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聞いた言葉・第171回目、『奇跡は人が分からない内に起こっている』

 

奇跡は人が分からない内に起こっている

  今回の言葉の奇跡について、現在一般に使われている意味合いと少し違うことを前提に、まず、次の<>内の国語辞典の大辞泉を引用して書いていきます。 <奇跡(きせき) 常識で考えては起こりえない、不思議な出来事・現象。 「奇跡が起こる」、「けががなかったのが奇跡だ」   キリスト教など、宗教で、神の超自然的な働きによって起こる不思議な現象>

 上記辞典の意味が正しいのでしょうが、広く一般にはメディアなどで聞く場合、の意味ではなく、どちらかというと、に近い、あるいはもっと拡大解釈したような意味合いで取り上げておられる場合が、多いのではないでしょうか。このことを、もう少し分かりやすい例を挙げていきます。

 例えば、商品などで「全く宣伝もせず、単に、その他多数の商品の一つと思われていた・・・・が、奇跡的ヒットとなり会社の主力製品に躍り出た」とか、あるいは「演歌歌手で今まで10曲近くレコード(CD)を出してもサッパリ売れず、会社から『これが最後の曲ですよ』と言われて録音した歌が奇跡的大ヒットとなり、その後は出す曲の多くがヒットして大スターになった」みたいな言葉使いもされているようです。

 つまり、どちらかと言うと、先の国語辞典の奇跡の意味合いよりも、「偶然」=「何の因果関係もなく、予期しないことが起こること。また、そのさま」(大辞泉より)みたいな感じとも受け取れます。

 自然現象は別としても、人が作り出す事柄で極一部あるいは、その一部も除けば大抵の場合、今後、どうなるのか知らずに、あるいは結果として残念なことながら生前に評価されることもなく、奇跡的な出来事をされていたこともあるのではないでしょうか。

 例えば、私は既に掲載中の<聞いた言葉・第71回目、『炎の画家ゴッホ』>ページにも、次の<>内のことを書いています。<ゴッホは37歳の若さで亡くなったのですが、その生涯にわたって物心両面の支援をした弟テオ以外に絵の理解者も生前なかったと言われています。それが現在1枚の絵だけでも何億何十億と言う値段で取引されていることを、この兄弟が聞いたら驚かれることでしょう。 >

 つまり、生前に奇跡的な事柄(彼の場合、世界中から欲しがられる絵を描いていた)にもかかわらず、その時は評価されず、死後しばらくして現在のような状況になっていったという典型的な例のような気がします。立派な才能や力量をお持ちの方は、自ら「これから奇跡を起こす」とか「これは現在は評価されないが、あと5年後に必ず世間をあっと言わせるくらいの大ヒットなるぞ」ということが分かっておられれば、楽しいかもしれません。

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 何がヒットするか分からない時代
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 商売上手の方ならば、もしかして借金してでも、その奇跡的大ヒットにも掛けられるかもしれません。しかし、現実は、そういかないでしょう。つまり、今回の言葉、「奇跡は人が分からない内に起こっている」からです。そして、その日常普段の仕事や生活は、見た目何の代わり映えのしない日が続くだけでしょう。

 当然、奇跡の前触れシグナルもなく、ある年ある日に突然起こったとして、本人が知らない内も多い(死後も含む)のではないでしょうか。ただし、私が思うに、物事によっては一か八かの掛けみたいな場合もあるかもしれませんが、結局、例えば商品の場合は粗悪品みたいなもの、音楽なら大衆から見向きもされないような歌唱力の低い歌手などは、最初から奇跡的ヒットなどが起こらないような気がします。

 立派な才能や力量をお持ちの方でさえも、 やはり、日々精一杯の努力・苦労の延長線上で、そのことは起こるような気がします。


(記:2013年7月1日)

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