カジノ経済、ギャンブル経済の宿命
今回の「カジノ経済、ギャンブル経済」の言葉は、アメリカの証券会社リーマン・ブラザーズの破綻、銀行や保険会社など報道解説時などで最近良く聞きます。言葉の頭に付いている「カジノ(casino)」、「ギャンブル(gamble)」は フランス語、英語の違いはありますが、意味はどちらも同じで賭博(とばく)=「かけごと、ばくち」のことです。 その名前が頭に付いた言葉ですから、元々はあまりいい意味に使われていないことと思います。
たとえ賭博と言っても個人がラスベガスで自分のお金で自分が好きなようにお金を掛けて大儲けしようが、逆に大損しようが、 そのこと自体あまり問題にならないと思います。 しかし、世界の巨大投資マネーと言われる会社や人たちが、私たちの生活にも直結している原油あるいは穀物類などを、その資金力で乱高下させて 結果として会社倒産、失業者増や日々の生活が立ち行かなくなることが現実に続いていますが、これは大きな社会問題です。
また、
この言葉はストレート過ぎるきらいはありますが、アメリカ資本主義の代名詞みたいなものです。つまり、 「儲けるためなら何やっても構わない」、「儲けるために、あれこれ規制をかけるな」、問題があるので公式な言葉や文字にして表現しなくても 「(自分の儲けのために結果として弱い立場の後進国、地域、会社や人たちが困って破壊されても構わない。自分さえ良ければ、それでいい)」と言うことと同意語と思えます。まさしく弱肉強食の世界です。
私は、経済について、この聞いたシリーズ第25回目『経済=経国済民』に古い中国の言葉を引用して既に書いています。概要「経済の語源は、国を経め(おさめ)民を救うのがそもそもであって、現在でも脈々と常に流れ続ける”新しい言葉”のように私は思えます」と、まとめています。
それが、現在のアメリカ経済の中で、いわゆる投機筋の巨大マネーは自由経済をいいことに、時と場面によっては結果として、まるで弱い人たちに襲いかかる刃(やいば)のような使われ方になっています。
そして自分が儲ける時だけは「自由経済だから自由にやらせろ」みたいに言って自分たちは一人で年収何十億か何百億円ももらっていました。しかし、一旦住宅バブルなどが崩壊して証券会社、銀行や保険会社が破綻寸前になると「税金(公的資金)で救済を!」、「国からの援助を!」などと平気で言う得て勝手なやり方です。国管理みたいなやり方が、なぜ「自由経済」と言えるのでしょうか、私には分かりません。
あと、このアメリカ流の「カジノ経済、ギャンブル経済」が最も良くて日本の景気を回復するやり方みたいにして、「構造改革」、「カイカク」と絶叫するかのごとく突っ走った小泉流のやり方も、結果としていつも書いています通り、「格差社会」、「不安定雇用者の増大」、「ワーキングプア」、「ネットカフェ難民」、「医療制度の不安」などを始めとして、さらに「年金不安」、「過労死」、 「年間自殺者3万人」とかの言葉で象徴されている日本の状況にもつながってきています。
また、これら「新自由経済」とか「カイカク路線」とか呼ばれるやり方について、マスコミは先頭立って応援団の役割をしたことも忘れてはならないことだと思います。その反映もあり2005年の郵政選挙では与党は大きな議席を得たのでした。また、マスコミの罪でヒドイのは、政府与党のやり方を応援したのも問題ですが、その当時からも今も国民の立場にたって、これら「新自由経済」とか「カイカク路線」を批判し続けている政党や方々を無視もしくは抹殺するかのごとく、ほとんど取り上げなかったことです。(蛇足ながら、イラク戦争への日本の加担も同じような報道でした。この件の詳細は「真実を自分で探す時代」をご参照願います)
もしもマスコミの使命からして、逆の意見も公平に取り上げていれば、これほどヒドイ政策や国民を崖っぷちに追い込む経済も進行しなかったのではないだろうかと思うほどです。この視点は、アメリカの「カジノ経済、ギャンブル経済」を見る上でも大きな教訓があるような気がします。
あと、1991年のソ連邦崩壊あるいはその前後の東欧諸国の政変などの時、経済学者や政治家などは「これは資本主義の勝利だ。資本主義は究極の経済体制だ」と”資本主義万歳論”を唱えていた方々は、今のアメリカや日本の経済状況を見て、どう言っておられるのでしょうか。
特に、政府系の経済学者さんたちに、今の「カジノ経済、ギャンブル経済」から派生している現状を、どう具体的に打開するのか聞いてみたいような気もします。もしも、単に「今後、経済はこうなるかもしれない」程度なら、それは経済学と言うより”予想屋”さんの仕事みたいで、今回話題にしているカジノのギャンブラーと、どこがどう違うのでしょうか。
アメリカのサブプライムローン・住宅バブルの破綻は、起こるべきして起こったものです。会社や国の経済政策をまるで博打みたいなやり方で自由放任してきた結果であり、そんなやり方では長続きしないことを如実に物語っています。つまり「カジノ経済、ギャンブル経済の宿命」が、素人の私でも良く分かったものでした。
結果、自由経済の本家アメリカでさえ銀行、証券会社、保険会社などのいくつかを国家管理で行うのですから、いくら資本主義は自由が原則とは言え、やはり一定のルールやモラルのあるやり方でないと駄目だと言うことだろうとも思います。
今後、世界各国にも国民一人一人に影響のある石油などのエネルギーや穀物などに対しても巨大投機マネーが自由に何でも出来る「カジノ経済、ギャンブル経済」方式ではなく、 せめてもう少しはルールがあるようなEU(欧州連合)式にしていかなれば資本主義経済そのものが破綻していくことを示しているような気がします。