙に戻して情報を整理して考え直せ」みたいなことを諭(さと)しているのでした。

 私は、上記二つは娯楽の映画ではあるのですが、何故か考えさせられました。現在は、テレビ、インターネット、通信などのおかげで瞬時に世界の情報が手元に入手できる状態です。しかし、それは「事実」であっても、果たして全部がぜんぶ”真実”なのでしょうか。自分に役立つ情報ばかりなのでしょうか。その真実を確かめる必要性を先の映画二例は言っているようにも思えます。

私の関係ホームページ
 真実を自分で探す時代
 一幅の絵画は千の言葉を語る
 知恵の光を見るには、まず自分を空にするのだ

 以上、前半にいくつかの例を出しながら、私自身として経験や勉強不足もあったし、今回の言葉=「疑うことと確認することは違う」を実践していないかった落ち度もあったなあとの反省もあります。後半の政府や報道からの各種情報ついては、現在インターネットなどで様々な意見、異論、情報がたくさん掲載されているので従来より確かめやすいと思います。

  ただ、人との個人的な直接付き合いで、人を信じることは大変良いことではあるのですが、一歩下がったような見方も時と場合によっては必要なのかもしれません。それは、決して人を「疑うこと」ではなく、確認することだとも言えます。確認することは、誰でもが日常おこなっている請求書の数値や買い物時の金額の確かめ方と同じようなものですから、むしろ大事なことではないでしょうか。


(記:2013年6月10日)

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